OW学入門「指揮系統の仕組み」

AKIHABARA ENCOUNTのclankです

今回は指揮系統ということで、普段の数倍チーム活動を行っている方向けとなっております。

最近、即席大会も増えチーム活動を経験する方も増えてきているので、この記事を読んで他チームに差をつけてもらえればいいなと思います。

では早速行ってみましょう。



1.チームプレイの根幹

チームプレイの根幹とは何か。それは、指揮系統です。

分かりやすくするためにチームを人体に例えてみましょう。

チームメンバーそれぞれを手、足、目、口、心臓、胃といった器官だとします。

これらチームメンバーという器官の集合体がチームという人体というわけです。

人体とは各部位に対して神経を通じて脳から指令が送られることで機能し、全体が連動した整合性のある運動が行われます。

ではこれが、各部位に神経が通じておらず各部位が独自の判断で機能しているとどうなるでしょう。

手は振りかぶり、足は走り出し、目は閉じられ、口は咀嚼し、心臓は鼓動を維持し、胃は消化を始める。そういったそれぞれの器官の動きと全体の動きが整合性の無い状態です。
答えは明白でしょう。思い通り動くことすらままならず、いずれ生命の維持すら危うくなります。

人体とは脳と神経という指令を発信、共有する機能があって初めて人体として機能します。

これはチームにおいても全く同じです。メンバーそれぞれがどんなに頑張っていても、その方向性がバラバラであればそれはチームとして機能しているとは言えません。

チームにおいても脳による指令の発信、神経による情報共有があって初めてチームとして機能するのです。

このようにチームにおいて脳と神経の役割と同じ役割を持つのが、指揮系統というわけです。


この指揮系統において、

認識の統一と指令の発信を担う脳に当たるのが指揮役、

情報の共有を行う神経に当たるのが主にVCとなります。

この記事ではこの指揮系統の仕組みについて解説していきます。


2.指揮系統における指揮役と主従

では早速指揮系統についての掘り下げです。

指揮系統を構築、機能させるために重要なのは個々の役割と、それぞれの主従関係にあります。

役割を分けて各々のやることを明確にし、主従関係によって統率することで、試合におけるハイスピードな情報共有の中でも混乱せず連携することができるのです。

まずは役割から見ていきましょう。チームにおける役割は大まかに以下の三つに分けることができます。

・プランキーパー
・リフレクター
・スカウト

それぞれ解説していきます。

2-1.プランキーパーの役割

プランキーパーとは要はインゲームリーダーです。

チーム全体の動きを把握しその場において最適な作戦、指令を発信しチーム全体を統率します。人体で言えばまさに脳と言えるでしょう。

戦闘が起こっていないウェーブ間においては次のウェーブでの作戦を立案し、戦闘が起こっているウェーブ中では作戦の調整、変更などを行い必要があればその都度チームに指令を飛ばします。

基本的にチームの中で特定の一人のみが担当し、全体把握が得意なflexTANKやsupportを受け持つプレイヤーが担当することが多いです。しかし、プランキーパーができるかどうかはプレイヤーの素養によるところも大きく、戦闘中よりも非戦闘時での役割が大きいためあまりロールは関係ないです。

プランキーパーにとって重要なのは大雑把でもチーム全体の動きの指針を示すことです。
前項でも解説した通り、チームは人体と同じく全体の動きが一つの指令の元で統率されて初めて機能します。

常に変化し続ける局面の中で、チームに作戦という明確な道筋を示し続けることがプランキーパーの役割となります。

主従関係で言えば完全な主です。他のメンバーはプランキーパーの指揮に従う必要があり、独自裁量が許されたロームやアサシンといった作戦行動中、また後述するリフレクターの指揮もプランキーパーの作戦に基づいたものである必要があります。

しかし、プランキーパーが気を付けなければいけないのは、細かく指示を出しすぎないことです。
指示が細かすぎればチーム全体の動きが鈍くなり柔軟な対応が取れなくなるばかりか、OWのようなハイスピードな試合展開の中ではプランキーパー自身がパンクしてしまいます。

