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住宅ローンの返済どうする?

日銀が長期金利を上げた事で、返済金額が上がるのでは?と心配している方は多いのではないでしょうか?
そこで今回は対策や返済方法について私なりにまとめてみました。参考になれば幸いです。



長期金利と短期金利

まず今回上がった長期金利ですが、1年以上のお金の貸し借りに使われる金利を示します。国債の利回りや1年以上の定期預金などがこの長期金利を指標としています。そして、住宅ローンの固定金利も長期金利が関係しています。

長期金利は経済が活発になり物価高になった際に
上昇します。金利が上昇すれば企業や個人がお金を借りにくくなり、経済活動が抑え込まれ、その結果物価高も抑え込める作用があるからです。
(現在は物価高ではありますが、経済活動が活発と言う理由で金利を上げた訳ではないようです。)
金利上昇に伴い、銀行も高金利で資金を調達しなければならないので固定金利も上昇する仕組みです。

しかし、今回の金利上昇で影響があるのは新規で住宅ローンを固定金利で借りる方です。
既に固定金利で借りている方や変動金利の方には影響はありません。

一方変動金利は短期金利に連動しています。
短期金利とは銀行が優良企業へ貸し出す1年未満の短期貸出し金利を示します。この金利は各銀行が独自に決めていますが、日銀の政策金利を基に決められています。

日本人の約70%が変動金利で借り入れをしていますので、賃金が上昇していない日本で変動金利を急に上げる事はないと言われています。もし金利を上げるにしてもアメリカのように急激にあげるのではなく、徐々に上げていくのではないか?と言われています。
それでは、いつ金利が上昇するか分からない中、私達はどうするべきでしょうか?

1. 住宅ローンを借り換える
2. 繰上げ返済をする
3. 変動金利から固定金利へ変更する
4. 何もしない

1. 住宅ローンを借り換える

最近では金利0.5%以下の銀行が増えています。
思い切って借り換えをし金利を下げ、利息額を減らすのも一つの手段です。

借り換えの条件

1.金利差1%以上
2.返済期間10年以上
3.返済額1,000千万以上

上記の条件が目安となっていますが、金利差0.5%でも条件によってはメリットがあるようです。
ただ借り換えには事務手数料がかかり、大抵の銀行は借入額の2.2%としています。他にも印紙税や抵当権抹消手数料など、様々な手数料と書類のやり取りがあり、手間がかかる事が難点なので頭に入れておきましょう。多額の手数料と労力を使っても利息軽減効果が少なければ意味がないですから、何社か相談して見て、ご自分でもシュミレーションをしてみる事をお勧めします。
また、金利だけにこだわらず、最近はネット銀行を中心に団信保険もかなり充実していますので、
保険も含めて借り換えを検討されるのも良いかと思います。


2. 繰上げ返済をする

繰上げ返済は元金を減らせる事から、借入残高と残りの返済期間によっては効果が大きいです。
利息は借入額と借入れ期間によって計算されていますので、残債が多い時期ほど繰上げ返済をすれば利息軽減効果は大きくなります。
また、繰上げ返済をする際、期間短縮型と返済額軽減型の2種類ありますが、返済期間を短くした方が利息軽減効果は高くなります。
注意としては手元の資金が減ってしまう為、子供の教育費やいざと言う時の資金とは別に用意する必要があります。

また、住宅ローン控除を適用中の方は注意が必要です。住宅ローン控除は年末時点での借入残高に対して0.7%又は1%の控除を受ける事ができます。これによって所得税の還付や住民税の減額に繋がりますが、繰上げ返済によって借入残高が減ってしまえば控除額が減ってしまい、制度をうまく使うことができません。なので一般的には住宅ローン控除期間後に繰上げ返済をした方が良いとされていますが、繰上げ返済とどちらがメリットがあるのかは専門のアドバイザーにご相談された方が間違いはないかと思います。


3. 変動金利から固定金利へ変更する

変動金利は固定金利よりも低く、お金を借りやすい反面、金利が上昇した時の不安があります。
一方固定金利は借入れ期間中ずっと金利は変わりませんので、精神的には安心できます。
しかし、固定金利は変動金利よりも高く金利が設定されており、変動金利が上昇した時には既に固定金利も上昇していますので変更するタイミングに注意が必要です。

