【ショートショート】 名づけられた夜
「まだ、来ないのか?」
「まあ、急がんでもいいでしょう。ただの名づけの儀式ですし」
「名誉ある儀式に遅れるとは…」
「そーゆー子なんでしょ。気にしちゃ負けよ」
「お前の推薦はいつも遅刻するな」
「私のせいじゃないでしょー」
「お前のせいだろう! 弟子なのだから!」
「遅くなりました」
「遅い! 名づけの儀式で必要なワシらしか残っとらんわ!」
「まあまあ…来たんだし、いいでしょうが」
「久しぶりー! おっきくなったねー!」
「貴様はもっと反省しろ!」
「いーじゃない別に。名づけは私がするわよー」
「三人の総意がなければ、名乗れんだろ!」
「じゃあ、さっさと決めましょう。喧嘩はあとにしてくださいや」
「あの…私の名前は、私が決めたいです」
「名づけの儀式を愚弄する気か!」
「えー、なんて名前か聞こーよ」
「なんて、お名前ですか?」
「ナイトキラー」
「その名を名乗るとは…。覚悟ができているのか?」
「はい、決めました」
「私は是(ぜ)よ。賛成に決まってるわ」
「俺も是です。面白くなりそうなので」
「本当にいいのか」
「はい」
「わかった。ワシも是だ。ナイトキラーに恥じぬ活躍を期待しておる。貴様は夜に閉じ込められる。夜に生き死に、殺せ」
「是」