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【CLE】さらばジマー、君の未来に幸あれ

 開幕戦終了直後、ブラッドリー・ジマーがトレードに出されたという衝撃的なニュースが飛び込んできました。端的に言うとWIN-WINのトレードですが、その背景について説明しようと思います。


・ジマーという選手

 ジマーは2014年にドラフト1位で入団した29歳の外野手です。球団、ファンの彼に対する期待は非常に大きく、MLB全体のプロスペクトランキングではトップ100の常連でした。マイナーでは期待通り順調に成績を積み重ね、2017年にMLB初昇格を果たすとそのままレギュラーとして起用され始めます。
 ところが、マイナーで三振率30%前後を記録していたコンタクト力の低さが、彼の致命的な弱点となり、MLB1年目は8HRを放ちながらもOPS.692という成績に終わってしまいます。翌18年も開幕からの2ヶ月で三振率42%と一向に改善が見られず、6月にマイナー降格。その後右肩の手術を受け、19年はリハビリでほぼ全休してしまいました。
 20、21年はドラ1ということもあって優先的に起用されましたが、OPS.700には遠く及ばず、三振率は35%を上回っていました。
 オプションを3回使い切って迎えた今季は本当にラストチャンスでしたが、キャンプで35打席5安打16三振という絶望的な成績を残してしまい、開幕後によっぽど活躍しない限りDFAは避けられない状況でした。
 一方、守備走塁は期待されていた通りで、毎年キッチリと結果を残しています。例として昨年の成績を取り上げると、スプリントスピード(走塁時の最高速度)はMLBで上位3%に入っており、OAA(平均よりも多く取ったアウトの数)は+7で上位6%、DRSも+3と非の打ち所がありません。CFは両翼とは大きく異なり、スピードを活かした広大な守備範囲が求められる難しいポジションですから、高水準のCF守備は大きなセールスポイントになります。



・カストロという選手

 カストロは2011年に国際FAでタイガースと契約した26歳の中継ぎ投手です。トミー・ジョン手術による離脱等を経ながらも厳しい競争を生き残り、20年にMLBデビューを果たしました。その後ブルージェイズに放出され、昨年は24.2回で防御率4.74とまずまずの成績を残しています。
 持ち球は平均95.2マイルの4シームと84.1マイルのスライダーですが、4シームはActive Spin%(球の変化に寄与する回転の割合)が57%と非常に低く、カッターと呼ぶ方が相応しい印象を受けます。この4シームがかなり打ち込まれているので、何かしらの改善が必要になるでしょう。
 今後ガーディアンズが彼の能力を伸ばしていく上で、浮き上がる4シームを目指すのか、それとも4シームは今のままで他の点をいじるのか、要注目です。


・トレードの評価

 上述の通り、ジマーはDFA秒読みの状態だったので、トレードで獲得してくれる球団が現れたことに驚いています。対価のカストロはまだ経験が浅く、ブレイクの可能性を秘めた選手ですから、メンツが固定されていない今のブルペンにうってつけの人材と言えるでしょう。
 そして何より、ジマーをデビュー時から見てきたガーディアンズファンとして、安堵の気持ちを感じています。常に外野のレギュラー候補として周囲に期待され、ドラ1のプレッシャーを抱えながらも、結果が出ずに苦しむ姿は見ていて辛いものがありました。特に、最後のチャンスだった今年のキャンプで、三振する度に呆然と打席で立ち尽くす姿は直視に堪えませんでした。
 移籍先のブルージェイズはバリバリのコンテンダーです。ジマーは代走、守備固め要員として扱われ、以前のようにスタメン起用されることはほぼ無くなるでしょう。しかし、ドラ1/レギュラー候補というプレッシャーから解放され、自分の得意な守備走塁に専念できるチームは、今の彼にとって幸せな環境だと思います(もちろん、僕の勝手な推測に過ぎませんが)。新天地で伸び伸びとプレーし、チャンピオンリングを手にすることを祈っています。


 今回も最後までご覧頂きありがとうございました。 

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