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お金があってもなくても〜『贅沢貧乏のお洒落帖』〜

先月読んだ森茉莉の『贅沢貧乏のお洒落帖」』。遅ればせながら感想を書きます。

内容

森鴎外の娘・茉莉のお洒落に関するエッセイを早川茉莉が編集したもの。
2016年12月出版。

子ども時代のお洒落

着物は日本橋・三越。洋服は伯林からの取り寄せ。金をあかして買っていたというより鴎外夫妻は子どもによいものを着せたい、よいものに触れさせたいという思いが滲み出ているように感じました。

茉莉も着物の柄や洋服の生地など細かいところまで覚えていて、両親の思いは伝わっていたように思います。着物の柄や洋服の生地の細かい色や細工など鮮明に覚えていて、いかに気に入っていたかがわかります。
本人も美しいものが好きだったのかな?

パリで培われたお洒落

茉莉は結婚すると夫とともに渡仏します。大人時代のファッションは、パリで磨かれたように思います。自慢気質もこのときかな?と思われます。彼女の文章はお金持ちだった選民思想と自慢があってたま〜にイラッとくることがあるけど、彼女の観察力と的を得た表現にぐっときます。

毎日一緒にいるとしんどいけど、たまに会う(読む)くらいの関係が私には合っていると思います(笑)

自活してからのお洒落

彼女は二度の離婚を経て一人暮らしに。鴎外の著作権切れによって(印税が入らなくなる)、自活せざるを得ない状況になります。ここから財布に相談しながらお洒落を楽しむ日々が始まります。

お金がない状況に一抹の寂しさを感じているようだけど、自分で選んで自分で買ったということもあり私には一人暮らし時代の彼女が一番生き生きしているように感じました。

正直、彼女の贅沢版のお洒落も見たかったけどお金があったら茉莉はここまで書かなかったと思います。お金持ちと平民(?)の両方を知っているから、面白い文章になるのかと感じました。

まとめ

今回noteを書くにあたって茉莉のことを調べたのですが、代表作と呼ばれている『父の帽子』も『恋人たちの森』も『贅沢貧乏』も読んでいない!今は『貧乏サヴァラン』読んでいるので、終わり次第出直してきます。


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