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G7、幸福の追求を議題に GDP限界に直面し、新たな経済指標に注目

G7が「幸福の追求」を議題に掲げる

G7は2023年の財務相・中央銀行総裁会議の主要議題に「幸福の追求」を掲げる。これは国内総生産(GDP)よりも、人々の幸せにつながる政策に重点を置くことを意味している。G7は、名目GDPで中国やインドなどの新興国に逆転されたことから、GDPの限界に直面している。

日本が2023年のG7議長国を務めるため

財務省は2月に主要議題を公表した。この議題には、ウクライナ支援やロシアへの金融制裁、インフレ、債務問題の対応などが含まれている。さらに、「Pursuing Welfare Enhancement(幸福の追求)」という柱を掲げ、GDPの限界に言及した。事前に根回しした米欧6カ国からは支持が集まったという。3月に開催される事務方トップの財務官会合で議論を深め、5月の新潟市での財務相・中銀総裁会議で、さらに議論を進める予定である。

「豊かさとは何か」という問いは昔からある

GDP統計の原型をつくったノーベル賞経済学者クズネッツ氏は、GDPで人々の幸福は測れないと説明した。軍事費の増大がプラスに働く点や、貧富の格差が埋没する課題がある。最近は無料のデジタルサービスの価値や地球温暖化をはじめとする外部不経済を捉えられない不備がよく指摘される。G7がGDPの限界を議論するのは時代の要請といえる。

国際通貨基金(IMF)の推計によると、世界の名目GDPに占めるG7のシェアはピークの86年に68%に達し、2022年には43%まで下がり、新興・途上国に初めて追い越された。今後も、リードを広げられることが予想される。G7は、経済規模の拡大を追い求める代表的な先進国グループであり、今後はGDPだけでなく、人々の幸福や持続可能な発展についても重点を置いていくことが期待される。

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