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The 1975 "I'm In Love With You" (BFIAFL) 和訳〜僕は君に恋している!〜

イギリスのバンドThe1975の5枚目のアルバム、”Being Funny In A Foreign Language"の6曲目、"I'm In Love With You"の和訳です。この曲は、2022年の8月に千葉・幕張で開催されたSummer Sonic2022で世界初披露となった曲です。僕もその場にいたのですが、初めて聴いたときに、なんて幸せいっぱいの曲なんだ!と思いました(笑)Mattyがここまでシンプルに愛を歌うことなんてほとんどなかったですし、想いを伝えたいのになかなか話を切り出せない感じがすごくいいですね、、、
(なぜこれほどまでに「真剣な」ラブソングを書いたのか、ということについてMattyが語ったインタビューがちょうどこの記事を書いている途中にYouTubeにアップされたので、そちらについて注釈の(*5)で触れます。)

MVとしては、2ndアルバムに収録されている"A Change Of Heart"と同じ世界観で作られています。白塗りのMattyが"1,2,Yeah!"(3:10-3:12)で素顔のMattyに戻る瞬間が最高です。また、MVには"Everyone Is Disappointing Once You Get To Know Them"という「らしさ」全開の示唆に富んだメッセージが込められているので、それについてもいつか書きたいなと思っています。それでは、以下が和訳と注釈になります。


[Verse 1]


Heartbeat
Is coming in so strong
心臓の鼓動がどんどん激しくなっていく
Oh, if you don't stop
ああ、君がどんどん近づいてくるんだったら
I'm gonna need a second one
心臓がもう一つ必要かも
Oh, there's something I've
Been meaning to
Say to you, baby (Hold that thought)
ああ、君に言いたいことがあるんだ。(ちょっと待って)
Yeah, there's somethin' I've
Been meanin' to
Say to you, baby
ああ、ずっと君に言おうと思ってることがあるんだ
But I just can't do it
でも僕には言えない

[Pre-Chorus]


What a call, movin' in
呼ばれてるな! 行かなくちゃ!
I feel like I can loosen my lips (*1) (Come on so strong)
今なら言える気がする(強気にいけよ!)
I can summarise it for you
言いたいことってのはつまり、
It's simple and it goes like this
簡単に言えばこういうことなのさ

[Chorus]


I'm in love with you, I- I- I- I- I (*2)
僕は君に恋をしている!(愛、愛、愛、愛、愛)
I'm in love with you, I- I- I- I- I
愛してるんだよ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君のことが好きなんだ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君に恋してるんだよ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
心の底から愛してる!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君を愛してるのさ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君に夢中なんだ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君が本当に好きなんだ!

[Verse 2]


She's got her broadsheet
彼女は新聞を広げ、
Reading down the list of the goin' wrongs (Yeah, yeah, yeah) 
悪化する情勢に関する数々の記事を読んでいる
I'm getting no sleep
僕はちっとも寝れないよ
Tossin' and turnin' all night long (Yeah)
一晩中寝返りをうってばかりなんだ
Oh, there's somewhere I've (Somewhere I've)
Been meaning to (Meaning to)
Take the conversation (Hold that thought)
ああ、会話をある方向へ持っていきたいんだ(ちょっと待って)
Yeah, there's somewhere I've (Somewhere I've)
Been meaning to (Meaning to)
Take the conversation
ああ、会話をある方面に持っていきたい
But I just can't do it
でも僕にはできない

[Pre-Chorus]


You show me your (You show me your)
Black girl thing (Black girl thing) (*3)
君は黒人女性が使ってるものを見せてくれる
Pretendin' that I know what it is (I wasn't listening)
僕はそれをわかってるふりをしてた(でもごめん、実は聞いてなかった)
I apologise, you meet my eyes
僕は謝り、君は僕の目を見る
Yeah, it's simple and it goes like this
そうさ、簡単にいえばこういうこと!

[Chorus]


I'm in love with you, I- I- I- I- I
僕は君に恋をしている!(愛、愛、愛、愛、愛)
I'm in love with you, I- I- I- I- I
愛してるんだよ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君のことが好きなんだ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君に恋してるんだよ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
心の底から愛してる!
Yeah, I'm in love with you, I- I- I- I- I
君を愛してるのさ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君に夢中なんだ!
Yeah, I'm in love with you, I- I- I- I- I
君が本当に好きなんだ!

[Bridge]


Yeah, I got it
そうさ、わかったんだ!
I found it
気づいたんだ!
I've just gotta keep it
この気持ちを大事にしなくっちゃ!
"Don't fuck it, you muppet"
「やらかすなよ、間抜け!」
It's not that deep
そんなに難しいことじゃない!
Well, I've been countin'
My blessings (*4)
恵まれていることに感謝してるんだ!
Thinkin' this through
こんなことを考えながら
It's like: one, two, yeah
「いっち、に、さんっはい!」

[Chorus]

I'm in love with you, I- I- I- I- I
僕は君に恋をしている!(愛、愛、愛、愛、愛)
I'm in love with you, I- I- I- I- I
愛してるんだよ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I (Oh, yeah, everyone's having a great time)
君のことが好きなんだ!(みんな最高の時を過ごしてる)
I'm in love with you, I- I- I- I- I (Hey)
君に恋してるんだよ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
心の底から愛してる!
Yeah, I'm in love with you, I- I- I- I- I
君を愛してるのさ!
I'm in love with you, I- I- I- I- I
君に夢中なんだ!
Yeah, I'm in love with you, I- I- I- I- I
君が本当に好きなんだ!