作戦立案では、偵察する→Aエリアを取る→Bエリアに敵を追い込む→○○ULTを使ってエンゲージする、といった具合に作戦のステップを提示する程度に留め、戦闘中のプラン調整もチーム全体の動きの調整に留め、細かい動きや判断は各々に任せる方がチーム全体の対応力は上がります。


プランキーパーのまとめ
・役割は作戦立案と軌道修正
・チームの行動方針を示し続けることが重要
・細かすぎる指示は逆にチームの柔軟性を奪う



2-2.リフレクターの役割

リフレクターはいわば現場指揮官あるいは号令係です。人体で言えば脳による処理を挟まずに行動を起こす反射機能に当たります。
プランキーパーが直接関与することができない、よりミクロな状況やハイスピードな判断を求められる戦闘中に指揮を執ります。
具体的にはより細かく分類され、フォーカスを決めるショットコーラー、エンゲージタイミングを決めるイニシエーターなどに分かれます。

役割ごとに決められた条件下で指令を飛ばし、チームをよりリアルタイムに詳細に動かす役割を持ちます。

ショットコーラーであれば削れた敵をコールして味方にフォーカスさせたり、イニシエーターであれば相手にエンゲージするための号令とアクションを同時に行うといった具合です。

VCにおける役割とピックしているヒーローの性能が密接にかかわっており、また戦闘時の瞬間的な判断が必要なためDPSやmainTANKが担います。

主従関係で言えばプランキーパーに従いながら、スカウトに指令を飛ばす中間管理職的なポジションと言えるでしょう。

リフレクターにとって重要なのは、素早い状況判断と作戦への理解です。ひとたび戦闘が始まってしまえばほとんどの指揮はリフレクターがとることになるため、リフレクターが判断を間違えたり作戦への理解が浅ければ、チームは作戦とは全く違う方向へ突き進んでしまいます。

プランキーパーの作戦修正が間に合わないような状況ではリフレクターによる指揮がチームの命綱です。しかし、それによってチームの統率が乱れてしまえば元も子もありません。
リフレクターはプランキーパーの立案した作戦を基に、より実戦向けの細かい指揮を執ることでチームをより円滑かつ迅速に機能させることができます。


リフレクターのまとめ
・リフレクターの役割は中間管理職
・迅速な判断と作戦理解度が重要

2-3.スカウトの役割

スカウトは斥候であり、戦闘員であり、補助役です。人体であれば手足や目といった効果器あるいは感覚器です。

プランキーパー、リフレクターが適切な指揮を執るための情報を集めて共有し、彼らの指令を受けて作戦を遂行します。時には作戦立案、修正の手助けとなる提案も行うことがあるでしょう。

具体的には、ULT管理、ヘルス管理、スキル管理、ポジション管理などなど、様々な情報を集めて共有することが主な役割となります。

基本的にすべてのチームメンバーはこのスカウトの役割を担いますが、機動力の高いヒーローを扱うフランカーDPSや、性質上リソース管理を行わないといけないsupportは他メンバーと比較してスカウトの役割に徹することは多くなります。

スカウトにとって重要なのは指令に対する即応力と情報の取捨選択です。

スカウトは基本プランキーパー、リフレクターの指示には従うことになります。しかし、その時下された指令に対して適切な行動がとれなければ意味がありません、事前に提示された作戦をよく理解し下されるであろう指令、作戦に対応するための準備とプランの用意が求められます。

また、情報もやみくもに伝えればいいのではなく、ある程度取捨選択が必要です。すべてをVCで発信すればVCにもまとまりがなくただただうるさいという状況になりかねません。
プランキーパー及びリフレクターが必要としている情報、作戦遂行のきっかけとなるような情報、戦況が大きく動くようなクリティカルな情報を発信するようにしましょう。


スカウトのまとめ
・主な役割は情報収集と共有
・情報の取捨選択が重要

2-4.指揮系統における主従とカバー関係による主従

先述してきた通り、指揮系統が正しく機能するためには、誰が指揮を出し誰がそれを受け取って行動に移すのか、という主従関係が重要になってきます。この主従関係が上手く機能しなければ、指揮系統は崩壊し互いが好き勝手にVCでしゃべるだけとなってしまいます。

