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川下神社の空を

【記録◆2023年9月25日】①

 先々月、「曽爾村へ行く予定を立てたのに、七夕の朝に目を覚ましたら、『みたらいの瀧(天川村)へ行こう』と想った」と、記事に書きました。

 その日には、みたらいの瀧から天ノ川を下って、天河大辨財天社へ行っています。行く予定だった『曽爾村の川下(かわもと)神社』は、御祭神が、天河大辨財天社と同じく「市杵島姫命(イチキシマヒメ)」でした。

 今回は、「洞爺湖(北海道)の弁財天堂には白龍弁財天が」という文章を読んでいて不意に、「曽爾村(奈良県)へ行こう」とおもったのです。

「市杵島姫命は弁財天と同一」と考えられています。
 また、二歳まで住んでいた家のそばにあった「弁天さんの社」は、昨年、地図を拡大してみると正式な名が現れ、「龍神の社」だと判りました。

 それで、川下神社にも白い龍の神さまがいらっしゃるのではないか、と、一瞬のうちに考えたのでした。

駐車場からの階段

 川沿いの駐車場からは、二ヶ所に設けられた階段の入口しか見えません。北側のほうへ行ってみると、瀧が見えました。
 落差が大きくないためか、無名の瀧です。

名前のない瀧

 初秋というにも暑すぎて、夏草の勢いも衰えないため、階段の先へは数歩進んだだけです。足を置く場所が見えないのは危険だから。

 杖先で地面を確かめつつ歩いて、流れの遅い所を撮りました。
 龍の神さまがいらっしゃるように感じます。

瀧のすぐ下流

 駐車場に戻って南側の階段を下りると、そこは川下神社まで草がきれいに刈られていました。
 でも、鳥居があるのは反対側だから、そちらへ回ります。

 参拝しようとしたとき、「空っぽ」な感じを受けました。

空っぽの理由

「式年遷宮(しきねんせんぐう)」とは、一定の周期ごとに新殿を造営して旧殿の神体を移すこと。「下遷宮(げせんぐう)」とは、本殿の修復の際、仮殿に神体を移すこと。

 神さまは11月まで、「門僕神社」にいらっしゃるそうです。それがどこか判りません(帰宅後に、読み方は「かどふさじんじゃ」だと判りました)。

 いつも電波の届かない山奥にばかり行っているためか、スマホが必要だと感じたことはありません。都会へ行くときも地図を印刷していくのです。
 そして、出先で得られない情報はその時に必要ではないと考えています。

撮らせていただくⅠ

 神社へ行っても神さまのおうちは撮らないのですが、今回のみ、
「お留守の間に撮らせていただきます」と伝えて、頭を下げました。
 拝殿の向こうにある朱塗りの本殿が可愛らしかったので。

撮らせていただくⅡ

 青蓮寺川の中の大きな岩の上に祀られています。
 伊勢湾台風のときには社殿が流出したそうです。この高さを超えて大水が巨岩を水没させたのかと驚きました。

撮らせていただくⅢ

 扉の前で白い布が結ばれています。それは、再来月12日までの姿。

二本杖で進む先

 写真が傾いているのは、すでに石段の手前で身体が傾いているため。
 上のほうは急で、両側には杖をつく余地がほとんど無いから、足元の外に目を向けてはいけません。

古代祭祀の場だろうか

 他の方の写真を拝見すると、向こう側は、切り立った岩の姿のままです。
「威容」とは、人工物よりも、このような岩塊にふさわしい言葉なのでは。

本殿の横が瀧

「お留守ですので、失礼させていただきます」と伝えてから、眼下の風景を撮りました。

瀧の上流(青蓮寺川)

 帰宅後に調べたのですが、「門僕神社」があるのは上流のほうでした。

木陰を与えてくれた樹

 そういえば、陽の射す河原で過ごすことを覚悟してきたのに、気づいたら帽子を脱いだままです。
 拝殿の巨木に、「陰をつくってくださって、ありがとうございます」と、お礼を伝えました。

 おかげで眩しくなかったから、空を見上げました。
「神さま、いらっしゃいませんか?」とうかがって。

小さい龍(頭が上で尾が下)

 渦の形に巻くような雲が幾つか浮かんでいました。
 とても風の強い日で、雲は次々と南東から北西へ流れていきます。

 それらを撮っていて、とつぜん現れた雲に驚かされました。
 その雲だけが逆行して、ゆっくりと北西から南東へ進んでいたため。

大きい龍の胴

 他の雲と動きが逆でなかったら、「薄い鱗雲」は捉えきれなかったかも。

 音楽が聴こえる、と感じました。
 悠然と空を渡っていく龍が、荘厳な音を地上に降らしているよう。

壮大な音楽が聴こえる

 大急ぎで写真と動画を撮ったけれど、少しも急ぐ必要はなかったのです。待っていても尾が現れないから、何度も子どものように両手を振りました。
「ここまで、いらしてくださって、ありがとうございます」と伝えながら。

龍の尾(写真中央)

 とうとう、「帰りますね」と空に向かって伝えたら、その瞬間に龍の尾が現れました。写真では判りづらいけれど、南東へ向かう龍の尾は駐車場まで見えていたのです。

 ところが、南東の空へと続いていた大きな大きな姿は、ほんの少し歩いて再び見上げると、空のどこにも残っていませんでした。一瞬のうちに全体が消えたので、空全体に細長く伸びる鱗雲だったとはおもえません。

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