エモクロアTRPG「オリカミ」DL側感想
「オリカミ」は、エモクロア公式サイトに掲載されているシナリオの1つです。エモクロアというシステムを制作したチームのメンバー「ぱぱびっぷ」氏によるシナリオで、初心者向け・高い自由度と書いてあって好き系の香りがしたのでやってみました。
ディーラーとして2回シナリオを回した個人の感想です。楽しいシナリオであることが少しでも伝われば嬉しく思います!
以下、ネタバレが含まれますので、ご注意ください。
※この記事はTRPGシナリオを布教する意図であり、有料頒布されているコンテンツの阻害にならないよう注意を払っております。見落とした問題があれば直ちに修正もしくは公開停止しますので、下記Twitterアカウントまでご連絡ください。
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ここ好きポイント
シンプルで仕掛けがハッキリした脱出ゲームの感触
ホラー要素が無く、適度にふざけながら遊べるNPCやステージの構成
技能だけでなく移動にもダイスを使っており、TRPG醍醐味の1つであるダイスロールをめちゃくちゃ繰り返す景気の良さ
個人的イメージ
どういうシナリオなのか雰囲気をお伝えするためにこんな感じにまとめてみました。
RP・キャラの関係性…☆☆☆★☆…ギミック・謎解き
テキスト情報多め…☆☆☆☆★…探索や調査多め
シリアス…☆☆☆☆★…コミカル
(参考程度に)プレイ環境
PL2名・ボイスセッション・ココフォリア
PL3名・ボイスセッション・ココフォリア
良かったところ
共鳴者が出会う→迷宮に誘われる→謎を解く→脱出の王道ルート
なんといっても構成が分かりやすいところは非常にありがたいです。
PLは何をやればいいのか迷わずに済みます。とにかく脱出を目指せばいいですし、目の前には明らかに怪しい折り紙のクマやマヨイガ団、「デカすぎんだろ…」なカニなどが立ち塞がりますので、解くべき謎にも事欠きません。
また、PLが迷ってゲームが停滞してしまう時があるとはいえ、共鳴者はほとんどの手がかりを見ています。なので、DLとしても「直感や洞察に成功したら閃かせよう」といった救済措置を取りやすい仕様です。その技能ロールに失敗するともちろん厳しいのですが、共鳴者が2〜4人を推奨されているため、全員に振らせれば誰かしら成功するようになっています。
…それでも失敗する可能性があるのがTRPGの恐ろしいところですね。
謎解きも戦闘もNPCとの会話もできて全部盛り
ずーっと謎の部屋の中で唸っているだけではなく、適度に戦闘を挟んだり話しかけられたりするので、少し苦戦してもダレにくいと思います。
戦闘の相手も直接恐怖の対象となる怪異ではなく「ストーンマン」や「アイアンシザース」といったコミカルで個性的なものが含まれ、PLに対してメタ的に「あ、そういう(適度にふざけた)テンションで遊んでいいやつね」と暗に伝えることができます。
また、マヨイガ団やマヨイガは会話ができるため、唸っても謎が解けない時はNPCから情報を仕入れるという選択肢の提示もされています。DLとしても、自然にセリフを回せれば調査系技能ロール全失敗時の保険として使えますので、NPCに助けられることでしょう。
難しかったところ
じゃんけんシステムのヒントを出しづらい
「ストーンマンに対してオリカミの攻撃がよく効いている」「カニに攻撃を喰らうとオリカミは大ダメージを受ける」といったことを、共鳴者およびPLにどう伝えるかが鬼門です。属性攻撃の「こうかはばつぐん」についてシナリオとしては描写の指定がないので、DLが地の文を上手く作って伝える必要があります。
例えば「ストーンマンは大きく怯みます」と描写しても、HPが残りわずかであるという捉え方をされる可能性が大いにあるのです。バトルがじゃんけんの相性に基づいているギミックに気づかせることに難しさを感じました。
NPCの描写が大変
