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香港に行ったこと 2
ほとんど眠れなかった。前日に疲労していようが、気のたかぶりや環境の不慣れには敵わなかった。
たとえ夏でも私には朝シャンする習慣がない。でも香港の朝は別だった。このゲストハウスでは冷房がずっと稼働しているのに、起きたらとにかく体がペトペトで、よだれまで垂らしていた。たまらず朝シャンをした。
朝の街ぶら
8時に街へ出る。旅先の朝散歩はめちゃくちゃ楽しい。ほとんどの店が開いていないし準備中なのに、その眠っている姿だってまじまじ見たくなる。動きのないありのままの姿にもその街のカラーが見える。
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早餐 (モーニング)
お粥が食べれる店に入店。店の外では揚げパンと豆乳らしきものを販売していて、テイクアウトしている人が何人かいた。それも憧れる…
数あるお粥の中で、まずはシンプルにと一番安いものを注文してみた。後ろの壁に大きく貼ってあるメニュー表から"明火白粥" (約180円)を指差し注文。それを受けたマスターに「本当にそれでいいのね…?」という感じの反応をもらった気がしたが、そのまま注文した。少し置いて、マスターは私に尋ねた。
「ヤッブンヤン?(日本人?)」
「ヤッブンヤン。ンゴーハイヤッブンヤン(日本人です)」
マスターは笑みを浮かべて、「"ありがとう"」と日本語で返してくれた。のちに振り返って、これが5日間の中で唯一、香港人になにかを聞かれて広東語で答えられたまともな一往復の会話だったかもしれない。
店内には若い猫が二匹いて、この人たちも朝食を食べたり、くつろいだり走り回ったりしている。マスターはときどき猫に絡んでおどけたりしている。楽しそうに働くマスターと2匹の猫がいる店…とんでもないハピネス空間ではないか。
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すぐにお粥が登場。具材はなにも載っていない極めてシンプルな見た目だった。見た目だけではない。味付けもされていないお粥だった。マスターが注文を受けたときに「これでいいの?」と反応したのはそういうことだったのかなと思う。想像以上にプレーンすぎた。
しかしそれは特徴のないつまらないものではなかった。米の形状が見事だった。重湯に限りなく近いが、完全に液体でもない。形をなくそうとしている米がギリギリ個体を残している感じの、何倍粥かわからない見たことないものだった。病人食に向いていそうだが、病棟では出ないような手の込んだお粥。寝不足、そして今後食い倒れるであろう体に優しい食事と言えよう。このままでは飽きるからテーブルにあるゴマ・塩・醤油を足して味わった。
テレビの画面では朝のニュースが流れている。旅先のテレビはいいものだ。
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北河街の市場
北河街(Pei Ho Street)の大きな市場に吸い込まれた。
鮮魚、肉類、野菜など様々な食材が集結している。ニワトリが籠の中にたくさん居て、その奥で鶏をさばいているであろう様子がうかがえた。茫然と籠の中を眺めているとニワトリ市場の人が私に近づきながらにこやかに話しかけてきたが、なにも言葉がわからずニコニコして立ち去るしかなかった。
野菜売り場に見覚えのあるものがあった。ゆうべのワンタン麺に入っていた菜の花のような具はこれのことかもしれない。「菜心」とか「尖叶」とか書いてあり、それがどの野菜売り場にもあった。東京でいう、ほうれん草とか小松菜ぐらい馴染みのある野菜か。
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街の光景
建物の修繕をする現場では足場というものが組まれるが、香港ではそのほとんどが竹で組まれていることだった。竹と竹の繋ぎ目は黒い紐できつく縛ってあり、これを一つ一つ確実に組むことがすごい技術だと思う。思わず眺めてしまうのだ。
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街でよく見る光景のもう一つは、建物から室外機の水がポタポタと垂れてくるところ。何度頭に食らったことか。だんだん注意力が培われ、したたりスポットがわかってくる。
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同室で唯一会話した人
10時。宿に戻ってベッドでごろごろした。同室でひょんなことをきっかけに話しかけてくれた人がいた。シンガポールの人だった。私が日本人と知ると、知っている日本語の単語を列挙する。日本人の友達がいるから知っているそう。彼女は親戚に会いにカナダへ行く予定で、経由地である香港に数日滞在しているロングトラベラーだった。積極的で、色々たずねてくれる。
「いつまで泊まる予定?」
「月曜です」
「じゃあ私より一日早いね。私は火曜」
快活な人。話せて嬉しかった。
両替ステージ、重慶大厦へ
MTRに乗って尖沙咀(Tsim Sha Tsui)で降りる。
重慶大厦(チョンキンマンション)という、沢木耕太郎『深夜特急』の旅程にもあり、ウォンカーワイ映画作品の舞台にもなった有名なでビルへ。安宿や両替所がたくさんあり、レートが良いとの噂をネットで知ってやって来た。いくつかの両替所でレートをひととおりチェックしたのち、候補の店で両替をした。大事なミッションだから達成感があった。
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インディア中心に様々な人種を見かける。インドレストランや売店を多く見かけた。店や人は多いがどこか物静かで、中野ブロードウェイの静かなフロアをさらに薄暗くした感じ。警備員がいるものの、奥まった場所は怖い印象がある。
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再会
14時近く、金鐘(Admiralty)へ。駅の改札の前で、香港の友達と再会を果たした。凍結の5年間も瞬時に解凍…
私は、言葉が思い通りに使えずコミュニケーションがスムーズにできない旅の醍醐味といえるものに閉鎖感を感じていたが、日本語を話せる友達と話ができて、すごく安心した。日本に滞在したことのある友達は現在香港で暮らしているが、日本語のブランクは私には感じなかった。「こんなに普通に会話ができてすごいよ、勉強してくれて本当にありがとう!」と、この後も何度も告げた。
これから友達と旧交を温めながら、香港の食や文化、街の作りについて更に知ることとなる。
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