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肺腺がんになった(2:再検査)

検診機関から届いた紹介状を手に大きな病院へ
初診は受付に時間がかかる。
やっとカルテが出来上がり呼吸器内科へ向かう。

待合室は大混雑していた。
(変な咳している人がいるし気をつけなきゃ)
待っている間に風邪をもらったのでは割に合わない。

眠くなるほど待って、診察室へ
「肺に影があるのでCTを撮って、診てみましょう」
少し離れた部屋でCT撮影を終えたのは11:50
(午前中には終わらないな、お腹すいた)
上司に連絡して待合室に戻ると眠気が襲ってくる。

再度 診察室に入ると医師は電話中だった。
「さっきの患者さんも片方の画像が出ないけど…」
と、電話の相手に少しイライラした調子で話をしながらPCを操作している。
ディスプレイには白黒の画像が表示されている。
(この患者さんのことで電話してるのか)
スクロールすると肺の輪切り位置が変化する、同じ所を行ったり来たりしているようだ。もう1分くらい電話している。
(この白く写ってる所を気にしてるみたいだな)
ハイ、ハイ、と言って医師が電話を切る。

「右肺に2.5センチのできものがあります」
マウスで示され、初めてディスプレイの画像は私のものだったとわかった。
明らかに不自然な白色の塊がそこに写っている。

「くっきり写っているものの他に、モヤっとしたすりガラス状のものが幾つか写っていて…」
スクロールすると、右肺だけでなく左肺にも、すりガラス状の影がいくつも写っている。
「炎症という可能性もゼロでは無いけど、がんかどうか調べたほうがいいでしょう」
喫煙歴の無い女性に多い、肺腺がんの説明を受けた。

「近いうち3日間お仕事休めますか?入院して気管支鏡検査をします」
気管から内視鏡を入れて鉗子をのばし、右肺の白く写ってる部分の組織片を採取するという。
うまく組織が取れないこともあると念押しされた。

(痛そう…でもはっきりさせないと)

(がん…かもしれない)

「あと腫瘍マーカーを見るので血液検査をして、入院の手続きをしたら、今日は終わりにしましょう」
気管支鏡検査の同意書を書いて、ありがとうございましたと診察室を出て、夫と上司に連絡した。
呆然としながらも、遠慮なく休みの連絡はできた。
入院手続きを終え会計に辿り着く頃には夕方だった。

(がん?)

(仕事 4日も休むなんて)

(がんだったら)

(父も肺がんで亡くなったし)

(もし、がんだったら)

(どうなっちゃうんだろう)

この日から手術が決まるまでは、転がるような滑っていくようなスピードに身を委ねるしかできなかった。


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