見出し画像

食品ロス削減と技術進歩で再注目される量り売り

量り売りが再び注目を浴びる理由


食品ロス削減の意識の高まりと計量技術の進歩により、量り売りが再び注目を浴びています。以前は商店街でよく見かけた量り売りですが、スーパーマーケットの普及に伴い、食材はトレーなどに載りラップをかけた状態での販売が一般的になり、量り売りは見かけなくなりました。しかし、近年は脱炭素の潮流が広がり、食品ロス・廃棄による温暖化ガスの排出量が問題視されるようになりました。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、世界の温暖化ガス排出量(2010〜16年)の8〜10%は、食べ残しや期限切れによる食品ロス・廃棄が原因とされています。このため、量り売りは食品ロス削減のための重要な取り組みとして再び注目されています。



計量技術の進歩も量り売りの普及に貢献


寺岡精工などの計量器大手は、減算式はかりの実用化に取り組み、計量法に基づく承認も受けています。減算式はかりは、大皿に載った商品の重量変化を計測することで、客が購入する商品の量がわかり、単価をかけて代金を算出するシステムです。このシステムは、IoT技術を活用して、電子マネーや交通系ICカードに使われる近距離無線通信(NFC)を利用して、単価が異なる商品を同時に購入する場合でも、代金をまとめて精算できるようになっており 量り売りの普及には、小売り大手の関心も高まっています。
フランスの小売り大手は、減算式はかりの採用を検討しており、ローソンなどのコンビニエンスストアも、寺岡精工のセルフサービス用機器を店舗の運用に合わせて仕様変更し、20年夏から一部の店舗で量り売りを始めています。現在は東京と神奈川県内の一部の店舗での試験導入ですが今後、全国的に普及する可能性があります。

量り売りの復活により、商品を必要な量だけ購入することができ、食品ロスの削減につながるだけでなく、消費者がより環境に配慮した購買行動を取ることができます。また、店舗側も個別包装や袋詰めなどの資源消費を抑えることができ、環境負荷の低減につながります。
量り売りの普及には、計量器の技術革新や小売り大手の関心の高まりが背景にありますが、今後は消費者の環境意識の高まりや政府の取り組みなども後押しとなり、一層の普及が期待されます。


この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?