【OW2β】OWLメタリポート~week5(KickoffClashTournament)

こんにちは、AkihabaraEncountのclankです。

普段はOWチームの出張コーチをしながらOWLのリプレイ解説配信やOWの攻略?記事を作成しています。

この記事ではOWLメタリポートと題してOverwatchの最高峰、OverwatchLeagueにおける戦術的なトレンドを記事にしていきます。

KickofClashを終え、ウェストグループではGladiatorsが、イーストグループではSeoulがそれぞれ上海、SFS、Dallasといった大本命チームを押さえ優勝するという大方の予想を覆す結果となりました。

その要因はどこにあったのか、今回のリポートで深堀していきたいと思います。

ウェストグループのピック率変化

まずはウェストグループからみていきましょう。
いつも通りピック回数のみの集計のため公式データのような時間を含めたデータとはなっておらず、一部のヒーローは実際の活躍と大きく食い違う部分があることはご了承ください。

また、トーナメントの性質上一部のチームのピック率が強く反映されているため先週までのピック率と本来は単純比較はできないこともご考慮願います。

先週比で増えたヒーローは緑、減ったヒーローは赤で塗ってあります

KickoffClash全体を通してピック率変化の大きかったウェストグループは最終週となっても大きくメタの傾向が変化していました。

目を引くのはザリア、ソルジャー76の減少と、ドゥームフィスト、トレーサー、モイラの増加でしょう。

先週はウィンストンダイブに対してザリアリーパーのコンビが有効であるためにザリアがピックを伸ばしていましたが、
ウィンストンダイブ主体だったチームがそれを攻略するためにドゥームフィストダイブを選択した形であるかと思われます。

ドゥームフィストの特徴は1対1でのキル性能とスキルを用いた高い機動力。
エリアに居座ること=デスになりかねないザリアリーパー対面であれば、ヒット&アウェイでキルを狙えるドゥームフィストの強みが活きてきます。

ザリア構成の多かったイーストグループで見られたような、ゲンジエコーなどを用いた高い瞬間火力によってバリアの隙をつくというザリア対策に近しい対策と言えます。

ソルジャーの大幅減少についてですが、原因は以下のようにいくつか考えられます。

・ザリア、ドゥームフィストの台頭によってバーストダメージが重視されていた
・ザリアリーパー構成ではもう一枠がフランカー(トレやゲンジ、エコーなど)に譲ることが多かった
・エスコートなどのスナイパーマップではスナイパー+フランカーが多かった
・集計方法とソルジャーの起用方式のミスマッチ

決勝まで勝ち上がったDallasFuelは特に上二つの傾向が強く、特にコントロールではソルジャー不採用も多くみられました。

ついで三つ目、KickoffClashのエスコートマップのほとんどがスナイパーが強いマップとなっており、これらのマップではスナイパーに対して撃ち勝てないソルジャー76は大きくピックを減らしており、両チームソルジャー76を不採用とすることも多くみられました。

最後に四つ目、集計方法との相性の悪さですが、僕の集計方法ではピック時間にかかわらず1カウントとしています。
一方ソルジャーはというと、ほとんどのチームにおいて戦術の核として扱われており、一度ピックしたら変えることなくもう一枠を変えていくことで場面に対応する場合が多くなっていました。
そのため、短時間のピックとなっていたヒーローの割合が高くなっており、実際にソルジャー76のピック率は減ってはいたもののデータに現れているほど大きく減らしていたわけではないというわけです。

イーストグループのピック率の変化

続いてイーストグループのピック率の変化を見ていきましょう。

先週比で増えたヒーローは緑、減ったヒーローは赤で塗ってあります

変化の薄かった先週に比べプレイオフではイーストグループでも大きな変化がありました。

目を引くのはザリア、エコー、マーシーの大幅な減少、そしてウィンストン、ソルジャー76、トレーサーの増加でしょう。

week4のウェスト同様にザリアが強い環境であったにも関わず、ウェストとは違ってウィンストンが増加しているのが面白いところです。
その原因は言わずもがな、リーパーが環境にあまり存在しなかったからでしょう。

イーストグループでは初週からザリアが環境の中心となっていたため、ウェストに先んじて瞬間火力重視のゲンジエコーのピックが目立っていました。

この環境に対してイーストグループで勝ち残ったチームが出した回答がウィンストンダイブでした。
ザリア+エコーorゲンジという構成は瞬間火力に優れるものの、一方で中遠距離からの削りに弱く、また、ウィンストンが行うドームファイトによるエリア制圧に対して解答を出すのが難しい構成です。
また、機動力という点でも難点があり、ウェストでもそうだったように広いマップや高低差のあるマップでも相性の悪さが目立ちます。
また、ウィンストンにとっても脅威となるエコーに対しては相性の良いトレーサーで解消できています。

こうした戦術面での相性を背景にイーストグループにおける瞬間火力編重のザリア構成はウィンストンダイブに攻略されてしまったものと思われます。

また、ウェストグループとの類似点であればイーストグループプレイオフのピック率とウェストグループweek2のピック率が似通っていたのは面白く、環境の変遷というものを捉えるにはいい資料のように思えます。

