『殺傷兵器の輸出「可能」』 (朝日新聞1面 2023 0706)

【概要】
武器輸出を制限している政府の防衛装備移転三原則の見直しが行われた。その結果、掃海や警戒などの活動や正当防衛に必要な場合、殺傷能力のある武器を輸出することが可能となった。これは装備品 (潜水艦、燃料、食料) の輸出を認めていたこれまでの運用指針の変更につながる結果である。

【意見】
自衛隊に関する問題には常に「解釈」が関わってきたように思う。既存のルールに対して拡大解釈を行い、少しづつ自衛隊・軍事活動の幅は広がってきた。
その直近の例が集団的自衛権の容認であると思う。集団的自衛権とは、関係国が攻められたときに、直接には攻撃を受けていない国が、攻められた国の同盟国として共同で防衛するというルールである。本来、自衛隊はその名の通り、自衛のための組織であり、自らが攻められた時にのみ活動する組織と定義されていた。つまり、集団的自衛権は認められていなかった。しかし、2014年、このルールに対して拡大解釈がなされ、条件付きで自衛隊の集団的自衛権は容認されることになった。
今回の武器輸出についても、集団的自衛権と同様の動きが見られると思う。
本来、日本には「武器輸出三原則」があり、武器の輸出は禁止されてきた。特に、人を殺傷できる武器は輸出ができないというのが従来までの解釈であった。しかし、今回も今までのルールに対して拡大解釈がなされ、殺傷能力のある武器の輸出は可能となった。
拡大解釈のもと、日本は少しづつ戦闘に参加する方向に向かっているように思う。集団的自衛権といい、武器輸出といい、一歩一歩はとても大きいわけではないが、なし崩し的に戦闘参加の方へ進んでいる。今後も引き続き、国の動きは観察するべきであると感じる。

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