『がんばっていきまっしょい』評価C(普通)
二回目の投稿です。公開初日に映画『がんばっていきまっしょい』を観たので今更ながらそのレビューを書いていこうと思います。
今作は愛媛県松山市を舞台に、女子高校生たちがボートを通して成長していく青春映画です。原作は昭和に出版された小説らしく、どうやらドラマ化、映画化も過去にされているようです。OPはアイドルグループ「僕が見たかった青空」の『水色の空しぶき』であり、秋元康さんが作詞されています。
私はこの作品にYoutubeの広告を通じて出会い、また声優の豪華さに惹きつけられて観ることを決意しました。またアニメでなかなか題材にされることのない「ボート」という競技に惹きつけられたというのも理由です。そして声優についてですが、『ゆるキャン△』の斎藤恵那ちゃん役の高橋李依さんや、『ぼっち・ざ・ろっく!』の喜多郁代ちゃん役の長谷川育美さん、『けいおん!』の中野梓ちゃん役の竹達彩奈さんなどが出演されており、半分声優さんの演技を観に行ったようなものです。
今作品で注目すべきなのはやはり作画でしょう。3Dアニメーションとなっており、まるで三次元かと見間違うほどにリアルです。特に海と目の描写が綺麗で、海は現実からそのまま引っ張ってきたのかと見間違うほどに青く美しく、目は最近のアニメにあるように書き込みの多い、綺麗な澄んだ目をしていました。よくある話ですが、3D作品では3Dの違和感ばかりが注目される傾向にあると思いますが、今回私はそうは感じませんでした。むしろ3Dの良さをかなり引き出せていたのではないかと思います。しかし絵の作画で見て観たかったという気持ちは少なからずあります。
主人公は悦ネエと呼ばれている女子高校生であり、声優は雨宮天さんが担当されております。彼女は小学生時代の時にトップだったが、成長するにつれて挫折を味わい無気力になってしまったといい、思春期特有の感じを私たちに思い起こさせてくれます。しかし彼女はボートと出会うことで、成長していき、そして挫折し・・・を繰り返していく強い女の子です。申し訳ないですが他のキャラについては印象が薄いです。
あまりスポーツを題材としたアニメを見てこなかったので、ウマ娘的な熱い作品を期待していたのですが、キャッチコピーにある通りの青春映画で、私にはあまりにも眩しすぎました。
とりわけて熱い場面や感動する場面などはないのですが、安定した面白さを保っていました。
どうやらこのアニメ、豪華声優を多数起用していながらあまり伸びていないようですね。インタビューで監督が、老若男女に好まれるアニメにしたいと発言していましたが、逆にターゲット層を絞り込めてないように思えます。オタクが見るには萌え、百合要素がなく、カップルやファミリーでみるようなアニメでもないでもない気がします。正直萌えアニメなのかと思って観に行きました。
このアニメは視聴者側に考える余地を与えてくれます。終盤の悦ネエがボートへのやる気をなくしてから、ライバルとの会話を通じてもう一度やる気を取り戻していくのですが、なぜやる気を取り戻したのかという心理描写は一切なく、視聴側で考える他にありません。最近の一から十まで説明してくれるアニメと異なり、”あえて描かないと”という手法は少し新鮮に思われました。最後の試合もあえて結末を描かずに、後のシーンで試合結果を暗示するという展開になっており、ウマ娘のような激熱さは一切ないです。良く言えば簡潔、悪く言えば盛り上がりに欠けるといったところでしょうか・・・。
ウマ娘のような激熱スポコンアニメを期待していたのですが、どうやら青春アニメのようですね。評価はC、つまらなくも面白くもないです。気に入らなかったところは、一)唐突な恋愛要素 二)曲にアイドルの起用です。一)は単純に私の好みにあわなかっただけです。二)は許せない。そもそもなぜアイドルがアニメの曲に割り込んでくるのか。アイドルとアニメは同じサブカルでも別物であり、別領域に属してるものなので、アイドルがでしゃばるのは住みわけができていません。アイドル共の声は力強さが微塵も感じられず、弱弱しい、今にも溶けそうな歌声をしているんです。それが耳障りでしょうがない。ATRIでのトラウマがまた呼び起こされそうです。ここは折角豪華声優を起用しているのだから、声優さんたちの合唱にするべきだったのでは・・・と思います。
ちなみに公開初日のお客さんは三人ほどでした。