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【MTG レガシー】「アーボーグ型ドゥームズデイ」取り扱い説明 ~今日はどんな5枚を選ぶ?~

「Doomsday」は素敵なデッキ。Doomsday.wikiもそう言っています(意訳)。しかし、正直なところ、難しそうで取っつきにくそうなデッキ、という印象を持つ方が多いと思います。その理由はキーカード《最後の審判》の難解さにあるのではないでしょうか。

撃つだけでは勝ちが決まらず、デッキから5枚のカードを選び、専用のライブラリー“パイル”を組む必要があるのが《最後の審判》の、厄介な……いや、ええと。たのしいところ。
さらに何らかの方法で5枚のライブラリーを掘り進め、《タッサの神託者》を戦場に出すことで、パイル完走。勝ちです。あの、つい最近知った真実をお伝えしたいのですが……マジック・ザ・ギャザリングって、元々のルールでは20点のライフをですね……。

そうやったん?

いったんこれを撃てば、ゲームの性質さえ大きく変える力を持つ《最後の審判》。そのぶん具体的にどうすればいいか、わかりにくいことも多いと思います。少なくとも僕は困りました。何なら今でも、撃つたびに困っています。

庭園の管理がフブルスプのお仕事
草花のアレルギーがあるのにね……

初心者や復帰勢に向けて、「扱いやすくて揃えやすい“易しいDoomsday”を作ろう」というのが、再録禁止カードを使わない「アーボーグ型ドゥームズデイ」のテーマ。
自分自身も勉強中の身ですが、復習も兼ねて、ごく簡単な使い方ガイドを書き記しておきたいと思います。今日は、パイルの組み方、選び方について。無謀な試み? 心からそう思う!

実はこのデッキ、《最後の審判》を通すだけなら、それほど難しくはありません。むしろ安定していて、素直なデッキだと感じることが多いです。コンボパーツの省スペースさが「Doomsday」の武器。《意志の力》をはじめとした12枚もの妨害呪文のおかげで、スペル戦ではそう簡単に遅れをとりません。
しかし、必殺の一撃を放つ瞬間がそのまま致命の隙に、という古事記の時代からのお約束を体現しているデッキでもあります。
《最後の審判》は、撃ったあとこそが難しい! それ単体では決して勝てないカードなので、手札やマナの状況次第では相手にターンを返さざるを得ず、半減したライフを狙われたら、即、撃沈。判断ミスで最後の5枚を積み間違え、自爆も頻繁に。

サヨナラ!!!

失敗を重ねながら使い手のほうが成長していくデッキだと思うのですが、せめて誰かの助けになればと、筆をとります。いつも以上にニッチすぎる内容になりそうで、戦々恐々としていますが。
そして紹介する立場として、黙っているのはフェアではないので、この機会に「アーボーグ型」が一般的な「Doomsday」に劣る“最大の弱点”も晒しておきたいと思います。後述します。

このカードの不在?
それは意外と大きな問題になりません

デッキの内容は、こう。再録禁止カードを使わない「アーボーグ型ドゥームズ」です。

1.始めます。「アーボーグ型」で用いるパイルは、大別すると、3つのパターンに分かれます。
最初の主役は、このカード。

《最後の審判》を撃ったあと、2マナ余っていませんか? そのうえで「サイクリング」カードが手札に? それとも《予報》か《考慮》を持っていますか? おめでとうございます、勝ちです(ほぼ)。

A「リアニメイト・ルート」
①《予報》→②《タッサの神託者》→③《秋の際》→④《水蓮の花びら》→⑤《発掘》
前提 青を含んだ2マナがあること 手札に「サイクリング」カード1枚があること

