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日銀中川委員、長期金利許容変動幅拡大に「メリットの方が大きい」と評価 新体制の大規模緩和出口への注目も

日銀の中川順子審議委員は、2022年12月に決めた長期金利の許容変動幅拡大について講演した。以下に、彼女の講演内容について詳細に解説する。

【長期金利の許容変動幅拡大のメリット】


中川氏は、長期金利の許容変動幅拡大によるメリットについて、「債券市場の機能度が改善することにより、金融緩和の効果がより円滑に波及していく」と述べた。つまり、この政策によって金融市場の活性化が促進され、金融緩和政策がより効果的に機能することを期待しているということだ。

【新しい日銀の総裁に対する期待】


また、政府が黒田東彦総裁の後任に植田和男氏を起用する方針であることから、新体制が大規模緩和の出口へ向かうか注目されている。中川氏は「当面は、金融緩和を維持し経済をサポートすることが必要だ」との見解を改めて示し、新しい日銀の総裁に対して、引き続き経済を支援するために緩和政策を維持することを期待していることが伺える。

【物価の先行き】


中川氏は、輸入物価の上昇が落ち着く中で、「消費者物価の上昇率も縮小していく」との見通しを示した。ただし、企業による値上げについては、「これまで価格改定を行ってこなかった企業も、急激な原材料価格の上昇を受けて値上げを決断している」とし、今後「価格転嫁がさらに進む可能性がある」と物価が上振れるリスクにも言及した。

【サプライチェーンの見直し】


地政学リスクの高まりなどを背景とした企業のサプライチェーン(供給網)戦略の見直しについても指摘した。同盟国や友好国を中心にサプライチェーンを構築しようとする動きもみられ、「効率性を多少犠牲にしても安定性を優先するもので、物価の上昇圧力になりうる」と中川氏は話しました。つまり、企業がサプライチェーンの構築において、安定性を重視するために、より高コストな選択をすることがあり、それが物価の上昇につながる可能性があるということです。

【賃上げの動向】


最後に、中川氏は賃上げの動向についても触れました。大企業ではインフレ率を超える賃上げを実施する動きが見られる一方で、「中小・零細企業までどの程度広がるかを注視している」と語りました。中小企業はリスク回避のために賃上げをためらう傾向があるため、全体的な賃上げの実現には課題が残されています。

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