【毎週ショートショートnote】心お弁当

林檎ちゃんと最近、お昼ごはんを食べていない。
お弁当もひとりで食べている。
さみしいけど、なんでこうなったのかは、わからない。
きっと、林檎ちゃんは僕と友達でいるのが嫌になったのだろう。
それならしょうがない。

でも、林檎ちゃんがいないと、さびしいなんて、まるで。
いや、林檎ちゃんは友達だ。

僕は二つ目のお弁当を食べようと手をのばした。

お弁当はなかった。
林檎ちゃんがいて、お弁当を食べてた。

「いついたの?」
「言いたいことは、それだけかよ」

林檎ちゃんは不機嫌そうだ。

「なんで一週間も来なかったの」
「風邪で休んでたんだよ。知らなかったのか?」

知るよしもない。
だって、林檎ちゃんのクラスに友達はいないし。
…自分のクラスにもいないけど。

「だれかにこの弁当あげたのか?」
「あげてないけど。なに?」
「私にしかつくってないよな」
「そうだけど」
「そっか。うん、うまい」
「真心がこもってますから」

林檎ちゃんが咳き込む。
まだ、風邪がなおってないようだ。