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シンプル

金沢に水本御菓子司という和菓子のお店がある。

亡きばばさまが大変贔屓にしていて
奥能登から赤と白の北鉄バスでわざわざ2時間かけて目当ての菓子を買いに訪れるほどであった。

バスって老体には結構きつい。
でもばばさまはSSR級きかん気の強い人であったから、何がなんでも季節限定品(日本の和菓子は全部そうだけど笑)を手に入れるには労を惜しまなかった。

それくらいそのお店に魅力があった。

ばばさまはお茶を教えていたので、
お茶に合うお菓子は季節ごとに変わる。

私は末席で、前の人のすることをよく見てなさい
と長い間正座をせねばならなかった。

四半時、30分の我慢である。

そんな時に出た水本のちまきに吃驚して、
「ばーちゃん、これ何!?おいしい!」
とでっかい声で感想を言うと
右隣りに並んでいた生徒さんから爆笑を頂いた。

受け答えの順番を無視して喋っちまった為である。

ばばさまは苦笑いしながら
「それな、水本のや。葉っぱのいい匂いがするやろ」と教えてくれた。

会が終わり、生徒さんが片付けでバタバタしてるのを見計らって「欲しかったらあとで台所来なさい」と言ってくれた。うれしかった。

大人になってから久々に味わったが、あの頃のままで変わっていない。えらい企業努力。すごい。

どんな菓子もいやみな甘ったるさが全くない。

ザ・素材。

前述したちまきに至っては
そよ風が清々しく吹き渡るようである。

なんだかクスッと笑われているような気がしなくもないが、至極真面目に書いている。

人をもてなすなら水本である。
恐らくお茶の先生の間ではよく利用されるお店の一つであろう。

森八など目ではない
長生殿の何が美味しnk(ゲフンゲフン

落雁なら愛知の両口屋是清、二人静。
箱も可愛いし、贈答にぴったり。

あと今の季節なら月よみ山路。栗蒸し羊羹。
死ぬほど栗だらけ。竹のいい匂いが…

脱線した。水本さんに戻ります。

特に予約が要る水羊羹はその味に仰天すること間違いなし。

来金沢の際は事前予約などでアタリをつけて
ぜひお立ち寄り下さい。

そしてひっくりかえってみて下さい。
多分しばらく起き上がれません。

思う存分寝込み給へ。

では!明日も元気に参りましょう!