また、変動金利で借り入れたばかりで、まだ残債がかなりある方もよく考える必要があります。
利息は借入額が多い程多くつきます。その為、残債が多い時期に高い固定金利に変えてしまうと利息額が増えてしまいます。
一方金利が上昇したとしても変動金利の方が固定金利よりも低いので、借入れ当初の利息額は少なく済みます。


5年と125%ルール

変動金利には5年ルールと125%ルールの2つがあります。どちらも元利均等返済の場合に適用され返済の負担を抑える働きがあります。

5年ルール
5年ルールとは金利が上昇しても5年間は返済額を変更しませんよ!と言うルールです。なので急に返済額が増える心配はなく、その5年間で今後の準備をする事ができます。
しかし、注意が必要です!!
金利が上昇しているのに返済額が変わらないのには理由があります。それは返済額は変わりませんが返済額の内訳が変わっており、利息が占める割合が増えています。

例えば100,000円の返済額の内、今までは元金70,000円、利息30,000円だっとします。
それが金利が上昇すると100,000円の返済額は変わりませんが、元金60,000円、利息40,000円となるわけです。
5年間返済額は変わりませんが、確実に利息額は増えていますので元金の返済が遅れます。遅れた部分は返済期間の後半に支払う事になりますので、それを踏まえて返済計画を立てる必要があります。

また、金利上昇後に繰上げ返済をする場合はこの5年ルールは適用されません。
なぜなら今までと同じ返済額を5年間は適用すると言うルールですが、金利が上昇した時点で残りの借入額から返済額が再計算されるからです。

125%ルール
125%ルールとは金利が上昇しても今までの支払い額の1.25倍までしか増えませんよ!と言うルールです。
例えば毎月100,000円の返済額だった場合は、その1.25倍の125,000円が上限金額になります。
ただ上限金額はそれで済みますが、金利の上昇率によっては利息額が上限の返済額を上回ってしまう事が起こります。その結果利息だけを支払っていく状態が続き、最悪の場合ローン返済が終わっても未払いの利息分だけが残ってしまう可能性があるので気をつけましょう。
5年ルールも125%ルールもいずれも利息額が増えている事には変わらないので注意が必要です。


4. 何もしない

最後に金利が上昇しても何もしない方が良い方もいるかもしれません。
例えば残りの借入額が少なく、返済期間もわずかな場合です。返済額そのものが少ないので多少金利が上昇したとしても利息額は僅かで済みます。
無理に繰上げ返済するよりもそのお金を老後の生活費に充てるのも一つの考えです。
また、団信保険も返済が終了してしまうと保険期間も終わってしまいますので、体に不安がある方は預貯金と相談しながら決められると良いと思います。


繰上げ返済のタイミング

繰上げ返済をする際に金利上昇後にした方が良いのか、それとも上昇前にした方が良いのかどちらがよいのでしょう?
金利が上昇した後の場合、金利が上昇した分利息額が増え総返済額が増えていますので、利息軽減効果は大きいです。ですが、繰上げ返済する金額によっては返って毎月の返済額が増えてしまう場合があります。
もし、毎月の返済額の増額を防ぎたいのなら金利が上昇分した分の金額を繰上げ返済する必要があります。

金利が上昇する前に繰上げ返済した場合は、金利が低い内に元金を減らせるので総利息額が減り、返済額軽減型を選んだ場合は毎月の返済額は減ります。なので仮に金利が上昇しても上昇前に月の返済額を軽減していますので、その返済額が5年ルール適用の場合は変わる事はありません。
ちなみに繰上げ返済は銀行によって30,000円〜50,000円の手数料がかかる事があります。
事前に下調べをしてその分も加味して計画を立てていきましょう!


最後に

金利が上昇した場合の対応は各ご家庭の状況や収入、借り入れ状況などによって変わります。
いつ金利が上がるかは分かりませんので上昇してから慌てないように事前に対策を話し合っておけると良いと思います。

また、2024年からNISA制度が変わり投資できる金額が大幅にアップします。投資は確実に利益が保証されている物ではなく、自己責任ですが資金と時間に余裕がある方は増えた利益分でローンを返済できる可能性もありますから、制度を上手に使ってみるのも良いかもしれません。
いずれにせよ今後の日銀の動きには注目です。
黒田総裁の任期終了後の政策にかかっているのではないでしょうか。

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