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【MTG レガシー】 「青黒オムニテル」《鏡に願いを》採用型=「ミラー・オムニテル」の変遷 【初心者、復帰勢、自分と同じ親に向けて】

1.どーしてこーなった、どーしてこーなっちゃった(いっしょに精神錯乱音頭を踊ろう)。最初はおもしろカードを使った、たのしい変態デッキを作っていたはずなのですが。具体的には、これな↓。

日本時間で10月17日。レガシー禁止改定。今回は“変更無し”。
それは残念。禁止はともかく、“解禁”によって新しいデッキを編み出すチャンスがあるかもと、ワクワクしていたのですが。

許される……
はずがあるかぁ!!!

まあ、《ネクロポーテンス》は冗談9割としても、《ヨーグモスの取り引き》のほうなら、そろそろ良いんじゃないかな~、と。同じ6マナの《精神の願望》も大して悪さをしなかったワケだし。

以前の記事で、けっこう
がんばってみたのですが
伝説のコンボデッキ
「ピット・サイクル」のエンジンですな

しかし、今回は何も解禁されなかったのだから仕方ない。そこで《ヨーグモスの取り引き》の代役として、「レガシー」でも使える《リッチの熟達》のデッキを造りたいと思いました。これら↓のカードと組み合わせれば良いのです。

戦場に出たとき
20点のライフを得て
離れたときに失うカード
そいつを、くれてやるわ!
この2つが
いわゆる「ドネイト」の核
ちなみにどちらも、再録禁止カード

《リッチの熟達》は敗北条件を書き換えるルール破壊系カードで、得たライフと同数のカードを引けるようにもなります。《Illusions of Grandeur》なら20枚ドロー! 追加で引いたマナから《寄付》で《Illusions of Grandeur》を押しつけ、20点のライフロスを強いるか、大ストームの《苦悶の触手》で勝ち! デッキリストは、こう!

2.実験機ゆえ、初心者、復帰勢向けという記事のポリシーから逸脱し、再録禁止カード山盛りです。目指すは、現代の「ネクロ・ドネイト」だ。

このデッキ、「ヴィンテージ」の「セラピィバーゲン」を参考にしています。中心になるのは、死亡時の誘発効果でエンチャントをサーチし、直接、戦場に出せる《アカデミーの学長》。彼女を《陰謀団式療法》=「セラピィ」で生け贄にし、《ヨーグモスの取り引き》=「バーゲン」を繰り出すから、「セラピィバーゲン」。

この方も実は再録禁止なのだ
制定された時期の関係で
「ウルザズ・デスティニー」には特に多い印象

《アカデミーの学長》のおかげで、2~3ターンで軽々と《リッチの熟達》を戦場に出せるのは良し。《アカデミーの学長》→《陰謀団式療法》→《リッチの熟達》と動くのなら、通常の手段で「敗北」しなくなるので、ルートの途中で《否定の契約》を撃ち放題。《意志の力》と合わせて、めちゃくちゃに硬い防御を誇ります。

だいすき

ただ……あんまり強いデッキにできなかったのですよね。上のリストは未完成品なので、くれぐれも真似をしないように願います! 理由は明白で、《リッチの熟達》がその場で即座に勝てるカードでは無いということ。
ライフを得る手段を別に準備して、はじめて大ドローの報酬が手に入るカードなので、全展開で早出しをするだけでは何も起きません。同一ターンでさらに4マナの《Illusions of Grandeur》(もしくは、追加の《アカデミーの学長》)を唱えるのは容易ではなく、事実上、決着は次の手番以降に持ち越しです。

うーん……現代マジックとは思えない悠長さやな。元ネタの「セラピィバーゲン」自体も古いデッキで、何より「ヴィンテージ」環境の極悪マナアーティファクト群+《ヨーグモスの取り引き》ありきのパワーだったと改めて気づかされました。当たり前~。

それなら、別のアプローチ、プリーズ。
0マナで即座に15ドローが可能なこれらのカードを試してみました。《滋養の群れ》+「緑」の巨大コスト・カード。

ところが、これはビミョーの極み。本来のコンボの他に、別の用途がない専用パーツ2枚を手札に揃えなければならず、安定性が最低値に。キミも《アースクウェイク・ドラゴン》3枚が揃った初手を見て、おののくがいい。

こんな感じで迷走が始まるワケです。いつものことです、ええ。

《リッチの熟達》の影響下、0マナでライフを得られるカード……クリーチャー除去を兼ねた《魂の撃ち込み》は?

