ゴミ

 東京の埋め立て地のひとつ、夢の島ができた経緯をNHK番組で知ったらしんみりした。夢の島にはゴミ処理施設がある。そうなる前から夢の島と名付けられたこの地は、飛行場の建設予定があったが戦争で頓挫。戦後、そこをなんとか有効活用できないかっつーことで1947年に「銀座から直通で行けるハワイ」として海水浴場オープン!高度経済成長期の前で海はまだきれいだった。ところが台風や経営難により3年で閉業。その後広大な埋め立て地にはゴミ処理施設のほか、数々の運動場や熱帯植物園もでき、植物園はゴミ処理施設から発電した熱を生かして温暖な環境を作っている。そこにある椰子の木やトーテムポールは、海水浴場の名残だった。

 生ゴミは燃えるゴミとともに焼却されるが、内側に生ゴミの水分が集中するとダイオキシンを発生させる。それは良くないので、どこかのゴミ処理場では、ゴミをよーくまぜまぜして生ゴミを分散させ、ダイオキシンの発生を軽減しているとのこと。ほかにも、焼却で発生した二酸化炭素だけを取り出して、具体的には忘れたけど、植物を育てるために使ってるとか、毎日大量のゴミが寄せられる処理施設では様々な工夫を行なっている。

 ということを知ってから街に出かけた。用事と用事の合間に腹ごしらえの必要があり、初めて入る店で、五穀米や肉や野菜などが楽しめるプレートを注文した。それぞれの食材が小ぶりに見えて良さそうだと思ったのだが、実際来たものは皿いっぱいにボリュームがあり、それを時間内に全部食べ切れるか自信がなかった。カウンターの隣の人は、背中をまるめ、テーブルに置いたスマホを覗いて操作しながら、ずーっとそうして食べている。その様子が視界に入った。味わっているのだろうか。これは良くない習慣でっせ!あきまへんで!と思った。私は食事をよく噛み味わってはいるが、ボリュームのあるチキンと野菜、南瓜の煮付けみたいなのは完食したものの、半分ほど崩した五穀米の山ともやしナムルみたいなのを残してしまった。お腹がいっぱいで、時間もギリギリだった。ゴミ処理場の事情、生ゴミが増えることによる環境汚染を知った直後で食べ物を残し、せめてご飯を少なめに注文すればよかった!と反省する。結果として今日は、スマホを弄りながら完食していた女性の方が地球に優しかったことになる。

 学生時代、ずっと飲食店でバイトをしていたが、食事を残している人はざらに居た。時々、食べきれずに「ごめんなさいね」と言ってくれる人もいたが、食べ物が残るなんて本当にざらで、ご丁寧に、と思っていた。お客さんの食べ終わった器を片付けるとき、多少食べ物が残っていても、早く片付けることが最優先だったから、何にも思わず残飯を生ゴミに捨てて、洗い場の人に食器を渡していた。さすがにほとんど手をつけてなさそうなものには「ええ〜」と思っていたけど。飲食店というのは、生ゴミがいっぱい出るものなんだな、そういうものなんだなと思いながら、とにかくいつもたくさんの生ゴミが大きな袋に詰め込まれているのを見た。ゴミ処理場では色々と工夫はしているけど、排出している源である私も、ゴミはなるべく小さくしていきたいと思っている最近だ。

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