ステップ1:「手札の「サイクリング」カードで、ライブラリートップの《予報》を引く。ライブラリーは残り4枚」
ステップ2:「青を含んだ2マナで《予報》を唱える。対象は自分、指名するカードは《タッサの神託者》。ライブラリー2枚目の《タッサの神託者》を墓地に。《予報》の効果で、3枚目と4枚目の《秋の際》《水蓮の花びら》をドロー。ライブラリーは残り1枚」
ステップ3:「《秋の際》でサイクリング、ライブラリー5枚目の《発掘》を手札に。ライブラリーは残り0枚」
ステップ4:「《水蓮の花びら》を戦場に。黒マナを生み、《発掘》を唱える。ステップ2で墓地に落とした《タッサの神託者》を戦場に。能力解決でパイル完走」

文章だとわかりにくくて申し訳ない
今日は、あと2種類、紹介したいんじゃが

これが「アーボーグ型」の基本技です。まずはこのパイルだけ覚えてもらえれば、戦えるはず。
《予報》は対象のプレイヤーのライブラリートップを墓地に落とし、それが指名したカードだった場合、2枚を引けるカード。
「《予報》の効果で《タッサの神託者》を墓地に落としつつ、《発掘》とそれを撃つための黒マナを確保。そうして、いったん墓地に落とした《タッサの神託者》を戦場に釣り上げて勝つ」
これが「リアニメイト・ルート」の流れです。
マナ以外の条件がとてもゆるく、余計な手札をまったく消費しないため、《意志の力》や《否定の契約》などの打ち消し呪文を構えたまま、パイル完走を狙えます。《忍耐》や《激しい叱責》など、《最後の審判》そのものを打ち消さずに、パイル進行に割り込んでくるタイプの妨害にも強いです。

このカードを最大限に活かせるよう
手札が減りにくい構築を目指しています

《予報》で2枚を引くことができるので、マナか手札に余裕があれば、パイルの途中に《否定の契約》や手札破壊などを仕込みやすいのも、このルートの長所。

このカードを構えている間が
至 福 の 時

欠点は、必ず2マナが必要なこと。手札破壊などの妨害をはさみながら《最後の審判》を通し、さらに都合よく2マナを用意できる場面はそれほど多くありません。特に序盤に撃つほど。いったんはターンを返し、マナに余裕がある次の手番での決着を狙うほうが多いと思います。
その1ターンの隙を突かれないよう、充分な備えが必要になります。《強迫》や《思考囲い》は《最後の審判》を通すだけではなく、パイル完走の安全を確保するためにも。パイルの一番上に手札破壊を積んで、改めて前方確認をするのも有効です。

デッキの尖兵で、裏の主役ですね

複数の呪文をチェインさせるタイプのパイルなので、ヘイトパーマネント系の妨害に引っかかりやすいのも難点。

気絶

他のルートと異なり、墓地対策にも引っかかります。「土地単」に積まれる《ボジューカの沼》のことを失念していて、9:1と言われることもある相性差をひっくり返され、僕は敗けました。

白目

《赤霊破》《紅蓮破》も苦手です。黒の呪文である《暗黒の儀式》《最後の審判》に当たらないぶん、2マナで青い《予報》は格好の標的に。

ひえっひえ

総じて、メイン戦向きのパイルだと思います。

1ターン目、《島》を置き、キャントリップでの準備。
2ターン目、《沼》を置き、手札破壊での妨害、兼、2戦目以降を意識した情報収集(+打ち消し呪文構え、もしくは追加のキャントリップ)。
3ターン目、攻撃開始。《暗黒の儀式》→《最後の審判》。3枚目の土地を置き、《予報》用の2マナを確保。打ち消し呪文を構えつつ、「サイクリング」カードで「リアニメイト・ルート」突入。そのまま、決着。

というのが、理想的な(かつ、常識的で、よくある)ストーリー展開です。

2ターン目には《沼》の代わりに《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を置き、手札破壊と、《暗黒の儀式》からの《最後の審判》で同時攻撃。いったんターンを返して、改めて3ターン目での「リアニメイト・ルート」完走狙い、というのも頻発する攻撃パターンですね。

