後期高齢者制度てどんな制度?
先日の雪の影響でお疲れ気味のトラックドライバーかずです。今回は後期高齢者制度についてお話しさせていただきたいと思います。
この記事を読んでいらっしゃる方は、恐らく75歳未満の方と思います。後期高齢者制度に馴染みがない方も多いと思いますが親御さんが75歳以上、又は75歳に近い年齢の場合は、介護費用や医療費に関わってきますので、目を留めていただけたらと思います。
また、これから更に高齢化社会になっていきますので、仕組みを一緒に勉強出来たら幸いです。
後期高齢者制度とは
後期高齢者制度とは、75歳以上の方が加入する健康保険となります。
それまで国民健康保険だった方、会社の社会保険に加入していた方など、75歳の誕生日を迎えると手続き不要で、自動的に後期高齢者保険に切り替わります。
この制度は、現役世代と高齢者世代の費用負担の不公平をなくし、高齢者が安心して医療を受けられるように、国民全体で支えあう制度として平成20年4月から開始されました。
下記が制度の費用負担表となります。
少し見にくいですが、国や都道府県、市町村が負担する公費が約5割、後期高齢者支援金が約4割、残りの1割を75歳以上の方で保険料を負担しています。
(後期高齢者支援金は、国民健康保険、社会保険に関係なく、74歳以下の国民全員で負担しています。)
医療費負担割合
後期高齢者制度は各都道府県の後期高齢者医療広域連合と言う所が、住民税課税所得を元に毎年8月に見直ししています。下記が自己負担割合を判定するチャートになります。
①同じ世帯に課税所得145万円以上(年収約380万以上)の後期高齢者がいる場合、世帯全員が3割負担になります。
②課税所得28万円以上、145万円以下の後期高齢者がいる場合、次のいずれかに該当すれば2割負担となります。
・世帯に後期高齢者が1人で、年金収入+その他の
合計所得金額が200万円以上
・世帯に後期高齢者が2人以上で、年金収入+その
他の合計所得金額が320万円以上
*年金収入とは課税対象の公的年金を示し、非課税の遺族年金、障害年金は含まれません。また、その他の合計所得金額とは、事業収入や給与収入から経費や給与所得控除を差し引いた後の金額を示します。
③課税所得が28万円未満で、上記②のどちらにも該当しない場合は、世帯全員が1割負担になります。
自己負担軽減措置
今まで1割負担だった方が2割負担になった場合、
令和7年9月30日まで、増加額を3,000円までに抑えてくれます。
例えば50,000円の医療費が今まで1割負担で5,000円だった場合、2割負担だと10,000円になってしまいます。差額5,000円が増えましたが、これを3,000円までに抑えてくれると言う事です。(外来のみで入院は対象外)なので窓口負担は8,000円になります。もし、限度額を超えて10,000円支払いした場合は、高額療養費として2,000円が返金されます。
医療費限度額
70歳以上の医療費限度額は下記表の通り、平成30年より変更になっています。
変更前より課税所得145万円以上の方が細分化され、高所得者の医療費負担額が増えています。
また、住民税非課税世帯は従来通り限度額適用・標準負担額減額認定証の交付を受けることができます。
医療費と介護保険を合算した場合の限度額
医療保険と介護サービスの両方を受けた際は、下記表の限度額になります。対象になった方には郵送でお知らせがくるので、申請書を提出する事になります。一度申請をすると後は自動で限度額を超えた際に、超えた分のお金が指定の口座へ振り込まれるようになります。
世帯分離はあり?なし?
上記の限度額表を見ていただいた通り、上限額は世帯収入で決められています。もし親と同居していた場合、親世帯は非課税世帯でも、同居している子が課税対象者だったら非課税世帯とは扱われません。その為、医療費や介護費の限度額が上がり負担額が増えてしまう事があります。
そこで住民票上、世帯を分離すると言う考えがあります。
世帯分離をするメリット
・介護費を安く抑える事が出来る
・後期高齢者制度の保険料が下がる可能性がある
・非課税世帯となることで、助成金や手当を受け
取る事が出来る
世帯分離をするデメリット
・医療費や介護保険費用を世帯で合算できない
・扶養手当が貰えなくなる
・各種手続きが面倒になる
後期高齢者制度は世帯収入で決められている事が多いので、世帯分離をする事で親世帯の収入が下がり介護費や保険料を安く抑える事が出来ます。
その反面、医療費控除を申請する際、世帯で合算する事が出来なくなります。また、会社から支給されている扶養手当がつかなくなったり、様々な手続きをする際、その都度親の委任状が必要となってきます。
扶養控除に関しては、同居、別居は関係なく、生計を一にしているかが条件ですが、税務署がどう判断するかは分かりかねます。
*世帯分離はあくまでも生計を分けて管理する場合などに手続きするもので、介護費用を安くする目的ではありません。その為、受け入れられないケースがありますので、相談窓口にご相談の上、様々なメリット・デメリットを考えて判断する必要があります。
保険料
後期高齢者制度の保険料は所得割額+均等割額で算出されています。
所得割額は、年金収入のみの場合は年金控除額、年金以外の収入がある場合は基礎控除額を差し引き、所得割率をかけて算出しています。
一方、均等割額は加入者全員が決められた金額を負担するようになっています。
所得割率、均等割額は共に各都道府県によって異なりますので、お住まいの地域の自治体ホームページ又は後期高齢者広域連合のホームページでご確認ください。
後期高齢者制度の保険料は、世帯収入が算定基準となっています。なので先程お話しした世帯分離をする事で保険料が下がる可能性があります。
もし、親の収入が低く子の収入が高い場合は検討してみるのも一つの考えです。
最後に
今回このテーマにしようとした理由は、私の親が要介護5で自宅療養をしているからです。
施設や病院に入院しているよりも費用は抑えられていると思いますが、それでも毎月7.8万円の介護費用がかかります。
親は年金生活ですし、子供が同居しているがために介護費用の限度額が上がってしまっているのもやるせない気持ちです。ですので、この記事を書きながらも、一緒に勉強させていただいた次第です。制度や仕組みを知っているのと知らないとでは大きく違います。
例えば入院時の食事代ですが、現役並みの所得がある方は、一食460円です。一方、条件を満たした住民税非課税世帯は一食210円になります。
たった250円の差額だと思うかもしれませんが、これが3食分30日入院したらどうでしょう。
・一食460円の場合
460円×3食×30日=41,400円
・一食210円の場合
210円×3食×30日=18,900円
差額22,500円
上記の金額をどう捉えるかは、各ご家庭によると思いますが、これが介護を受けている高齢者の収入ではなく、世帯収入で決まるのですから考えさせられるものがあります。
また、これから先高齢化社会が進むのにあたり、医療費の負担額が国民全体で増えるのは否めません。自分が加入している保険やこれから先の事を考えて備えておく事は重要だと感じます。
長くなりましたが、いつかは子供が親の面倒を見なくてはならない日がきます。この記事の内容が全てではないですが、参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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