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1. はじめに/渡り介護士の見る景色

介護士の転職は賭けの様なものである。

なぜならば、介護施設内の人間関係と上下関係、考え方や指導の仕方、設備の違い、残業の有無や待遇の違い、利用者の様子や性格などなど…。
複雑すぎる職場環境は数ある介護施設の全てが違っていて働いてみないと自分が続けていける介護施設なのかどうか判らないからである。

たくさんの介護施設の中でも、〝自分に合った〟施設には、ほぼ辿り着かない。
せめて〝自分が我慢できる〟施設を探し当てなければならないのだ。

反対に介護施設側からすれば、おそらく利用者はもちろん、介護士もその他の従業員も皆が楽しく優しさに溢れた施設として、そしてやりがいのある職場として運営をしたいと思っている様だ。
ホームページ、ブログ、求人情報からも温もりのある暖かい施設でありたい事が伝わってくる。

しかしイメージ通り介護士と言えば、仕事がキツく大変でその上給料が安い。
疲れて嫌になって辞めてしまう介護士も多く、多くの介護施設が常に人員不足である。求人を覗いてみれば年齢問わず、未経験でも歓迎している施設も非常に多い。
そこに経験あり資格保持者である転職者が現れれば喜んで採用されてしまうのである。

そんな疲れては辞め、賭けの転職で別の介護施設で働き始め、また疲れて辞めていく。
それを繰り返し、渡り鳥の様に転々と安住の地を求める介護士だが〝自分が我慢できる〟施設にもなかなか辿り着けない。

「ここならば!」と思い働き始めた介護施設も、数年、もしかしたら数ヶ月で次の所を探し始めてしまう。
対して介護施設は「長く働いて欲しい」と思い、介護士の説得を試みるも、死んだ目をした介護士は逃げる様に辞めていってしまうのである。

なぜそうなってしまうのか。

慎重に選んで転職したはずの介護施設の何がだめだったのか、介護現場ではいったい何が起こっているのか。
何がキツくて何に疲れて何に我慢ができないのか…。


そこで渡り介護士であり且つ、自称燃え尽き症候群である私の転職体験と、仲間の情報も織り交ぜながら、真面目な介護士が転職した際にどんな事を経験しがちなのか作り話を書き綴ってみたいと思う。

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