《島》から黒マナを出せるようになります
想像以上に便利

対戦相手がいるゲームなので、必ずこの通りの展開になるわけではありませんが、初手を選ぶ段階から、勝ちまでの流れを意識しておく価値は大きいと思います。

《考慮》は《予報》とほとんど同じ役割を果たすことができるカード。どちらかを《意志の力》のコストに消費しても、「リアニメイト・ルート」に突入できます。

レガシー環境のキャントリップとしては
強くないですが

《予報》との細かな違いは、こちらは1マナのカードだけでパイル進行できるので《虚空の杯》X=2を避けられること。《考慮》自体が1マナと軽い反面、パイルの途中で追加のマナソースを拾えないので、《発掘》を撃つための黒マナ源を先に用意する必要があること。実際の色拘束は《予報》より少し厳しいです。

《考慮》の場合は《島》だけで走りきれません

《発掘》が手札にある場合は、《考慮》なら青マナ1つでパイル突入できるのも利点ですね。こんなふうにパイルを積みます。
①《考慮》→②《タッサの神託者》→③《秋の際》→④《秋の際》→⑤《水蓮の花びら》
前提 手札に「サイクリング」カードと《発掘》、青マナ1つがあること

まずはこの「リアニメイト・ルート」を練習すれば、よほどのことがない限り、大丈夫。
ただし実戦では様々な「よほどのこと」が起こります。運良く1ターン目に《最後の審判》を通したとしても、その場で完走する手札やマナが整っていない場合がほとんど。そうして相手にターンを返したあとで、打ち消し呪文を引かれる危険もあります。相手が先んじて犯罪級ヘイトパーマネントを置いてくることも。
そういうときのために、次のパイルを使ってください。こちらのパイルの主役になるのはこのカードたち。

B「サイクリング・ルート」
①《魂の洞窟》→②《通りの悪霊》→③《秋の際》→④《秋の際》→⑤《タッサの神託者》
前提 戦場に《島》1枚があること 《最後の審判》後、対戦相手に2ターンを渡しても、3点のライフが残ること

ステップ1:「《最後の審判》を通したあと、何もせずにターンを終える」
ステップ2:「ドローステップにライブラリートップの《魂の洞窟》を引く。何もせずにターンを終える。ライブラリーは残り4枚」
ステップ3:「ドローステップにライブラリー2番目の《通りの悪霊》を引く。ライブラリーは残り3枚 そのまま《通りの悪霊》をサイクリング、ライブラリー3番目の《秋の際》を引く。ライブラリーは残り2枚」
ステップ4:「《島》から青マナを出す。そのあとで《島》を生け贄にして《秋の際》をサイクリング。ライブラリー4番目の《秋の際》を引く。ライブラリーは残り1枚、マナプールに青マナ1つ」
ステップ5:「ステップ2で引いておいた《魂の洞窟》をプレイ、指名はウィザード。2つ目の青マナを出したあと、生け贄にして《秋の際》をサイクリング。ライブラリー5番目の《タッサの神託者》を引く。ライブラリーは残り0枚、マナプールに青マナ2つ」
ステップ6:「《魂の洞窟》から出した青マナの効果で“打ち消されない”《タッサの神託者》を唱え、能力解決でパイル完走」

「打ち消されない」というパワーワードよ

長々と書いていますが、要するに《最後の審判》のあと、
「一切の呪文を唱えず、通常ドローとサイクリングだけでライブラリーを掘り進め、最後は《魂の洞窟》によって打ち消されない《タッサの神託者》を唱える」
これが「サイクリング・ルート」の流れです。
通常ドローに頼るぶん、完走まで2ターンという時間がかかる代わりに、とにかく妨害に強いのがこのパイル。起動型能力であるサイクリングはめったに邪魔をされず、多くの干渉を無視できます。
各種打ち消し呪文はもちろん、手札破壊、墓地対策、《赤霊破》系、《エメリアのアルコン》《スレイベンの守護者、サリア》《虚空の杯》《相殺》、意識して3マナを確保すれば《三なる宝球》の影響さえ最小限に。

ストーム系コンボ即死装置

「リアニメイト・ルート」と弱点が反転している部分があり、こちらのパイルを選ぶほうが有効な場面は多いです。
たとえば、打ち消し呪文以外の干渉手段を持たないデッキ、「URデルバー」に対し、クロックが現れる前の最序盤に《最後の審判》を通したときに。パイル進行をまったく妨害できなくなり、勝ちが確定することも。