ダメ。4枚ドロー程度では決定打につながらない以上に、ピッチコストの黒い手札2枚を確保できない。それなら《ズアーの宝珠》は?

イマイチ。土地を2枚ドローに変換していって、それでも有効札にたどり着けなかったとき、目も当てられない事態になります。それに、このカード自体、重ね引いたときに弱すぎる。
ぬぅ。そもそも、《アカデミーの学長》を使って戦場に呼び出せる最強のエンチャントって……何だ???

答えは《全知》。まず間違いないでしょう。

《圧倒的輝き》や《鳩散らし》も捨てがたいけどな!

↑こういうことをして
息の根を止めるためのカード

全ての呪文コストを0にできる《全知》を優先的に引っ張ってくれば、手札から《リッチの熟達》《Illusions of grandeur》(もしくは、それらの代替になるサーチカード)を順番に唱え、20枚の手札で圧し勝てる。
《アカデミーの学長》がデッキ内に4枚しかなく、安定感に欠けるのも不満点だったので、5~8枚目として、おあつらえ向きの最新カードを使うことにしましょう。「エルドレインの森」産の超兵器。《鏡に願いを》!

「協約」条件を満たすためにデッキ構成を工夫する必要があるとはいえ、キーカード《アカデミーの学長》も4マナ圏内でまさに完璧。すばらしい。《全知》と《鏡に願いを》こそが、《リッチの熟達》を活かすための完全な選択です……。

(さて。勘のイイ読者の方はお気づきだと思います。《全知》の採用を思いついたあたりから、一気に雲行きが怪しくなりました。ここまでの全てが、次のデッキを生み出すための茶番でしかなくなります)

「ん?」

そんでもって、ブラッシュアップをかけた形がこう!!!

3.「青黒オムニテル」《鏡に願いを》採用型……仮に「ミラー・オムニテル」とでもしておきましょうか。
このリストはもっともプレーンな形を抽出したものに過ぎず、実際にはマナベースの細部などを調整し、《呪文貫き》などのソフトカウンターや《定業》などの追加のドロー・カードを搭載する余地があり……おっけー、おっけー。殴らないで。まだ殴らないで。

上でさんざん悪戦苦闘したパーツが、魔法の如くに全部消え去っています。《リッチの熟達》は? 現代の「ドネイト」はよ。どこ行ったん? ふしぎだナー。

「にっこり」

要するに、デッキ構築時のあるあるネタ筆頭、「入れたかったカードが全部抜けて、デッキが完成」の罠にハマったのでした……そのおかげで、再録禁止カードを1枚も使わずに済み、こちらのほうが記事の主旨に合う皮肉さよ。

いや、あの、ぎりぎりまで、《リッチの熟達》内蔵型を試していたのですよ!!?
調整(=魔改造)は、おおざっぱにこんな過程で進みました↓。

第1段階:白を含む4マナと重く、ほかに生け贄手段が必要になる《アカデミーの学長》が微妙な立場やな……。
下準備が不要なうえ、青くてマナベースの負担も少ない《実物提示教育》のほうがずっと撃ちやすいはず。純粋な速さも、こちらが上。

第2段階:ライブラリー内からのサーチに頼る《アカデミーの学長》型ではなく、《実物提示教育》型にするなら、手札に来てほしい《全知》は4枚を採用したい。一方で、ほかのパーツ、《リッチの熟達》や《Illusions of grandeur》は《鏡に願いを》で探せるから少数で良いな……。というか、ちょっと回してみた感触だと、《全知》と《鏡に願いを》って物凄く好相性なのでは?

