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妊娠できない期間に薄まる人間関係

土日のお出かけ。夫婦で映画を見に行く。
おしゃれして今日をとっても楽しみにしていた。

今日、私は何人の妊婦さんとすれ違っただろう?
少子化と言われているはずなのに、1日で10人は見た。つまり10回私の心はすり減ったのだ。

お腹の膨らみ、妊婦マーク…自分が妊娠したいと思えば思うほど、妊婦への感度が上がって見つけやすくなってるんだと思う。
もっと鈍感に生きていたかったのに。

昔は学校があって自分と同じような近況の人ばかりで集まっていられた。偏差値、家庭環境が似たような世界で見たいものは見ずに過ごすこともできた。

社会はごちゃ混ぜ。妊婦と不妊治療中の私を隔てるものは何もない。私だって「いずれ妊娠する立場」なのだから地続きなんだけど。私が出かける場所で妊婦を見ない事はできない。その度に私の心は事故にあったみたいに傷を負っていく。

子宮外妊娠を経験して、妊活は少しお休み中。
人の妊娠を羨む気持ちは手放せたと思っていたのに。全然そんな事なかったみたいだ。
この気持ちは妊娠するまでなくなる事はなさそうだ。

夫婦で楽しく出かけたいだけなのに。
心がすり減るかもしれないなら、街に出ることさえ私は怖い。

友達が妊娠した。
不妊治療の事を話せていた数少ない友達。
妊娠を直接伝えてくれた事は、とても嬉しかったし、おめでとうという気持ちもある。

同時にもう会えなくなるな…って思った。
気を遣われることをわかって、知らないふりして会えるほど私は強くない。
自分の心を守るために会わないって選択をした。
友人もわかってくれているのか、声をかけてくれることはない。その微妙な距離感がさらに辛い。

本当は喋りたいけれど、私の気持ちも聞いて欲しいけれど。立場が変わってしまったらお互い難しい。

妊娠した報告が届くたび、会えない友達が増えていく。

何より辛いのは、この感覚を夫にわかってもらえないこと。そりゃあんたやあんたの友達は妊娠しないもんな。女性でも簡単に妊娠した人にはわからない感覚だと思う。

友達が減ってしまうのはやっぱり悲しい。
でも自分の心を守るためには必要な選択。

「そんな大袈裟なこと」と責める自分を宥めながら、一生懸命この選択を肯定しようと頑張っている。

私が妊娠するか、諦められたら。
いつかまた会えるだろうか。

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