せいぜい本体を狙うだけに(充分、危ない)

たとえば、白やアーティファクトのヘイトパーマネントに妨害を頼るデッキ、「デスアンドタックス」や「イニシアチブ」などに。先に場に出されていたとしても、《最後の審判》さえ通せば、ヘイトクリーチャーの多くを無視できます。ただし「イニシアチブ」クリーチャーの打撃力は脅威なので、ターンを返しても生きられるかは戦場の様子を見つつ。

こいつの影響下では
《魂の洞窟》がタップインになる点に注意
いっそ《島》のほうが安全か

2ターンを渡す必要があると書きましたが、あらかじめ手札に「サイクリング」カード1枚か、《タッサの神託者》か《魂の洞窟》の片割れがある場合、パスターンを1回だけに短縮が可能に。
そもそも《魂の洞窟》が必要ない場合、「サイクリング」カードと《タッサの神託者》だけでパイルを固めればいいので、とても簡単。

効く相手と効かない相手が
くっきり色分けできるカードなので

《最後の審判》のあと、《タッサの神託者》を唱えるための青2マナが余っていて「サイクリング」カードが手札にあれば、「リアニメイト・ルート」と同じく、そのままターンを返さずに勝ちを狙うこともできます。
その場合、デッキ内の「サイクリング」カードだけでは、パイルを埋める枚数が足りなくなるので、《島》をパイルの5枚目に積み、フェッチランドと組み合わせれば、きれいにライブラリーを空にできます。
たとえば、こんな積み方。
①《通りの悪霊》→②《通りの悪霊》→③《秋の際》→④《タッサの神託者》→⑤《島》
前提 戦場に《島》と未使用の「フェッチランド」、手札に《秋の際》があること

上手く使えば、ライブラリーの枚数を減らせます
無駄遣い、もったいない

様々な応用がきく「サイクリング・ルート」ですが、欠点はやはり、遅さです。ほかの条件が整っておらず、《タッサの神託者》と《魂の洞窟》の両方が必要なときは、怒濤の2回連続「何もせずにターンを終える」。要するに「俺がこいつに」状態。

こいつ

2ターンという時間は長く、危険です。《最後の審判》の効果でライフが半減した状態では特に。
対戦相手のクリーチャーに攻撃されている状態だと、かなりリスキーなパイルで、使いたくても使えません。コンボと速度を争うときも、怖くて、とてもとても。
また打ち消し呪文に無敵といっても、この手のカードには無力です。《忍耐》《激しい叱責》。バント系のコントロールデッキがメインボードから搭載している印象が強いカードたちですね。

ヘイトパーマネントでは次のようなカードたちが苦手。《迷宮の霊魂》《船殻破り》などの追加ドロー阻害型は、先出しされていなければ「サイクリング」を使うタイミングを工夫することで避けられますが、なかなか面倒。

「イニシアチブ」搭載のクリーチャーでは、《選定された平和の番人》に《タッサの神託者》を指名されて、2マナを課税されるのが不味いです。《タッサの神託者》を“唱えない”「リアニメイト・ルート」が適している場合も。

あっ、手札にないカードも指名できるん?
となったカード
《精鋭呪文縛り》と紛らわしい

さらに注意が必要なのは、「サイクリング・ルート」は少なくとも3枚以上の「サイクリング」カードを必要とすること。「サイクリング」カードは2戦目以降、追加の妨害枠を作るために、2枚ほどをサイドボードに下げることが多いです。これを忘れてしまうと、いざパイルを組もうとして頭を抱える羽目に。
こうした欠点を加味すると、けっして万能ではなく、使う相手とタイミングを選ぶパイルです。ライフ管理が繊細になり、失敗もしやすいです。

