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そこかしこに哲学。読了日記「水中の哲学者たち」

本の紹介



「死とは何か」「夢と現実の違いは」「言葉は何故違うのか」「何故生きるのか」色んな「なんで?」を考える。これが哲学で、日常の色々なことが哲学が始まるスイッチになると著者は言う。

そんな著者が小学校や地域で哲学対話という取り組みを催し、その内容や日々感じたことがエッセイ形式で綴られている。著者自身が感受性が非常に豊かな方なようで、つい見逃してしまうような発言にも高感度アンテナが反応し、そこから哲学を掘り下げる。

例えば「神は存在するか」というテーマで女子中学校で対話をした際、ひとしきり盛り上がった後の休み時間にある生徒が著者に話しかける。

生徒「神様って酸素だと思う」
著者「なんで?」
生徒「神様は見えない。酸素も見えない。だから神様は酸素だ。」
著者「じゃあ神様はそこら中にいるね」
生徒「でも吐いたら出ていっちゃう笑」

文字通りの対話がそこにはある。このような色々なテーマで哲学対話をした内容や著者が感じ考えたことが綴られる。日常に哲学はあるし、哲学ができることを感じる一冊。

感想・学んだこと


本著を読んで、中学時代の同級生の佐久間君を思い出した。佐久間君は何気ない会話の時でも口論になった時でも必殺技のように繰り出す言葉があった。

「え、なんで?」

くぐもった高めの声でいつもそうやって言うのだ。彼からしたらこうやって言っておけばマウントが取れると思っていた気がしてならない。この言葉を言った後の「ほら、言い返せないだろう?」と言うニヤケ顔が今でも思い出される。

本著はそんなマウントを取るためではなく、純粋に考え深めていく「なんで」なのだ。小学校が舞台の話が多かったこともあり、こどもでもこんだけ考えられるんだよなー。と言う可能性と、「正解」を知りたがる子どものエピソードは胸がグーとなった。今自分が子供達に哲学を出来ているのか大いに問う機会になった。

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