スタンプラリーの如し
2月17日
家から駅に向かって歩いていると10代ぐらいの、少し凝ったかわいいアウター着た女性が立ち止まってキョロキョロしている。通り過ぎるとき、「すみません」と声をかけられた。こういうのは怪しい話を持ちかけられることが5割だから警戒したが、「○○行きのバスはどこですか?」とピュアに道を聞かれた!私は普段このあたりでバスを使わないため危うく答えられないところだったが、去年入院するときに乗ったバスがそれだったから、バス停をすぐに答えることができた。丁寧にお礼を言われ、自分の経験が役に立ててよかった。
この街で道を尋ねられることは少し珍しい。ときどき駅の場所を聞かれることもあるが、「地元の人」しか住んでなさそうな街だからか。バス停ってどうして場所も時刻もわかりにくいんだろうか。
根津へ。久しぶりに整体行った。特別どこか悪くて困っているわけではなく、時間があったから行こうと思いついた。あちこち歪んていたらしい。施術後に起き上がりベッドに腰をかけたら、背筋が自然に伸びていることを実感した。これで呼吸が良くなる。
タナカホンヤが26日で閉店すると知って、行った。根津へ行こうと思いついたタイミングが良かった。新幹線の「こだま」が好きなこだまファンクラブという人たちの企画展で、東海道新幹線沿線にまつわる絵画や刺繍が展示されていた。私もこだまでゆっくり移動する機会が多いし好きだから、素晴らしい企画だなと思った。
目玉は、こだまスタンプラリー。東海道の地図上に、粘土で作られた各駅の名物が配置されていて、かわいい。たとえば新横浜はシウマイ、小田原はかまぼこ、熱海は温泉まんじゅう、新富士は富士山…といったように。私はここで、三島には三島コロッケがあること、掛川には花鳥園という楽園があること、三河安城の駅舎がかわいいデザインであることを初めて知った。このように、静岡や愛知のことはよくわからない。東京から関西へ向かう場合、最初の方は浮かれ気分でなにかを食べたり車窓を見張ったりしているが、新富士あたりで富士山を見たときに刺激は最高潮を迎え、その先の長い静岡県の道のりで少々退屈になって寝たりする。そのため大抵の人は各駅停車のこだまに乗ったとしても、あのへんの存在感がぼんやりしている。(のぞみは新横浜〜名古屋までノンストップだし) そこで、このこだまスタンプラリーだ。各駅名と、名物がわかるし、謎の形をしているものについては考えたり正解を知る会見を通して、記憶に残る。スタンプラリーのスタンプについては、わざわざどこかへ行って押す必要もなく、地図上の各駅にアルファベットのスタンプが置いてあるから、それを押せばいいだけ。この簡単さに気が抜ける。
タナカホンヤで一冊買おうと、本棚を覗き込むようにして探したところ、何かの郷土料理の昔っぽい広告が目に入った。近江や丹後半島のあたりのガイドブックだった。1989年のブルーガイド。手書きの地図やイラストがめちゃくちゃ可愛い。タナカさんといろんなことを話したのちに、値段も見ずに勢いで「これ買います」と言ったら「100円です」と言われ、「100円ですか!?」と聞き返してしまった。即興でつけたみたいなノリを感じてしまった。
不忍通り沿いの八百屋で「金星」というりんごを購入。秋田屋で、だんごを購入。根津行くといつも、せっかく来たからと色んな店に行ってはちょこちょこ金を使ってしまう。そのほとんどが、「根津に行って、お店がやってたらなるべく行こう」と思っている気に入ったスポットだ。そのうちひとつのタナカホンヤはなくなってしまうわけだが、なんだろう、これからもあるような感じだった。
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