ウェストグループweek2のピック率
ウィンストン中心でDPSはゲンジトレソルピックが多いという共通点がある

もしかしたら、あと1週間あればリーパーを携えたザリアが環境の中心に返り咲いていたかもしれません。

KickoffClashの環境のまとめ

さて、ウェストグループは5週間、イーストグループは3週間のKickoffClashだったわけですが、OW1で見てきたようなOWLとは一味違いました。

単純にOW2になって新しい戦術がみられるようになった、だけでなく

かつてないほど、環境の移り変わりが激しかったステージだった

と言えるでしょう。

特にウェストグループは5週間という中でほぼ毎週のようにピック率に大きな変動があり、
雑にその流れをまとめても

ウィンストン(ドゥーム)ソルゲン
→ウィンストントレ
→ザリアリーパーラッシュ(ハルトラッシュ)
→アンチザリアリーパーダイブ

といった流れになります。ここに、特定のマップでのみ見られたDva構成、シグマ構成も含まれます。

イーストグループでも予選→プレイオフでの環境の変化は劇的なモノでした。

これは僕自身が、
過去最高に多様な構成が採用されたOWの集大成的シーズン
と評した2021OWLと比べてもあり得ないぐらいの環境の変化です。

こうなった理由はいくつか考えられますが、

OW2であるからこその理由として
1タンクになったことと、スタン系スキルの弱体化によって構成単位の弱点が増えてしまった

ということが考えられます。

OW1ではタンクが二人いたため、多少の弱点であればそれを補うことができ、2人の動きの掛け合わせで同じ構成でも戦術に変化をもたらすことができたため、
構成を変えて対処するよりも、練度を上げて対処できる幅を増やす
というのが主流でした。
そのほうがプレイするヒーローも絞ることができたので個人単位のパフォーマンスも向上しやすく、実際多少構成の弱点を突かれたくらいで構成そのものが瓦解するケースというのはあまり多くはありませんでした。(特にOWLにおいては)

しかし、OW2ではその選択肢が大幅に狭くなり、スタンスキルが少なくなったことで、各ヒーローがそれぞれの持ち味を発揮しやすい環境となりました。
これによって構成の弱点が露呈しやすくなり、その弱点に付け込みやすくなったと考えられます。

これがOW2の特徴なのかは今後のパッチが変わったステージの試合を見ていかないとわかりませんが、少なくともKickoffClashのパッチにおいてはそういった環境で、
初週は最強と思われていた、ウィンストンソルジャー76ゲンジアナルシオも一度はあっさりと攻略され、その後再び復活しています。

これが、KickoffClashでの優勝を決めるための分水嶺となったように思えます。

今大会を優勝したのはLosAngelsGladatorとSeoulDynastyの2チームですが、双方ともにマップや環境、対戦相手に合わせた構成を柔軟に採用するタイプのチームでした。
今までのOWLでは大抵、各チームが1ステージをかけて構成を洗練させプレイオフに臨むというのが通例で、パッチの変わらない1ステージの中で環境に大きな変化が起こることは稀でした。

そのためGladiators、Dynastyの両チームは今まで優勝目前まではいくが、特化型のチームに完成度で届かないといったことが多く、OW2でやっと花開いた形と言えます。

今後もこういった柔軟性のあるチームが活躍し続けていくのかどうか楽しみですね。

MidseasonMadnessの環境予想

最後は、次ステージMidseasonMadnessでの環境予想です。

MidseasonMadnessでのパッチノートはこちら

ベータ版の最終パッチが適用されます。
KickoffClashパッチからの変更の概要としては、ゼニヤッタバティストの大幅強化を始めとしたサポート全般への調整と、ソルジャー76の大幅なナーフが目玉となっています。

さてここから予想ですが、
KickoffClashの環境を基本として、ゼニヤッタバティストコンビを軸にした構成が採用を伸ばすのかなと考えています。

この両ヒーローはベータ、KickoffClashともに活躍が少なく、だからこその大幅強化が入りました。
この強化内容がかなり革命的で、ゼニヤッタバティストコンビの中遠距離で戦えたら強いけど近寄られてしまうとあまりにも脆い、という弱点を解消してしまうほどの内容になっています。

そのため、現状のダイブ&ラッシュの近接戦編重の環境に一つっ変化をもたらしてくれそうだなと期待しています。

特にゼニヤッタはOW2でも強力な攻撃力を持つものの自衛能力の無さが大きく足を引っ張っていましたが、それが解消される形となったためバティストとのコンビにとどまらない可能性もありそうです。OW1でよく見られたゼニブリコンビも復活するかもしれませんね。

ゼニヤッタが環境に出てくるとなると、敵でも味方でも相性のいいトレーサーを筆頭としたフランカーDPSはソルジャー76のナーフも相まってさらにピック率を伸ばしそうな予感がします。

一応台頭してきそうな構成は以下の形かなと

DPSもう一枠で対応幅を増やすと予想してます

とはいえ、最初はKickoffClashの流れをある程度引きずる気もするので、この構成が環境を支配するというよりは、CiercuitRoyalで高い採用率を保っていたこの構成が他マップでも見られるようになってくるのかな?程度の感覚です。
ゼニヤッタがもし自分が思っている以上に評価されているとしたら、既存のウィンストンダイブのルシオの枠をゼニヤッタが奪うこともあるかもしれません。

また、タンク単体での生存性が求められるようになればバフされたレッキングボールにも役割が回ってくる可能性もあります。

2021上海構成のOW2調整版のつもり

いずれにせよ、KickoffClashではピック率の低かったサポート、タンクに順当にバフが配られ、なおかつ絶対的なまでのピック率を誇ったソルジャー76に大きなナーフがはいっているパッチ内容なので、MidseasonMadnessの名にふさわしいカオスな環境になってくれるんじゃないかと予想してます。

あとがき

以上、KickoffClashPlayoffのメタリポートでした。

プレイオフでここまでメタが変化するとは思っておらず、また、優勝予想どころか勝敗予想も外しまくりの、変化にとんだ観戦してて非常に楽しいプレイオフでした。
MidseasonMadnessでパッチが変わりどんな構成が台頭してくるか、環境がどのように変化していくか楽しみで仕方ありません。

OWLが配信しているときは裏で観戦&解説配信をしていますので興味ある方は見に来ていただけると嬉しいです。

それでは。

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