反出生の友達

高1のころ、インターネットに強い反出生主義の友達がいた。
私と彼は同い年で、私たちはよく深夜の3時頃に、反出生同士で啓蒙もしつつ長々と毎日語り合っていた。彼は高1とは思えないほど、意見がしっかりしていて、かっこよかった。普通の高校1年生ならそこまで考えられないだろうというところまで思慮をめぐらし続ける人はいなかったから。たまに的を外すことも言うけど、世界と少しズレているところも彼なりの価値観を感じられた。定期テスト前にはこの恒例が無かったりするのが少し寂しかった。だから、毎日朝と夜の感覚を麻痺させながら彼の話を聞いて、私も私なりの意見を言ったりして、沢山語り合えるうちに語り合った。私はあまり起きれなくて学校に通えなりつつあったけど、彼は勉強も頑張っていい成績を取って私が目指すところより遥かにいい大学に行こうとしていたな。

私が諸事情でアカウントを少し離れることになり、高3に再びそのアカウントを思い出しログインしてみた。久々に彼を見かけた。
彼は
"今日は何人に街で声をかけ、何人をホテルに連れ込んだ。何人と××××した。"
など発信し続けるだけのナンパ人間になっていた。

彼は子孫繁栄させる気満々の承認欲求の塊になっていた。
彼は昔私達が深夜語り合っていた日々よりは充実を感じているんだろうなとは読み取れたので、充実してるならそれはそれでいいか…と受け入れた。
が、私は、鬱憤とした画質の悪いアニメアイコンで反出生のことだけ考え、いち早くこの世を後にしようとするような、どんな救いの手も蹴散らしてしまうような孤高に溢れた2年前の彼ともう一度、命について語り合いたかった。
何が起こるかわからないな世の中。

彼は私のことに目もくれずかわいい尻軽の女の子を探しにこの街の喧騒に消えていったきり。私も彼のことを今まですっかり忘れ別の生活をしていた。昔より反出生などという言葉より遠い生活の中にいて、普通に暮らして音楽をたまに聞いたりして生きている。
見ている人には関係ないし本人は絶対見てないだろうけど私にも思いを馳せるあなたができたり、大学1年になった今新しい出会いがたくさんで毎日高校と違う楽しさに目が眩む。
変化は合法だから出会いは大切。なんぱはしないけど。

あなたももしかしたら私が見ないうちに変わるとこの経験上思った。
変われば、今を受け入れつつスっとすかしてまた歩き出そうかな。
でも変化は合法だから私の気持ちがあなたの心の片隅にあってくれればと祈るだけだった。

まだまだ寒い日が続きますが、暖かくなるソングひとつ。

https://youtu.be/vmk-qvd2Quw?si=ZMpiLof6ra01c4Rs

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?