【毎週ショートショートnote】騙せ林檎パン
昼飯時、校舎裏にて私は弁当つくる系男子といっしょに購買で買ったパンを食べていた。
「こんなの林檎パンじゃない。アップルパイだ」
「はあ? これアップルデニッシュだぞ」
「それはズルい」
この弁当つくる系男子は、ひたすらに手製弁当をつくり、いっしょに女子と食べることを夢見ている。
最近は、その弁当を私が食べている。
もちろん、この男子に誘われてではない。
うまそうな弁当につられたのは私だ。私から声をかけた。
イケメンヤンキー男子とかんちがいされ、女子から告白を受ける私は、この男子に女子としてカウントされてないだろう。
だから、弁当がないから購買でなにか買ってきてくれと言われたときには驚いた。とりあえず甘いパンをいくつか買ってきて食べている。
「甘いのばっかりだね」
「いや、お前なら甘い方がいいかなって。おかず甘めだろ」
「そっか。ありがとう。だけど、これ林檎パンじゃなくて、アップルパイ…」
文句いいつつも食べてるから、気に入ったんだな。