大変なのは主にオリカミとマヨイガ団です。むしろラスボスであるマヨイガが一番普通の人(怪異ですが…)なのでDLは一休みできます。
オリカミの描写が難しいのは、現実にクマを見た経験がほとんど無く、クマがどのように動くのか全然イメージできないことが理由の一つです。また、目は無く喋りもしないので、仕草だけを描写して反応を伝える必要があります。
例えば撫でられたらどうするのか。喋って頼まれごとをしたらどのように肯定・否定を示すのか。折り直しでクマ以外の形になったらどう動くのか…などなど、アドリブと気合と想像力をフル動員してなんとかする場面が多々あります。
マヨイガ団は二人組であるというのが難しさポイントです。
シナリオ上は「オキタ」と「ヒジカタ」が会話をするように記載されていますが、僕は諦めました(代わりに行った描写は後述)。ボイスセッションにおいて、一人二役で会話を読み上げるのはちょっと難しいです。PLからすると「今だれが喋ってるの?」になりかねません。
これからディーラーをする人へ
素材パックの購入がおすすめ
シナリオ無料・素材500円という構成ですが、これは公式素材があったほうが確実にやりやすいです。キャラクター、特にオリカミやストーンマンの外見が重要なので、絵が上手でご自身で用意できる方でなければ購入する方が楽でしょう。
※回し者ではないです
背景や小物も特殊なモノなのでフリー素材での準備が難しく、そういった点でもよくできたシナリオだなあ…と思いながらポチりました。
ちなみに、Boothにも記載がある「おまけテキスト」はDLをやる上でかなりありがたい情報が入っています。真相は君の目で確かめよう!
ヒントを出すセリフの例
マヨイガから以下のように喋らせると良さそうです(1勝)。
▼じゃんけんという発想に至っていない時
「あれ、わかんないかな?人間には結構馴染みがあるって聞いたものを題材にしたんだけど…」
▼ストーンマンを倒せると思ってない時
「ああ、あのシキガミ(ストーンマン)を配置したのは僕だよ。でも君たちもシキガミ(オリカミ)を連れてるんだし、なんとかなると思うんだけどなあ」
▼試練の内容について聞かれた時
「迷宮の謎を全て解いて、僕にそれを証明することだ。証明できる準備(戦闘する準備)ができたらまた来なよ」
▼謎を解き終わっているけどまだ探索しようとしている時
「(赤いオリカミを見て)お、そのシキガミ…もう試練を受ける準備ができたみたいだね。じゃあ、かかってきな!」→戦闘へ
導入について
3人もいると、共通点が無い共鳴者たちになることも多々あります。
17歳・25歳・35歳という超バラバラ共鳴者が揃って一度頭を抱えましたが、最強カード「APEX Legendsオフ会」を思いついたおかげでごく自然な導入に成功しました。
マヨイガ団の処理
オキタ・ヒジカタの掛け合いをボイスセッションで描写するのは極めて難しいので、僕は以下のように設定を調整しました。
▼オキタ(女性)
最初の口上以外ほとんど喋らず、戦闘が終わったらストーンマンのかけらを渡してくる。クールなジムリーダー感。
▼ヒジカタ(男性)
積極的に喋り、共鳴者にヒントを出す。ストーンマンが削られていくたびに泣きそうになり、ストーンマンが倒れた後は号泣していることだけ描写し、喋らない(なのでオキタだけRPすれば良い)。
おわりに
今回はエモクロアTRPGシナリオ「オリカミ」の感想を書いてみました。
コンセプトはズバリ「僕がDLやる前に知りたかった情報集」です。やろう!オリカミ!
僕も初心者ながらDLしましたが、非常に楽しく遊べましたし、PLのみんなにも楽しんでもらえました。
ぜひ「運命のダイスロール!」と叫びながら1D6を振ってみてください。
オススメ参考リプレイ
シナリオ作者であるぱぱびっぷ氏が上げてくださっているリプレイがわかりやすいかと思います。僕はこれで全体の流れを掴んだ上で臨みました。
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