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The 1975"Looking For Somebody (To Love)" (BFIAFL) 和訳〜孤独な銃撃犯〜

イギリスのバンドThe1975の5枚目のアルバム、”Being Funny In A Foreign Language"の三曲目、” Looking For Somebody (To Love)"の和訳です。アップテンポで、思わず走り出したくなる曲ではありますが、歌詞の内容としては,
愛を探し求める銃乱射犯の話、ですので結構ダークです。こうした歌詞とメロディーの不一致はもはやThe1975の十八番といってもよいでしょう、!以下、和訳になります。注釈は後ろに着けてありますので、参考にしていただければと思います。


[Verse 1]


Somebody runnin' through the field
ある人は野原を駆け抜け、
Somebody shoulda stayed home
ある人は家にいなきゃならない
Somebody pickin' up the body of somebody they were gettin' to know (*1)
ある人は親しくなろうとしていた人の死体を拾っている
Somebody lackin' in desire
ある人は欲を失っている
The type you just don't fuck
君のタイプの人じゃないみたい
A supreme gentleman with a gun in his hand lo-lo-lo-lookin' for somebody to love (*2)
素敵な紳士が銃を片手に愛すべき存在を探し求めている。

[Chorus]


Lookin' for somebody to love
愛すべきだれかを探し求めている。
Lookin' for somebody to love
愛すべきだれかを探し求めている。

[Verse 2](*3)


I wanna show him he's a bitch
あいつに、自分がくそだってことを思い知らせてやりたい
I wanna fuck him up good
あいつをうまく懲らしめてやりたい
I wanna smash the competition, go and kill it like a man should
あいつをぶっ潰したい。男らしく殺しに行くのさ
"You gotta show me how to push if you don't want a shove"(*4)
「押しのけられたくないんだったら、押し方を教えてくれよ」
Are the words of a young man already damned, lo-lo-lo-looking for somebody to love
それが、愛すべき誰かを探しまわっている若者の言葉さ。

[Chorus]


Lookin' for somebody to love
愛すべきだれかを探し求めている。
Lookin' for somеbody to love
愛すべきだれかを探し求めている。
Oh they ran, oh they ran
ああ、あいつらは走って逃げていったぞ
You should havе seen how they ran when I was lookin' for somebody to love
見ろよ、やつらは逃げてっただろ?僕は愛すべき人を探し求めてたっていうのに
You should have seen it man, I was all bang, bang, bang, bang
見ただろ、あの逃げ様を! 僕はとにかく「バンバン、バン」って
Lookin' for somebody to love
愛すべき人を探し求めてた
Oh they ran, oh they ran
ああ、あいつら走って逃げていったぞ
You should have seen how they ran when I was lookin' for somebody to love
見ろよ、やつらは逃げてっただろ?僕は愛すべき人を探し求めてたっていうのに
You should have seen it man, I was all bang, bang, bang, bang
見ただろ、あの逃げ様!僕はとにかく「バンバン、バン」って
Lookin' for somebody to love
愛すべき人を探し求めてた

[Verse 3]


Somebody lyin' on the field
ある人は野原で寝そべっている
Somebody cryin' on the phone
ある人は電話しながら泣いてる
Somebody pickin' up the body of somebody they were gettin' to know
ある人は親しくなろうとしていた人の死体を拾っている
Maybe we're lackin' in desire
僕らには欲というものが欠けているのかも。
Maybe it's just all fucked
もしかしたら、まじでどうしようもないのかも。
But the boy with the plan and a gun in his hand was lo-lo-lo-lookin' for somebody to love (Hey, yeah, woo)
だけど、計画を抱いている少年は、銃を片手に愛すべき誰かを探していた。

[Chorus]


Lookin' for somebody to love
愛すべき人を探し求めてた
Lookin' for somebody to love
愛すべき人を探し求めてた
Oh they ran, oh they ran
ああ、あいつらは走って逃げていったぞ
You should have seen how they ran when I was lookin' for somebody to love
見ろよ、やつらは逃げてっただろ?僕は愛すべき人を探し求めてたっていうのに
You should have seen it man, I was all bang, bang, bang, bang
見ただろ、あの逃げ様を! 僕はとにかく「バンバン、バン」って
Lookin' for somebody to love
愛すべき人を探し求めてた
Lookin' for somebody to love
愛すべき人を探し求めてた
Lookin' for somebody to love
愛すべき人を探し求めてた


(*1)

「知り合いになろうとしていた」のに、(結局相手から拒絶されてしまい)その人を撃ち殺してしまった。そして、その人の死体を拾い上げている。。。こう捉えてみるのも可能かと思います。「ジョーカー」のような感じですね。また、このフレーズからは、このアルバムに収録されている" I'm In Love With You" のミュージックビデオに出てくる" Everyone is disappointing once you get to know them" を思い浮かべる方もいるかもしれません。(これについては" I'm In Love With You"の和訳の際に触れます)

(*2)

この歌詞の背景にあるのは2014年にアメリカのカリフォルニア州アイラビスタで発生した銃乱射事件です。実行犯のエリオット・ロジャーは”incel(involuntary celibate=女性蔑視主義者)”を自認しており、YouTubeに「犯行声明」として、彼を拒否した女性を罰したい旨と、性的に活発な男性を羨ましく思ったため罰したい旨を述べた動画を投稿し、犯行に及びました。”A spreme gentleman"というのは彼の「犯行声明」の中に出てくる表現です。

(*3)

Verse2についてMattyが言及しているインタビューがありますので、そちらを紹介したいと思います。この部分はこの曲を理解するうえで核となってくるかもしれません。

“Looking for Somebody (to Love)” is about men. The place that I was coming from is that it’s very easy, and maybe fair, to demonize some incel dressed as the Joker who goes and fucking shoots up a school, right?
(拙訳)
”Looking For Somebody (to Love)は男性に関する曲だ。僕の立場がどこに由来するものなのかというと、それは、ジョーカーに扮して学校で銃を乱射した" incel"を悪者扱いするのはとても簡単で、公平なことかもしれないということなんだよ。

Of course they’re a psychopath — they’re fucking whatever. But in the second verse of the song, I think what I’m saying is that if the only vocabulary that we give young men to be assertive is one of such destruction and domination and violence, then a toxic masculinity, in some forms, normally in underfunded parts of countries and forgotten parts of countries, is maybe an inevitability.
もちろん奴らはサイコパスなわけだけど、Verse2で僕が言ってるのは「もし仮に若い男性が自己主張するために僕らから与えられている語彙っていうのが、破壊だとか、支配だとか、暴力だとか、そういったものだけだったとしたら、何らかの形で、ふつうは国からの資金が不足しているところとか、国から気にも止められていないようなところから、有害な男らしさというものは不可避的に生じてしまうものなんじゃないか」ってことなんだよ。


I think that we need to look at the crisis of masculinity a bit more seriously and a bit more head-on. It does tend to be young white boys who spend too much time on the internet that are doing most of that terrorism in America. And I’m interested to keep that conversation going because I don’t know what the reason is, but I’ve got a sense.
僕は、男らしさの危機というものに対してもっと真剣に、正面から向き合う必要があると思うんだ。アメリカでテロを起こすのは、インターネットに多くの時間を費やしている若い白人の少年ということが多い。で、その理由はよくわかってないんだけど、そういう感覚が確かにあるから、僕はこの手の話をし続けることにすごく興味があるんだよね。

暴力などを通してしか自己主張ができない、「有害な男らしさ」に毒された若い男性たち。。。いろいろと考えさせられるものがあります。


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