半減したライフで
複数回の2点支払いを強いられる

「サイクリング・ルート」が活きる場面は対戦相手や試合展開により刻々と変わり、打ち消し呪文で保護する前提の「リアニメイト・ルート」よりも扱いが難しい印象です。そのぶん柔軟に使い分けられれば、「リアニメイト・ルート」で突破できない局面を軽々と打破できる武器になるので、チャンスを見極めて、試してもらいたいパイルです。

さて。ここまで紹介した2つのパイルは、比較的、展開をコントロールできている状況で有効なものでした。マナに充分な余裕があるか、ターンを返しても死なずにすむか。
しかし実戦では、鉄火場のように追い立てられて《最後の審判》を唱えざるを得ない場面があります。ライフをガンガン狙ってくる相手とのレースを繰り広げ、死んでもターンを返したくないとき。同等以上の速さのコンボデッキとぎりぎりの駆け引きを演じ、わずかな隙で首をはね飛ばしたいとき。
3番目に紹介するのは、そういう場面で輝くパイル。主役になるのは、このカード。

C「《渦まく知識》→《水蓮の花びら》ルート」
①《通りの悪霊》→②《水蓮の花びら》→③《水蓮の花びら》→④《水蓮の花びら》→⑤《タッサの神託者》
前提 手札に「サイクリング」カード1枚、「渦まく知識」1枚、不要なカード2枚があること

ステップ1:「手札の「サイクリング」カードで、ライブラリートップの《通りの悪霊》を手札に。ライブラリーは残り4枚」
ステップ2:「《通りの悪霊》をサイクリング。ライブラリー2番目の《水蓮の花びら》を手札に。ライブラリーは残り3枚」
ステップ3:「《水蓮の花びら》を戦場に。青マナに変換。そのマナで《渦まく知識》を唱える。ライブラリー3、4番目の《水蓮の花びら》2枚、5番目の《タッサの神託者》を同時に手札に。ライブラリーに不要なカード2枚を戻す。ライブラリーは残り2枚」
ステップ4:「《水蓮の花びら》2枚を戦場に。青2マナに変換。《タッサの神託者》を唱える。青の信心が2、ライブラリーが2枚なので、条件達成。能力解決でパイル完走」

「リアニメイト」「サイクリング」の各パイルと違い、《最後の審判》直後、マナに一切余裕がない状態でも勝ちにいけるパイルです。ターンを返すことは考えず、その場で決着をつけるための技。「アーボーグ型」で1ターンキルが発生するときは、ほぼこのパイルが関わります。

0を1に変えるカード

要約すると、
「サイクリングによって青マナを確保しつつ、ライブラリーを《水蓮の花びら》2枚と《タッサの神託者》1枚だけにし、3枚とも《渦まく知識》で一気に引ききる」
というのが、このパイルの流れ。
始動条件の融通性もポイントで、《渦まく知識》が手札になくても、代わりに青マナ1つ、それとも、もう1枚「サイクリング」カードがあれば、ライブラリーに積むカードを入れ替えることで、問題なくパイルに突入できます。マナがお互いに窮屈で、手札に使いきれないカードがある序盤の強襲用として最適です。
3種のパイルの中で最速。その代わり、もっとも妨害に弱いパイルです。ライブラリーのカードを引ききることができない、いわゆる「不完全なパイル」なので、《タッサの神託者》にクリーチャー除去を当てられたら勝利条件を満たすことができず、敗れるからです。

完全に急戦用で、相手に浮きマナが生じる中盤以降、打ち消し呪文のバックアップか手札破壊の前方確認なしではとても使えません。その一方で、除去が薄くなるサイドチェンジ後や、そもそも除去を装備しないコンボデッキなどには有効です。ヘイトパーマネントで邪魔してくる相手を、先回りして速さで圧倒したいときにも。
《目くらまし》と特に相性がよく、窮屈なマナ域でも《最後の審判》を守りつつ、手札に戻した《島》を《渦まく知識》でライブラリーに戻すために利用できます。

