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読書会のこと

およそ3か月ごとに、読書会を開いている。大阪を中心に関西圏のカフェ、レストラン、公園、メンバーの自宅などなどで集まっていたが、コロナ禍が本格化した4年前の春からはオンラインで行なうようになった。

クラブ最初の読書会は、2007年の夏。Kansai Flea Marketという英語のフリーペーパーの掲示板から始まった。スコットランド人のGが出していた読書会メンバー募集の書き込みに、私とニュージーランド人のHとEが反応して、難波のカフェでプレミーティングを行ない、どんなふうにやっていくか話し合った。1回目のミーティングは、Hがお気に入りの難波のピザ屋かどこかでKhaled HosseiniのThe Kite Runnerについて話した。当時は米国の同時多発テロのあと、米軍の攻撃でタリバン政権が崩壊して数年たった頃で、ちょうどアフガニスタンと米国の両方に舞台がまたがる同書は興味深かった。物語の展開も秀逸だと思う。

それまでは、本は1人で読んで、1人で思いをめぐらして、それでおしまいだった。何人かで同じ本を読んで集まっては、それについて話したり(好き嫌いから始まって、ストーリーのこと、登場人物のこと、言語技術のことなどなど注目点は沢山ある)、そこからメンバー自身の個人的なこと、社会現象、時代、美意識、善悪、文化などに話が転がっていく。読書会が始まった頃、私について言えば、本は何かを学ぶべき対象で、そこには何か大きな問いが含まれ、正しい答えを探さなきゃと思い込んでいたようだ。それから徐々に変化して、他のメンバーが本をどう楽しんだか(あるいは嫌ったか)を聞くのが、一番の楽しみで、また、共有する本から、さまざまな会話を引き出し続けるということに喜びを感じている。

次に議論する本はJacqueline Harpmanの"I Who Have Never Known Men"。まだ最初の数ページしか読んでいない。舞台は牢獄で、そこに40人の女性が監禁されている。数人の看守が絶えず監視しており、互いの諍いや自殺といった問題行動は未然に阻止される。40人の女性は、未成年の1人を除いて、全て一通りの人生経験を経ている。この1人が主軸になってストーリーが展開されるようだ。初期設定を与えらただけの状況なので、まだ面白さは感じていない。とはいえ、後半に大きな急展開があって面白くなると耳にしているので、今は我慢のときだ。

今の常連メンバーは、米国出身の教師J、米国に住むその母親、大学教員のY、自治体職員のK、翻訳者のH、フィリピン出身のプログラマーI、パナソニックに勤めた後にロシアに帰国したN、その友人のV、スコットランドへ帰国したクラブの創設者G(オンラインでミーティングするようになって参加可能になった)。

振り返ってみると、今までいろんな人がやってきては、出て行った。場所もいろんなところで集まった。公園でお花見をしながらのときもあったし、メンバーの家でポットラックパーティを兼ねて集まったことも何度かあった。村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を議論したときには、ファミリーマートのイートインコーナーに集まった。今は、国外在住の常連参加者が半数くらいいるのでオンラインでのミーティングをやめるつもりはないが、ピクニックやパーティなどのお楽しみイベントもやりたいと思っている。

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