そしてこの主従関係には二種類あります。

一つ目は、指揮系統における主従です。

これはお話してきた通りの、プランキーパー、リフレクター、スカウトの三つの役割における主従です。

主従関係は プランキーパー>リフレクター>スカウト となります

プランキーパーが作戦を立案、修正し、リフレクターがより細かで実践的な指令を出し、それらを受け取ったスカウトが作戦を遂行します。


二つ目は、カバー関係による主従です。

分かりやすくいえばカバーをしてもらうヒーロー、カバーをするヒーローの関係です。

具体的な例を挙げるならウィンストンとトレーサー、ゼニヤッタとブリギッテのような関係です。

これらのようなお互いが強力なシナジーを生み出すような関係の場合は、互いにカバーコールあるいはショットコールする場合が多くなります。

この時どちらが主でどちらが従になるかは、作戦や構成、状況によってまちまちです。しかし、主従関係をはっきりさせておけば、土壇場での即応力が上がりチームプレイはより強固になります。

このようにカバー関係における主従は指揮系統の主従よりも流動性があるため、作戦や状況に応じて主従を変更することでより柔軟なチームを作ることができます。


さて二つの主従関係を解説しましたが、基本的には指揮系統における主従関係のほうが優先されます。

実際にはこの二つの主従関係が矛盾しないように指揮系統を作るのですが、何かの拍子に矛盾してしまった場合は指揮系統を優先しましょう。

なぜならばカバーというのは作戦を遂行する上での一つの要素でしかないためです。

チームにおいて特定の誰かをカバーをしないことで勝利できるのであれば、迷わず切り捨てることが求められます。

作戦>カバー関係というわけです。


これら指揮系統、カバー関係の主従を正しく決めることでよりチームプレイは強固となり、柔軟な対応が可能となります。


主従関係のまとめ
・指揮系統による主従は各々の役割によって決まる
・カバー関係による主従はヒーローのシナジーによって決まるが流動的である
・優先度は 指揮系統>カバー関係

3.VCにおけるリアクションと連動

最後に、指揮系統における神経であるVCについて解説していきます。

ここまで読んでもらえた方には自明かと思いますが、VCの役割は指揮系統における情報共有と調整です。

指揮系統は仕組みを作るだけでなくメンバーから発信される情報をVCによって共有することで初めて機能します。


そんな各役割をつなぎ指揮系統を機能させるVCにとって重要なのがリアクションと連動です。

分かりやすくするためにまたまた人体で例えてみましょう。

脳が「歩く」という指令を出したとしましょう。

そうするとその指令によって、足を交互に踏み出し、それらをスムーズに行うため腕を足と対象になるように振るわけです。

この足を踏み出す行為がリアクション、腕を振る行為が連動となります。


VCとはただ情報を伝えることではなく、それに対するリアクションと連動を行って初めて意味を成します。

リアクションとはVCで受け取った情報への反応、連動はリアクションの補助といった関係性です。

具体的には「高台を取る」という指令に対して、チームは「高台に向かう」というリアクションと、「経路上のクリアリングを行う」といった連動を行うわけです。

この例はプランキーパーからの指令によるリフレクターとスカウトのリアクションと連動ですが、逆もしかりです。

スカウトが「敵ザリアが自バリアを使った」という情報発信をすれば、リフレクターは「ザリアフォーカス」という指揮を執り、プランキーパーはその後の作戦を練ります。


言葉にすれば当たり前ですが、出来上がったばかりのチームや新しい戦術を試しているときはこのリアクションと連動が取れていないことが多くあります。

情報を受け取った場合、受け取るだけでなく自分は何をするかという考えに至れるかが指揮系統を上手に機能させるのカギとなります。

VCのポイント
・VCは指揮系統における神経
・VCの肝はリアクションと連動

4.あとがき

以上が、指揮系統の仕組みと重要なポイントとなります。

チームプレイって難しいなあと悩んでいる方に少しでもチームプレイの肝が伝わればなあと思います。

とはいえ指揮系統というのはなかなか確立するというのが難しいかと思いますが、強固なチームプレイを成立させるには必要不可欠な要素となります。

もし、チームプレイがよくない、まとまりがないと感じる方の役に立てば幸いです。


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