2枚を採用している理由です
最近の「Doomsday」では1枚が主流

《渦まく知識》で戻す2枚のカードが必要という条件は、消耗戦で問題になりやすいです。しかし、そういう試合ではマナのほうが充分に伸びているケースが多く、より安全な「リアニメイト」か「サイクリング」ルートを選ぶほうが適していると思われます。
それから《水蓮の花びら》もサイドボードに下げやすいカードです。普通は速度の必要が薄い相手のときにサイドアウトするのですが、このパイルを選んで急襲をしかけたい場面もあるので、デッキ内の枚数に注意。

2.ふぅ。文章ではわかりにくい内容が続き、申し訳なく思います。簡単に3種を並べると、このような特徴になります。

A「リアニメイト・ルート」

速度 中 呪文耐性 強 置物耐性 弱
・使えるマナに応じてパイルの自由度が高くなり、《意志の力》《否定の契約》を構えやすい
・始動用のカードがデッキ内に6枚と、もっとも多い 
・3種のパイルの中で唯一、墓地対策に引っかかる 
・苦手な種類の妨害が少ないメイン戦で有用 《最後の審判》後、1ターンを返し、充分なマナ量と打ち消し呪文や手札破壊を確保して決着に望むことが多いパイル
・即死条件は、青を含む2マナと、手札にサイクリング1枚(もしくは《予報》《考慮》)

B「サイクリング・ルート」

速度 弱 呪文耐性 強 置物耐性 強
・2ターンを返しても死ななければ、打ち消し呪文では妨害をされない
・戦場に出ているヘイトパーマネントの多くを無視して、パイル進行が可能
・好条件が整わない限り、決着までが遅く、ライフ管理がシビアで不測の事態にも対応しづらい
・1ターン目に《最後の審判》を撃ったあと、妨害無効を狙って組むことが多いパイル もしくは、ヘイトパーマネントを意識しての選択
・即死条件は、青2マナと、手札にサイクリング1枚(ライブラリーを0枚にするため、青マナ源のうち、1枚は未使用の「フェッチランド」が望ましい)

C「《渦まく知識》ルート」

速度 強 呪文耐性 弱 置物耐性 弱
・《最後の審判》後、マナがない状態でも即座に決着を狙える
・手札の枚数以外の条件はゆるく、即死攻撃の機会が多い
・3種のパイルの中で唯一、クリーチャー除去に引っかかる
・急戦用。対戦相手にターンを返すことを想定しない。仮想敵は、アグロ、コンボ。撃った以上、その場でどちらかが必ず死ぬ、という気概で組むパイル
・即死条件は、サイクリング1枚+《渦まく知識》1枚(もしくはサイクリング1枚か、青マナ1つ)+2枚の手札が余っていること

主観では、このような内容になります。
扱いやすく裏目が少ない「リアニメイト・ルート」を基本に、対戦相手と盤面に応じて、ときどき「サイクリング・ルート」。デッキに慣れてきたら、頭の隅に「《渦まく知識》ルート」の条件を置いておき、隙を見て即死攻撃を狙う、というふうに3種のパイルを使い分けていくのが良いのではないでしょうか。だんだん、殺意を増していってください。

どんどん、こんな顔で

ただ、注意していただきたいことがあります。以上で紹介したのは、あくまでも「アーボーグ型」におけるパイルの使い分けにすぎないということです。
最後にもうひとつ、別のパイルを紹介させてください。この「アーボーグ型ドゥームズデイ」は再録禁止カードを使わず、「初心者や復帰勢にも扱いやすく、揃えやすい“Doomsday”」を目指している作品です(需要があるのかはともかく)。
一般の「Doomsday」の単なる廉価版にならないよう、工夫を重ねているつもりですが……弱点はあります。同種の多くに装備されているこのカードを使えないという点です。

D「《渦まく知識》→《ライオンの瞳のダイアモンド》ルート」
①《ライオンの瞳のダイアモンド》→②《通りの悪霊》→③《予報》→④《水蓮の花びら》→⑤《タッサの神託者》
前提 手札に《渦まく知識》1枚と余りのカード1枚 青マナが1つ

