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5. 仕事量と勤務時間/渡り介護士の見る景色

さて、次に仕事量の話をしたい。何か難しい事ではなく非常に単純で簡単な話である。

話の都合上、わかりやすく介護施設の利用者の、寝る為の準備をお手伝いする〝就寝介助〟を例に話をする。

就寝介助といえばその日の終わり、介護士にとってラストスパート、踏ん張り所なのだ。

夕食後に介護士2人で対応する、勤務時間は共に残り2時間である。その内のおよそ1時間分は夕食の片付けやその日の記録に取られてしまう。
(介護士2人×2時間−1時間=3時間)
2人で残された合計時間は3時間となる。

そこの介護施設のマニュアルをひと通りこなすと、利用者の就寝介助を1人終えるのに平均20分かかるとする。

となれば就寝介助が必要な利用者が9人以下であれば計算上問題ない。
(利用者1人20分×9人=180分=3時間)
仕事をしっかり行い定時に勤務を終える事ができる。

しかし利用者の状態や出来る事は毎日どんどん変化していく。
私の経験から〝今まで出来なかった事が出来る様になった利用者〟よりも〝今まで出来ていたのに出来なくなってきた利用者〟の方が比べてみると断トツに多いと思っている。

という事は、介護すなわち仕事は昨日より今日、今日より明日と増えていく。そう介護現場の仕事はどんどん増えていくのである。

先ほどの話で2人の介護士が3時間で9人に勤務時間ピッタリで行っていた仕事が、翌日から平気で10人になったりする。

もちろん計算上、勤務時間内には終われない。
この過剰な量の仕事をするのに残業するのかと思ったが、
「基本的に残業はありません、やりません。」
というスタンスの介護施設は多い、よほどの理由を建てないかぎり、残業代が出るわけでもなさそうだ。

同じ人数で同じ時間の勤務だが、仕事はどんどん増えている、でも残業はしない。
「出来ない仕事は次の勤務者に回せ。」という話かもしれないが、次は次でまたその勤務者は自分の仕事があるのだ。

できるのであればここで倒してしまいたい。
先輩介護士を見ているとバタバタと残業もしないで仕事を終えている。

どうなっているのか。

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