墓地はボチボチ怖い
肝試しの定番のスポットは廃屋と墓地が二大巨頭だ。
廃屋の魅力は打ち捨てられた過去に秘めたる逸話だろう。
そこで誰かが殺されでもしていれば最恐となる。
その無念が怨念を作り出し肝を冷やしてくれる。
そう期待して
「はい今日は廃墟で肝試しでーす」
なーんて言われたら胸がドキドキするだろう。
しかし廃屋は勝手に入ってはいけない。
完全に不法侵入でお縄になる。
別の意味で胸がドキドキしちゃう。
「お化けに会いたい」
そんなピュアな気持ちを満たすにはハイリスクローリターンといえる。
では墓地はどうか。
名前が刻まれた墓石が立ち並ぶその雰囲気は筆舌に尽くしがたいモノがある。
まさにキングオブ肝試しスポットだ。
しかし、しかしだ。
そこには逸話がない。
そこに死者はいない。
なぜなら墓というのは死者のものではない。
生者が死者を想う為の装置なのだから。
なんにも怖いところはない。
雰囲気に能力を全フリしている。
だから怖がることはないのだ。
一方で本当はめっちゃ怖いはずなのに誰も怖がらずに遊びに行く場所がある。
それは規模が大きすぎて畏怖の念を抱きにくい。
そう墓地の始祖である古墳だ。
古のお偉いさんが寝る墓。
現代の墓地とは違い ガチ埋葬だ。
火葬なんてなまるぬいことはしない。
中にはお偉いさんの死後のお供にと生贄のように一緒に埋葬される事例もあっただろう。
そして装飾も豪華であり副葬品も多い。
想いが重い。
絶対いるよねおばけ。
いないと思う方がどうかしている。
古いから大丈夫?
おばけについて何にも知識がないのに なぜそう言い切れるのか。
古墳前でピースして写真をとってるそこのあなた。
冷静に考えるとヤバいってわかるよね。
もし自分のご先祖のお墓の前でフザケて写真とってる他人がいたらどう思う?
正気を疑うよね。
でも現実はそうならない。
墓地は怖くて古墳は大丈夫。
不可解。
逆だろうに。
これはイメージの質が原因だ。
そもそも肝試しとは想像力が豊かな方が楽しめる。
しかし古墳ともなると古すぎてイメージし辛い。
だから本当はやばいのに時間とともに怖さが薄まると勘違いしてしまっている。
今日たまたま道端にひっそりと存在していた古墳群を発見した。
説明文には「今でいう集団墓地」と書いてあった。
これはアカン。
お偉いさんのお墓は由緒があって出てくるおばけにも品がありそうだ。
でも集団の古墳はヤバい。
直埋葬を繰り返すからそこは恐ろしい場所になっているはずだ。
いわばおばけのアパートだ。
怖すぎ。
時が経っても薄れることのない不気味な雰囲気だった。
心霊系YouTuberは古墳群で一夜を明かしてみるといい。
いい映像が撮れるだろう。
え?
古墳とか身近にないって?
チッチッチ。
あまい。
ショボい古墳の上に今では住宅が建ってるなんてことはザラにあるだろう。
ほら あなたのお家の地下には今でも古の死者が眠っているかも。
要はイメージの質。
今 少しでもゾッとした人がいたなら。
今日は古の死者に想いを馳せて床につくのも一興。
不思議な夢が見られるかも。
肝試しなんてする必要はない。
家で想像するだけでいいんだ。
不法侵入ダメ絶対。
ではまた。
次回予告(ウソ)
「ぜんけいの家 心霊スポットになる」
の巻。
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