ステップ1:「《渦まく知識》を唱える。《ライオンの瞳のダイアモンド》《通りの悪霊》《予報》を手札に。上が《予報》、下が手札の不要なカードという順番でライブラリーに戻す。ライブラリー残り4枚」
ステップ2:「《ライオンの瞳のダイアモンド》を戦場に。
手札の《通りの悪霊》サイクリング。スタックして、《ライオンの瞳のダイアモンド》を青3マナに変換、手札をすべて捨てる。《通りの悪霊》サイクリング、解決。《予報》を手札に。ライブラリーは残り3枚、マナプールに青マナ3つ」
ステップ3:「《予報》を唱える。対象は自分。指名は「ステップ1」でライブラリーに戻した不要カード。不要カードを墓地に。ライブラリー4枚目5枚目《水蓮の花びら》《タッサの神託者》を手札に。ライブラリーは残り0枚、マナプールに青マナ1つ」
ステップ4:「《水蓮の花びら》を戦場に。青マナに変換。青2マナで《タッサの神託者》を戦場に。ライブラリーは0枚。条件達成。能力解決でパイル完走」

おつかれさまでした

先ほどの分類に従えば、
速度 強 呪文耐性 弱 置物耐性 弱
というところでしょうか。
「《渦まく知識》と《ライオンの瞳のダイアモンド》を組み合わせ、パイルの途中で手札を全部失う代わりに、即時の勝利を狙う」急戦型のパイル。
今の「アーボーグ型」にできないことが、これです。「《渦まく知識》+青マナ1つ」という条件でパイル完走を狙うこと。接近戦で選べる武器が1つ少ないというイメージです。

《ライオンの瞳のダイアモンド》は、手札を全て捨てる、という強烈な個性が敬遠され、コントロール志向が強いタイプの「Doomsday」では装備されないことがあります。「アーボーグ型」の元型として参考にさせてもらったのも、そんなリストの1つでした。
「手札が減りにくい構成にし、最大速度で一歩劣る代わりに、スペル戦で優位を取りやすいリスト」「基本土地を中心に運用し、安定して粘り強く戦える足回り」
「アーボーグ型」が、多くのタイプが存在する「Doomsday」の中では遅めで、コントロール寄りの立ち位置を目指してきたのは、逆に言えば、急戦において大きな弱点を抱えているからです。

もしも「アーボーグ型ドゥームズデイ」を参考に、レガシー環境に飛び込みたい、と言ってくれる方がいるとすれば、このデッキの“弱点”も伝えておかなければフェアではない、と考えたのが、この記事を書いた本当の動機です。

今の僕は《ライオンの瞳のダイアモンド》を、どうしてもデッキに入れなければ! などとは思いません。それがないと瀬戸際で勝てないという、ぎりぎりのレベルまで、このデッキに習熟しているとは到底思えないからです。まだまだ、できる工夫がたくさんあります。あり過ぎて困るくらいです。
しかし……「やらない」と「できない」の間、デッキの中に選択肢があるか無いかの差には、やはり大きな隔たりがあります。

いずれ、禁を解いて、再録禁止カードをデッキに入れるならば。
《Underground sea》よりも《ライオンの瞳のダイアモンド》を優先してデッキに入れることになると思います。
あ、いや……今の流行を意識するなら、真っ先に解禁する再録禁止カードはこれなのでは???

キミ、再録禁止カードだったんか!!!

3.いつにも増して読みづらい記事に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。今日は、ステップごとに番号をつけてパイル進行を書き連ねつつ、このカードのフレーバーテキストがぐるぐると頭を巡っていました。

ステップ1:君の従兄弟を見つける……

もちろん、上に書いたパイルは基本の形を紹介した例にすぎません。回せば回すだけ、応用が見つかり、新しい発見があります。冒頭では《最後の審判》について「厄介やな……」などと書きましたが、いえ。楽しいカードで、奥深いデッキです。
もし興味が生まれたら、プロキシで充分なので、パイルだけでも並べてみてもらえたらと思います。パズル気分で延々と遊べますから。それでは、また。

ステップ2:君の従兄弟を大砲に……

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