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退屈な日曜日は図書館へ

友達と遊ぶ日曜日もすきだけど、
予定のない日曜日を僕は大切にしている。

そして予定のない日曜日はあてもなく近所の図書館に行くことにしている。

たいていの図書館には、だいたい入り口付近に図書館司書さん推薦の本が並んでいる。僕の近所の図書館には気の合う司書さんがいるのか、つい自分が手を伸ばしてしまうような本が多い。こういう受身的な姿勢で手に取った本を読んだあとは、少し自分の世界が広がった気分になって好きだ。


今週の日曜日も予定がなかったので図書館にふらっと立ち寄った。入り口を抜けるやいなや、いつものように司書さん推薦の本が並んでいる本棚を見ていた。すると民族衣装を着た、瞳の大きく笑顔が印象的なアジアの少女が表紙になっている本が目に入った。手に取って、中をペラペラと見てみると、色彩豊かな民族衣装を身に纏ったインドの人々の笑顔を集めた写真集だった。色鮮やかな民族衣装に身を包んだ女性がこちらに笑顔を見せながら田植えをしていたり、頭の上に首が折れるんじゃないかと心配になるくらい大きな水瓶を運んでいたり、工事現場の作業員として働いていたり。

今度は民族衣装ではなくTシャツと短パンを履いた小学校低学年くらいだろうか、それくらいの歳の子供たちが肩を組んで並んでいる写真が続いた。屈託のない笑顔だった。背景にはただ荒野だけが写っていた。見入っていると、妙に涙が出そうになってきた。子どもの頃を思い出した。自分も当時これだけ屈託のない笑顔を浮かべていたのだろうか。


情報は僕らを変える。そして時に襲う。
ここでは普通に暮らしていても自分に関係ないことで頭いっぱいになる。
変わり続けるし、変わることを求められる。

遠いインドに思いを馳せる。
今日も明日も変わらない生活。
綺麗なサリーに身を包み、稲を植える。
笑顔の奥に誇りがある。

街を歩く。
右を見ても左を見ても「変われ」と言ってくる。



来週も変わらず図書館に行ってやる。


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