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大天井瀧(夏)

【記録◆2023年8月2日】

 昨年11月2日には、大天井瀧へ近づいていけませんでした。
 越えられない流れがあったため。

 その時の記事を、以下に貼っておきます。

「滝壺まで行きたい」
 その願いをかなえるため、今回は長靴を持っていきました。
 流れのなかに足を置けば、向こうの岸に渡れるかもしれません。

 車椅子ユーザーになったとき、ハイヒールは全て捨てました。
 履いて歩けない靴を残しておいても場所を取るだけなので。

 雪の日に駅まで歩くため用意しておいたレインシューズは新品でしたが、譲る相手もいないから、この16年間に何回も捨てようと考えました。
 シューズボックス内に靴が少ししかないため残しておけたのです。

 膝まで届きそうな長靴を履くと足が重くなるけれど、大天井瀧は林道から見えているので、歩く距離は少し。

大天井瀧(中央左)

 真夏には、かろうじて三段目の一部が林道から見えるだけ。
 晩秋には、一段目も、二段目も、三段目も見えたのに。

昨秋に越えられなかった所

 昨秋は、向こう側に濡れた落ち葉が積もっていて、「ぴょん」と跳んだら足を滑らせて倒れるのは予測できました。
 だから、「流れのなかにいったん足を下ろそう」と計画したのに、なぜか記憶より段差が大きくなっています。

 帰宅してから気づいたのですが、昨秋は大量の落ち葉が堰となって水面を高くしていたのでした。
 障害が進行して可動域が半分になった脚では、この高さを上がれません。

 しかし、昨秋は地面が落ち葉で覆われていて判らなかったけれど、今回は左側の斜面を上っていけそうだと感じました。そこは岩ではなかったから、腐葉土に杖を深く突き立てて身体を支えることもできます。

 ひとが通えぬ急峻な崖を行き来する野生の山羊のごとく、わたしは杖先をヒヅメとしたのでした。杖は2本とも優雅な友禅模様のT字杖です。こんな使い方をされて、「杖冥利」に尽きるか大迷惑か。

前回は見られなかった光景

 瀧に近づくと三段目しか見えなくなりますが、昨秋とは視点が違うので、見たことのない光景です。
(写真には、目に映らなかった滝壺がほんの少し写っています。)

 昨秋は、自分のほうに向かってくる流れしか見られませんでした。
 今回は、流れていくのを見ることができます。

 進める所まで斜面を進み、岩場に下りました。
 長靴を履いているから、水のある所も歩いていけます。もちろん、慎重に2本の杖を突いてから歩を踏み出すのです。

ここを越えられない

 手前の大岩を越えたら滝壺なのに、ここで進めなくなりました。
 乾いていたら腕の力だけで這い上がるのですが、以下のように岩肌を水が流れ落ちています。

 あちこちに目を走らせ、進めそうな所を探したけれど見つかりません。
 再び水の中を歩いて引き返しました。

 反対側の斜面を上れたら、そちらからは滝壺に近づけそう。
 幅の広い流れを横断しました。普通の靴なら渡れなかったでしょう。

 向こう側の斜面は、上れそうな所が土ではありません。
 大きな岩に足をかけ、杖ではなく手の指をヒヅメにして山羊と化します。

 岩を上ってしまうと、急峻ではない土の部分が滝壺の方向へ、なだらかに続いていました。

 ここからだと、一段目が三筋に(右側が二筋)なっていると判ります。
 それも、昨秋には見られなかった光景。

一段目(三筋)と三段目(上部)

 あきらめずに進み続けて、滝壺に辿り着きました。

滝壺

 少し瀧から離れると、今回は目立たなかった二段目が少し写ります。

一段目と二段目と三段目

 上ってきた岩は、下りるほうがたいへんでした。
 ひとかたまりの苔を剥がしてしまったから、何度も謝って、できるかぎり元の状態に戻しておきました。

 瀧周辺を覆っていた大量の落ち葉を洗い流すほどの水量とは、どれくらいなのでしょう。
 昨年と同じ場所で撮ると、黄金色の彩りが消えて、違う所のようです。

流木が増えている

 昨秋、ここには、苔に覆われた樹が1本倒れているだけでした。
 様々なものをここまで押し流す水の勢いは、どれくらいなのでしょう。

 帰り道で振り返ると四段目の瀧が目に入りました。

 流れのなかに下りていき、正面から撮ります。右上には一段目と二段目、三段目の落ち口も入れることもできました
 長靴でなかったら見られない光景です。

一段目から四段目まで

 右にも水の流れた跡があります。豪雨の後にはそこも通るのでしょう。 

四段目

 左の流れの正面まで、水のなかを進みました。
 上の写真は、道から見えない部分です。

 四段目から流れる水は倒木をくぐって、小さい瀧へ続いています。
 のぞき込むと、その下にも倒木が重なっていました。これも流木なのかもしれません。

五段目にあたる小瀧(上から)
瀧の周り

 樹があるだけなのに、なぜか鳥居があるように感じるのです。

 行きも帰りも、『おおたき龍神湖』の横を走りました。
 真夏には、春の彩りが消え、稜線は背後の山に隠されます。

上(4月3日)下(8月2日)

 きょうは湖面が低い所にあります(右下に1ミリほど写っていました)。

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