(*1)

loosen my lips は「唇を緩める」ですが、ここはまず「なかなか思いを伝えられていないけれど、(口が緩んできて)言えそう」の意で捉えられます。ただ、「唇が緩む→表情が柔らかくなる→ニコニコする」と考えて、「相手から呼ばれてうれしい!という気持ちから自然と笑顔になっている」という捉え方もできますね。ダブルミーニングでしょうか。

(*2)

"I'm in love with you"という歌詞のあとに" I, I, I, I, I"と続くわけですが、この部分、「愛」と日本語で連呼しているように聞こえませんか?まさにこのアルバムのタイトル「外国語での言葉遊び」じゃないですか!彼らが意図してやっているのかどうかはわかりませんが、この曲が日本でのライブで初披露だったのは偶然ではないような気もしてきます。

(*3)

この部分に関しては、Mattyが以前交際していたFKAツイッグスのことを指す、と言われています。

Apple Musicのインタビューでは、この部分について詳しく述べられています。

当時、僕はすごくきれいな黒人の女の子と付き合っていて、恋していて、こういう歌詞が浮かんできた。特にここ数年の政治情勢だと、実体験や一緒に生活することからしか学べないことだ。例えば、僕たちのバスルームには、特定のスキンケア製品とかそういうのがたくさんあった。ブーツ(イギリスの一般大衆向けのドラッグストア)では買えないようなやつ。それで、 “君は黒人の女の子が使うものを見せてくれる/僕は理解してるフリをしながら(僕は聞いてなかった)[You show me your black girl thing/Pretending that I know what it is (I wasn’t listening) ]”っていう歌詞は、僕が文化的にまったく理解できないものについて話をされてた時のことで、その時に僕が考えてたのは「君が大好きだ」ってことだけだった。話に集中してるべきだったのかもしれないけど、その時の僕は文化や政治のことなんかどうでもよかった。ただ彼女が大好きだったんだ。

Apple Music


(*4)

"count one's blessings"は「自分の恵まれている点を数える」ということから転じて、「自分がいかに恵まれているかをよく考える」「恵まれていることに感謝する」という意味になるようです。

(*5)


冒頭で触れたインタビューです。聞き取りミスもあるかもですが、多めに見てください、、、

(11:44~)
Everyone knows how much division there is in the world between people and stuff like that. But, my…my actual life, day-to-day isn't filled with like that much turmoil and identity politics and kind of partisan political conversation. It's filled with quite a lot of love […]and the stuff I like.
この世界がどれほど分断されているのか、というのは誰もが知っている。でも、僕自身の実際の日々の生活は、社会不安とか、アイデンティティ政治とか、政治派閥の会話みたいなもので満たされているわけじゃない。そうではなくて、僕の日々は、たくさんの愛と、好きなもので満ち溢れているんだ。

(12:13~)
We've become defined by what we don't like as opposed to what we do like. We used to be defined by what we love, but now we're defined by what we're in opposition against. 
僕たちは、自分が何を好きなのかではなく、自分が何を嫌いなのかということによって規定されるようになってきた。つまり、かつては自分の好きなものによって自分というものが定義されていたのに、今は自分が何に対して反対の立場をとっているのか、ということによって自分を定義するようになっているんだ。

「好き」は何かに対する嫌悪から生まれるのかもしれない。。。確かにそういう側面はありますね。

A lot of the most of the record is called to empathy and it's called to love. And it's a call to, like, you know, those kind of ideas that have been so deconstructed in all this kind of postmodern, meta, jokey, irony, nothing-can-be-sincere — and I've been a proponent of that.
このアルバムの多くは、共感とか、愛とかそういうものに着想を得ている。そして、ポストモダンとか、メタ○○とか、ジョークとか、皮肉とか、誠実さなんて存在しないなんていう考えとか、そういった僕が支持してきたものの文脈の中で解体されてきたそうした考え(=共感、愛)に対する呼びかけでもあるんだ。

I wanted to make a record where I was like, 'I'm just going to do a song that's called I'm in Love With You and just swing the bat, and not debase it and make a dick joke — I mean, I do make a lot of dick jokes — but, in the moment, I try to be really earnest because I kind of almost haven't done that yet.
こんな感じでレコードを作ってみたかったんだ。つまり、「"I'm In Love With You"という名前の曲を作りたくて、ただバットを振るだけ。その価値を下げたり、ディック・ジョークを言ったりしない。(ほら、僕ってそういうのよくやっちゃうからさ)ここではとにかく、僕は本当に「真面目」にやろうとしてみたんだ。というのも、そういうの今までほとんどやってこなかったから。

(14:26~)
I've been so defined by all this, like, postmodernism, nihilism, cynicism, addiction, self-obsession, individualism ⁠— all these kinds of things.
僕はこれまで、ポストモダニズム、ニヒリズム、シニシズム、依存症、自己陶酔、個人主義といったものに規定されてきた。

(15:15~)
If you dethrone sincerity or earnestness with irony, eventually you get, like, an equal tyrant, do you know what I mean? And I'd gotten to that point where I was, like, you know, I'm done with this. I want something … that has a bit more substance.
誠実さや真剣さを皮肉によって退けてしまえば、僕たちは暴君同然になってしまう("dethrone"には「(王を)退位させる」の意)。どういうことかわかるよね?はっきり言ってそういうのはもううんざりなんだよ。僕は何か、、、何かもっと実体のあるものを求めてるんだ。


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