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あの頃の「王子様とお姫様」

 ひとつ前の記事に本記事タイトルの写真を使用した。三橋の森保育園の子供たちが撮影を見ている風景だ。園の敷地内で知らない大人の新郎新婦姿が見れるなんて全国どこの保育園でも見ないシーンだろうが、三橋の森の園児たちにとっては日常。慣れてるもので彼らが撮影内容を理解しているのかどうかは分からないが「きれい~♡」と言ってくれたりもする(もちろん先生たちがカメラマンかのように発してくれる「ほらきれいだね~きれいでしょ~」の言葉に対するオウム返しの可能性も大)。

 こんなシーンもある。

 この日は新郎新婦様の撮影ではなくある雑誌の表紙撮影だ。このときもオーディエンス...いや、もはや監督ばりに前のめり体制で参加をしてくれた。怪獣のように叫び走り回っていたと思いきや、この大人たちの登場でぴたっと止まる彼らの動き。いつの間にかスタッフと一緒にカメラチェックまで含めてじーっと見ている。テレビ撮影のようにでも見えたかな?

 私たちにとっては穏やかな日常の一部でも、彼らにとっては人生で初めて見る機材の数・芸能人のようにオーラのあるモデルさんやメイクさんたちに興味津々。なにより、いつもは自分たちに向けてシャッターを切っている大の大人たちが嬉しそうにドレスの裾をひらひらさせて笑っていたり、撮れた写真を見て感激する無邪気な光景が新鮮なのかもしれない。いつも君たちの前で先生やパパママがこんなに自分のことで騒がないもんね。

 彼らにとって三橋の森で見る新郎新婦様は「本物の王子様とお姫様」だ。note筆者の性別が女性なのでその視点で書かせて頂くことになり申し訳ないが、幼少期の認識では「ドレス=お姫様」の一択だった。花嫁衣裳、社交ダンス衣装、パーティー参加衣装などのドレスが果たす役割を他に知らない。

 あれから数十年、「おひめさま」なんて言葉を忘れさって過ごす日常の中で、もう出会うことのなかっただろうこの言葉をまた思い出したのは正に彼らの真っすぐな眼差しを見たこのときだった。もちろんこの業界で働いて長いので、ドレス姿の女性を見ることは日常だ。しかしその姿はあくまでおひめさまではなく「花嫁様」...いやそれ以上、大切な「お客様」として見てきた。

 確かに、幼少期に読んでもらった絵本や見てきたディズニーのビデオ(もうビデオは何か分からない世代?)には常に「お姫様orヒロイン」がいた。というか、物語の中心にそのような役がいることが当たり前すぎて存在がそこまで特別ではなかった。だからこそ、女の子にとって「おひめさま」という存在は小さな頃ほど身近なのだろう。
 お絵描きでお姫様を描くときは自然とふんわりドレスを着せていたり、七五三のときに振袖と同時にドレス姿で写真撮影をする家庭があったり。ありきたりで少しかゆい例えを挙げると、「いつか王子様が勝手に迎えにくる」というお姫様物語の結末が当たり前のようにやってくると思っていた時期があったことなど。笑 

 そんな彼女たちにとって身近な将来像である「お姫様」が本当に王子様の手に引かれ、自分たちが遊んでいる目の前を通ったら「ほら本物だ!本当に大人になったら女の子はお姫様になれるんだ!」と叫ばんばかりに目を輝かせ寄ってくることになるのだろう。

 でもそんな微笑ましい光景にはっとさせられたのだ、「そうだよな、お客様...というか、おひめさまなんだよな」と。「おひめさま」でどんなイメージを持つかは読者のみなさまそれぞれで全く違うと思うのでお任せする。しかしここで筆者が伝えたいのは決して豪華絢爛な衣装を身にまとったり、何人もの家来を従え自由気ままに生きることがそのイメージではないということ。お姫様=物語の「主役」なんだということ。

 もちろん、主役を演じつつ他のお姫様主演物語の脇役になることもあるし、特には黒子に徹して台詞すらもらえない物語への出演もあるかもしれない。まだ出演オファーはきていなくとも、何年後かに大ヒットする物語のキーマン役を既に演じ始めている可能性だってある。隣にいる王子様主演物語も、お姫様に出会うまで相当なページ数だったのだろう。

 核心に迫るためそろそろお姫様という言葉を使うのを辞めるが、つまりはこの園児たちの眼差しを見たときに「大人になった新郎新婦様も、この子達が目を輝かせて見ているままの温度で結婚式という日を迎えるべきだし、その権利があるよな」と改めて思ったのだ。

 もちろん、大人数を招待し、ドレスを着て赤い絨毯を歩くことだけがそうではない。これまで生きてきた物語をしっかり振り返り、この日を新しい章のスタートとして覚悟する瞬間を一人として欠かせない登場人物のみなさまと迎える。そんな素晴らしいシーンが物語のハイライトに挙がらないわけがないのだから、そんなに飾らなくても充分なのだ。ただ気持ちだけは堂々且つ華々しく持っていてほしいと思うし、それを後押しするのが私たちの仕事だと思う。一生に数回あるかないかのシーンなのだから、普段出来なくてもこの日だけは世界一の主演賞を取った気持ちで笑ってほしい。

  我らがクラリエールのある男性サービスマンが披露宴の終盤シーンで、新郎さまにこっそりこんな一言を掛けたことがあった。

 「ここ、人生で一番カッコつけるところですよ」

 強いてこっぱずかしさを和らげるとすれば「ここ、人生で一番カッコつけても大丈夫なシーンですよ」だろうか。

 胸を張って幸せを感じてほしい。これからどんな時代を生きようと、この日を迎えるにあたって周りがどんなことを思おうと。果てしなく変化し続ける環境に立ち向かいながらも私たちは絶対ふたりを応援する。たまたまこの状況下でこのハイライトシーンを迎えたが故に、違う時代の主演役者と気持ちの差があってはならない。世界一の笑顔で笑って迎えないとならないのだ。
 
 誰もがあの頃の私たちから見た、王子様とお姫様なのだから。





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