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CASE13 伊達 政宗 喫煙すると健康になれます!みんなで喫煙しましょう!

(この記事は3分で読めます)

みなさん!
煙草を吸うと健康になれます!
1日3回以上は吸いましょう!

戦国時代、健康オタクでもあった伊達政宗はこう信じ、
毎日喫煙をしていました。

そして現代医学においても、なんと喫煙はパーキンソン病などの神経変性疾患が改善するという疫学調査(古いものになりますが)があります。1),2)

え?え?え? 医者が煙草を勧めてる??やば!!!

はい、そうです。
今回のケースを通じてHaruくんは喫煙を勧めようとしています!!!
いったいどうなってしまうのでしょうか???


CASE 13 伊達 政宗 診断:食道癌 癌性腹膜炎


【症例】70歳男性(1567-1636)

【主訴】嚥下困難、食欲低下、腹部膨満感

【現病歴】簡潔に
出羽国米沢に生まれる。仙台藩初代藩主となり、関ヶ原の戦いでは家康率いる東軍につく。

普段の生活では当時健康法の一つと認識されていた喫煙を連日行っていた。

68歳頃から食事の飲み込みが悪くなりむせるようになった食欲も低下していった。

晩年の70歳の時に病状が悪化し、腹部が徐々に大きくなってきた

【既往歴】
痘瘡
虫垂炎術後

【経過】
晩年、食欲低下など全身状態が日に日に悪くなる中、医師も全力で診察や治療に当たった。しかしその甲斐なく70歳で永眠。



考察

伊達政宗の疾患の診断のポイントは
食事の飲み込みが悪くなってきたこと
長年の喫煙
大量腹水
 です。

(現代医学では食道癌は腫瘍マーカー、CT、内視鏡、PET-CT等で診断します)

伊達政宗の死因については本やネットで調べると概ね意見は一致していますが、上記のポイントから食道癌及び癌性腹膜炎とされています。

みなさんご存知の通り、喫煙は発癌リスクとなります。

健康のためと勘違いし、喫煙を継続していたことが仇となりました。

たばこと塩の博物館HPより引用

とは言え、政宗も家康同様に当時の平均寿命が50歳前後にも関わらず随分長生きした方ですね!



パーキンソン病と喫煙

冒頭でお話ししたパーキンソン病はドパミンが不足する病気です。

タバコに含まれているニコチンはドパミンを賦活化することで症状を軽減するという仮説は確かに成り立ちますし、疫学調査でも喫煙者のパーキンソン病の症状は軽減されるという報告もあるというのは冒頭でお話しした通りです。


その事実を元にHaruくんは喫煙を勧めようと企みましたが、
それ以上に喫煙のデメリットが大きすぎる事実に論破されちゃったのです。


喫煙のリスクを改めて解説

とにかく「癌」「循環器疾患」「肺気腫」です。

その他、妊娠中であれば、流産低出生体重児。

受動喫煙
も上記のリスクになります。

それからこれは私見も交えていますが、


喫煙者は男女関わらず非喫煙者の異性にモテません!

なぜならめっっちゃくちゃ臭いからです。

昭和のカッコいいイメージの喫煙は時代遅れです。


まとめると喫煙は発癌性動脈硬化肺気腫、モテない、結婚できないなどのリスクが大きすぎて、パーキンソン病の予防や症状軽減のために喫煙を勧める理由には全くならないということです。




もはや喫煙がリスクなのは世の中の常識であり、喫煙者の割合も年々減少しています。

しかし診療の現場ではいまだに喫煙者がたくさんいます。

彼ら大半は喫煙のリスクは十分理解しています。
辞めたくても辞められない。ニコチン依存です。
そこが厄介!

現在は喫煙者に対する禁煙用の薬物治療も存在し、(株)CureAppが提要する禁煙補助アプリ「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリおよびCOチェッカー」も保険適応で利用できる時代となりました。



タバコの種類

タバコの種類は様々です。
近年従来のタバコから電子タバコに変えている人も見受けられますが、いずれにせよ健康被害が指摘されていますし、水タバコについても安全とは言えないようです。詳しくは以下のサイトを参考にしてください。



2人の嘘つき、伊達政宗とHaruくんからのメッセージ


結局タバコは危ない。

・論破されたHaruくんは医師としてこれからは禁煙を勧めようと悔い改めます。本当にごめんなさい。

・喫茶店の喫煙ルームで肩身狭そうに吸っている人の大半も、やめたいと思っているけどやめられない人たちなんじゃないかな?そんな人たちを助けていきたい!そう思ったHaruくんなのでした。



参考資料)
1)Behav Brain Res, 113:117-120, 2000
2)Neurology, 36:1490-1496, 1986
3)戦国武将の死亡診断書 監修 酒井シヅ 株式会社エクスナレッジ
4)その他WEBサイト(本文に引用元あり)


次回予告

レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作「モナ・リザ」です。
彼女は「コレステロールが高かった」という説があります。
お楽しみに!


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