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高額バイト『治験』体験談

海外渡航費用を稼ぐために、治験に参加してきた。

治験というのは、あれだ。実験台のモルモットになることによって金を貰えるという例のやつだ。

俺が申し込んだ治験は、二週間ほど入院するだけで20万近くが振り込まれるという、普段最低賃金でバイトをしている貧乏底辺フリーターの人間からしたらかなり美味しい案件だった。

事前検診

まず事前検診がある。健康診断で、被験者として十分な健康体かを診るのだ。

集められた病院では、老若男女様々な人が治験や検診を受けるために来ていた。

病院に着くやいなや頭の中で

──ある日突然自宅に届いた書類に従って、都内の大学病院に訪れた主人公。表向きは国民の健康調査のために政府がランダムに市民を抽出したとなっているが、実際は戦争のために人間を兵器へと改造する極秘人体改造手術の適合者候補を集めたものだった。その秘密を知った主人公は施設からの脱走を図るも…。

という存在しないアニメのモノローグが流れたが、そんなことが起こるはずもなく、健康診断は至って普通の流れで行われた。

健康診断の前に、応募した治験について、具体的にどういった薬をどういう目的で投与するかなどの、詳細な説明があった。

その中で俺が真っ先に確認したのは、副作用についてだ。日本国内でも治験での死亡事故は過去に存在するらしい。もし俺も治験によってなんらかの障害を負ったり、最悪死に至るようなことがあったら?今回俺が応募した治験で使用される薬にどの程度の危険性があるかは確認せねばならない。そうして確認したところ、どうやら俺に今回投与される薬は、そんな重大な副作用はない薬のようだった。可能性のある副作用は、軽い体調不良程度のもの。そして発生する確率は5%程度だと資料に記載があったため、副作用についての不安は拭えた。

60回近くある採血

事前の説明会で配られた入院生活の予定表を見て俺が最も懸念した点は、その採血回数の多さだった。

多い日は1日で11回。全日程を通すと約60回もの採血が行われるらしい。大丈夫?そんな回数されて腕パンパンにならない?

俺、注射苦手なんだけど。まあ、注射得意っていう人もそんないないと思うが。

割とマジで入院日までの間に、採血が辛そうだからやめようかなと迷ったが、いや、でもやっぱり金が欲しい!

金銭欲が採血回数の恐怖に勝ったため、俺は治験を受けることにした。

実際の入院生活

20人ほどいる被験者は、大量のベッドが並べてある広いフロアで共同生活をすることになった。

入院中はほとんどの時間をベッドの上で過ごす。これが辛い。

人間、ずっと寝っ転がってると、どんどん人としてダメになっていく。なんのやる気も起きずにただスマホの画面をスクロールする廃人と化す。入院中は外出禁止で日光に当たれないから陰鬱な気分にもなる。入院中の時間を有意義なものにしようと、今勉強している簿記の教科書を持ち込んだが、結局ほとんど手をつけなかった。

代わりにONE PIECEをめっちゃ読んだが(病院には漫画が大量に揃えられていて被験者は自由に読んでいい)、それもだんだんと読む気が起きなくなってくる。

食事は、朝ごはんは抜きで、昼と夜は毎食同じものを食べる。

採血は最初は怖かったが、慣れていくと何も感じなくなっていった。痛みは変わらなくても、針が体内に入る恐怖はなくなっていく。今回の治験のおかげで俺は注射への抵抗がかなり少なくなったと思う。

治験はベッドに横になっているだけでお金が貰える楽なバイトだというネットの書き込みも見るが、閉鎖空間での管理された生活というのは、精神的にそこそこ辛いものだった。

貰った金の使い道は…

退院日に、受付で現生を頂いた俺が真っ先に向かった場所、それは風俗だった。

すまん、冒頭で海外旅行の費用のために応募したと書いたが、まず風俗に行ってしまった。

俺が最後に風俗に行ったのは半年かもっと前。それ以来、金ももったいないしずっと行ってなかったが、せっかくどかっと纏まった金が手に入ったからと、つい風俗に行ってしまった。

いや〜、みんなも風俗には行ける時に行っといた方がいいですよ。人間いつ死ぬか分からんからね。

治験はこんな人におすすめ

入院系の治験はまとまった日程が取れる大学生や無職、フリーターにおすすめのバイトだ。

貰えるお金を拘束時間で割ったら意外と時給は安いが、労働の類はしなくていいというメリットはある。興味がある人がいたら、一回体験してみてください。

以上

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