《全知》前の世界では、5~8枚目の《実物提示教育》として振る舞うことができ、《全知》後にはフィニッシュ手段に変換可能、「協約」抜きでも0マナで叩きつけられるようになるし。

「協約」で唱えないなら
5マナ以上のカードも
問題なくサーチできるのがポイント

第3段階:ダメだ……勝てない。《リッチの熟達》+《Illusions of grandeur》は勝つために両方が必要で、《全知》後にどちらも探すのは迂遠に過ぎる……あと、今さらながら《オークの弓使い》1枚で戦略が瓦解するのが、どうにもならぬ。

ほんま、おもしろコンボ殺しやで……

つまり、今回の構成では2枚を足し合わせても、このカード1枚に勝てない。ただ1枚にして、“究極”。女神《引き裂かれし永劫、エムラクール》に!!!

《全知》から唱えてもよし
《実物提示教育》から直に出してもよし
あと、美しい……
アイ アムラクール……

こうして、《鏡に願いを》搭載型「青黒オムニテル」=「ミラー・オムニテル」が完成してしまったのでした……。この病気の最終段階:うわごと、ひきつけ、そして死。

くーん……

デッキビルダーの端くれとして、悔しくも嬉しくもある複雑な心持ちですが、困ったことに……《リッチの熟達》で苦慮していたときより、明らかに強いです。それも桁違いに、です。
5~8枚目の《実物提示教育》、あるいは5~8枚目の《引き裂かれし永劫、エムラクール》、そのどちらにも変換できる《鏡に願いを》がデッキ全体を引き締める“マスターキー”になったことで、速さも安定性も跳ね上がっています。

たとえば、土地1~2枚+0マナアーティファクト+《暗黒の儀式》から、《実物提示教育》か、《鏡に願いを》を経由して《実物提示教育》。《全知》を戦場に出し、0マナで《引き裂かれし永劫、エムラクール》を手札か、《鏡に願いを》でサーチしてから唱える。これがもっとも普通の攻撃パターン。

「オムニテル」なのに黒マナだけで始動できるのも
得難い個性

結果。安定して、2~3ターンで《エムラクール》着地ですね……。
「協約」用のアーティファクト枚数や、マナベース、最適な妨害の選択など、まだ細部を詰めきれていない状態でこれです。
黒いデッキで手札破壊も積めるぶん、呪文戦、特にコンボ同士の決戦に強いのも良し。サイドボードにはこのカードも搭載できます。

今宵も
ア イ ド ル 登 場
当然《鏡に願いを》圏内
ズルくない???

深いポテンシャルを感じるデッキなので、ぜひ自分でも試したいと思いつつ……、
はい、どーしてこーなった、どーしてこーなっちゃったー(精神錯乱音頭)。

まあ、本音を言えば、こんなものです。デッキ作りの悦びとは。
行ったり来たりをくりかえし、袋小路に迷いこみ、落とし穴にもハマって。1本道でまっすぐ目的地に辿り着けることはめったにありません。そうして手に入るのは往々にして、はじめに思い描いたものとは、別の宝箱。

今回は読者のみなさんにも新しいデッキを生み出す楽しみを味わってもらえればと、いつもより開発の過程に重心をおいた記事にしてみました。
《アカデミーの学長》→《リッチの熟達》型「ドネイト」が未完成なのは心残りで、また別の変化があったときに挑戦してみたいテーマですが……というか、やはり、こちらが解禁されないとデッキにならないのか?!!

みなさんもぜひ機会があれば、自分なりの新デッキに挑戦を。きっと、大丈夫。「レガシー」は寛容です。マジックの歴史そのものといえる膨大なカードと戦術群が思いがけない道を指し示してくれるはず。
スタートはいつも、お気に入りのカードから。

はじめは副産物的な存在として生まれた「青黒オムニテル」=「ミラー・オムニテル」。
2枚コンボの理想形に近いプロポーションが美しく、思いがけず好みのデッキになりました。さらに磨き上げれば、一線級の強さになってくれそうな予感もしています。成長が楽しみじゃ。
それでは、また。貴方にも女神《エムラクール》の加護があらんことを。

アイ アムラクール……
(記事の途中から
精神を乗っ取られて、お目目ぐるぐる)

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