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【小説14】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)

14  増えていく仲間


 俺は再び地下牢に戻った。更に奥には廃嫡されて、もう平民扱いの第三王子がいる。

まだ幼さが残る少年の王子は膝を抱えて座っていた。
魔界情報では彼も第二側妃も無実で冤罪をかけられている。

「第三王子殿下ですね。」俺の声に彼は顔を上げた。

「子ども? 何故ここにいるんだ?」
立ち上がりゆっくりと近づいてくる。

「質問に来ました。牢屋から出たいですか?」
王子の瞳が揺れた。
「母上を残して自分だけが助かるなんてできない。」

「そう言うと思ったよ。側妃は間もなくギロチンだってさ。いいの?」
「いいわけがない!! 私達は無実だ!」
鉄格子を殴りながら王子は叫ぶ────
「父上に毒なんて、そんな事するわけがない!」

「はぁ、なんか段々大ごとに。俺は何やってるんだろう。はぁ~」
ため息が止まらない。(人生謳歌計画が壊れていく・・・・)

「もし出来るならば母上だけでも助けてくれないだろうか。」

「僕の従僕になるならいいよ。君は絶対服従だ。」

「もしや貴様は悪魔なのか!」王子は後ずさりした。

「親子2人揃って断頭台に立つ? 王家のイザコザなんて僕には関係ないからね。」

「私はもう平民だ。もう、もう王家のイザコザはごめんだ。」

「じゃぁ逃げなよ。母上も逃がしてあげる。死ぬなんて馬鹿らしい。」

俺達はしばし睨み合っていたが、王子がついと目をそらせた。

「どうする? 僕の手を取る? チャンスは1回だよ。」
俺は手を差し出した。

第二側妃はまだ貴族牢にいた。もとは平民らしいが優雅で美しい人だ。
「どなたですか?」不審人物の俺に平然とした顔で聞いてきた。

「第三王子殿下に頼まれて、助けに来ました。」

魔界情報では、間もなく母子ともに第三勢力に攫われる事になっている。
近々クーデターが起こるのだ。
2人を担ぎ上げ、政治の道具にしようとしている者達がいる。

しかし 第二王子たちはその情報を手に入れている。
クーデターはすぐに鎮圧されるだろう。

第三勢力の中には間者や裏切り者が多数存在する。
そして第二側妃と第三王子はクーデターの責任を取らされて
結局は断頭台に送られるんだ。

恐るべし魔界情報網。
王子と同じ条件で俺は第二即妃に手を差し出した。
「チャンスは1回です。」

第三王子と第二側妃が俺のダンジョンで静かにお互いの無事を喜んでいる。
名前はテオドールとミランダ。
二人は俺の手を取って従僕条件を受け入れた。
よく似た母子で、長いブルーネット、明るい翠色の瞳が美しい。

イブキ達はハウスに戻り、芝生の上で俺達はクーデターについて話し合っている。

先導者はカラビア侯爵。
彼は王太子派であったが、王太子逝去後は第三王子派に転換した。
不満の多い下級貴族をまとめ上げ第二王子の王太子継承を阻止すべく暗躍していた。
幾度となく側妃ミランダにも接触してきたが側妃は拒んでいた。
テオドールには幼少より、王位継承権は放棄させるとミランダは宣言している。

第二王子の手の平で転がされているのを侯爵は気づいていない。
第二王子には賢者の宰相がついている。
間者を紛れ込ませ、平民に人気が高い第三王子もろとも粛清の機会を静観しながら待っているのだ。

テオドールとミランダが消えた今、侯爵はどう出るのか。
「クーデターは中止となるでしょう。粛清は行われると思います。」
ミランダの表情は暗い。

「それでも2人が気に病む必要は無いと思うよ。」

「父に毒を盛ったのは、やはり兄上ですか?」
「いや、第一王女らしいです。勇者召喚も王女の仕業ですよね。」
「あれは禁忌とされているのに。姉上は狂っている。」

その後ログハウスに戻り部屋を選んで貰って各々休むことにした。

部屋が1室足りないので俺とテオドールは中2階にベッドを置いた。
中2階はメチャメチャ広いのだ。男なんで寝るだけだしな。

          ***

「きゃぁああ王子様が2人~」今日も朝からベルルはテンションが高い。
女性たちが朝食の準備をしている。
ミランダさんは元々平民で宿屋の娘だったそうだ。

「もう私と息子は平民です。皆さまと同じマスターの従僕なので宜しくお願い至します。」

「私の事はテオとお呼び下さい。」「私はミラと。」
元王族スマイルが眩しい。

「イブキです。」「ユカです。」「トモです。」

[[[よろしくお願いします]]] JKスマイルも眩しい。

「ごめんね。ここに滞在する条件が眷属なんで、まぁ気楽に過ごして下さい。ここの事は一切他言しない。お互い迷惑かけない。家の中の事はベルルが家令なので彼女に聞いてね。それだけです。」

断っておくが4人に指を舐めさせていない。 
極小コップにオレンジジュースを入れて血を混ぜたモノを
4人は死ぬよりはマシだとばかりに、一気に飲み干した。 

クロが頭の上で跳ねる。
「あ、クロはスライムの王様なんだ。でも仲間だから大丈夫だよ。」
イブキ以外の顔が固まる。小さくても魔物だからな。

「さあさあ食べてねぇ~。ベルルの絶品サラダ付よ~」
彼女はここのムードメーカーだ。

俺はマスターらしく振舞えているだろうか。シェルの品位を貶めてはいないだろうか。 (がんばるんだ俺)

学園に行ったという4人についてユカから情報があった。
同級生の彼らは 勇者 剣星 聖魔導士 スナイパー
それぞれ能力が高く急ピッチで成長させている。
優遇されている彼らと比べ、王家の自分たちへの扱いにユカ達は憤懣やるかたない。

「本当に申し訳ありません。」テオとミラが深く頭を下げる。

ユカ 「助かったからもういいです。でもあの女、最低だったわ。」

トモ 「第一王女よ。ホント、勝手に召喚しといて馬鹿にして。腹立つ。」

ユカ 「勇者の十九ジュークに媚び売ってさ。感じ悪くて嫌味で。」

「私達も学園に行きたいって言ったら、地下牢監禁よ。酷くない?」
 ユカとトモの第一王女への悪口が止まらない。

「えー話は変わりますが、2人はどこで保護されたの?」

ユカ 「私達は近くの森の中だよ。薬草を取りに来た人に保護されたの。」

「ジューク達4人は?」 

ユカ 「王都の街中と言ってた。緑のジャージが目立ってすぐ保護されたって。」

「そっか、イブキはなんであんなに遠くに飛ばされたんだろうね。
不思議だね。」

イブキ 「それはきっと、シェル君に出会うためだよー。」
う、照れる・・・・

ユカ 「他にはいないのかな。」

トモ 「私たちはマスターに保護してもらえて助かったね。」

JK達に期待の目で見られている。なんだか居たたまれない。

話の後で俺はコアの所に来ていた。

「渡り人の新しい情報知りたい。」「───金貨 大丈夫ですカ?」 

「まだいける。なぁ、宝石以外で高価買取してくれるのは何だろう。」
「需要 聞きますカ?」
「ああ。コピーできる物で聞いて欲しい。」 

「それと渡り人を元の世界に戻す方法も調べてくれ。」

「了解! マスター 貢いで・・「うるせー ちゃっちゃと片付けたいんだ俺は。」

早くクロとゴロゴロしたいんだよ~。



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