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[WSH]ミッチェル・パーカーというダークホース
今シーズンの開幕投手であったジョサイア・グレイ(Josiah Gray)が前腕の張りでIL入りしたことで、代役としてミッチェル・パーカー(Mitchell parker)はメジャーデビューを果たしました。
メジャーデビュー戦でドジャースを相手に5回2失点と好投し、ストラスバーグ以来となるメジャーデビュー戦での勝利投手となったのです。
what a debut for mitchell parker (and momma mitchell) 🔥 pic.twitter.com/hw6y0TqQv6
— Washington Nationals (@Nationals) April 16, 2024
さらに次のアストロズ戦ではなんと7回無失点と圧巻の投球を披露。
ここまで6先発、32.0回、防御率3.09と文句なしの成績を残しており、かつすべての試合で3失点以下に抑えるなど、離脱したグレイの穴を問題なく埋めてくれています。
mitchell parker 👀
— Washington Nationals (@Nationals) April 21, 2024
✨ 7.0 IP | 8 K | 0 R | 73 pitches ✨ pic.twitter.com/EliUX5SlkW
そんなミッチェル・パーカーの好投の秘訣を考察したいと思います。
①ホップする4シーム
![](https://assets.st-note.com/img/1716086609328-6pPwbLBhmU.png?width=1200)
パーカーの4シームは、球速が92.3マイル・回転数が2,166回転といずれも平均以下ですが、回転効率95%・回転軸が11時15分(Spin-Based)と11時30分(Observed)と地面と平行に近くなっています。
これにより、平均より1.3インチ(約3.3センチ)ホップしているのです。
またExtensionは上位14%に入る6.9フィートとこちらも優秀であり、Perceived Velocity(打者の体感速度)は93.3マイルと、実際より1マイル早くなっています。
(Extensionが長いと、リリースポイントがより前のほうになるので、ボールがキャッチャーに届くまでの時間が短くなり、バッターの体感速度がより早く感じるという効果があります。)
![](https://assets.st-note.com/img/1715951727126-ktEJuZYsaK.png)
このようなホップする4シームを、ゾーンの上半分に投げ込んでいることがわかります。
これが良いパフォーマンスを生んでいるものと考えられます。
一方で、4シームのwhiff%がたったの8.9%しかありません。高めに投げているのに、空振りがほとんど奪えていません。
さらにwOBA.209に対し、xwOBA.326と乖離している点も引っ掛かります。
現状の4シームのパフォーマンスは上振れている可能性が高いですが、それでもMLB全体における4シームのxwOBAが.344なので、おおむね平均程度のパフォーマンスは出せるでしょう。
First batter, first strikeout for Mitchell Parker as he gets Mookie Betts swinging! pic.twitter.com/kaiiiMwh70
— Talkin Nats (@TalkinNats) April 16, 2024
②積極的にゾーン内に投げ込むカーブ
パーカーのカーブのゾーン内への投球割合は67.4%であり、全投手1位の多さなのです。(50球以上)
![](https://assets.st-note.com/img/1715953862329-DMILPq8Kii.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1716089182379-gsUlTDNFkV.png)
しかも、wOBA.275、xwOBA.260、Run Value+4と結果も出ています。
なぜこれほど積極的にストラークゾーンを攻めているのに、有効なのでしょうか。
まずそもそもの話として、一般的にカーブはゾーン内とゾーン外のどちらが有効なのでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1716090487798-PHcoDctO6O.png?width=1200)
これを見れば、カーブ自体がゾーン内に投げるほうがRun Valueはプラスになるのです。理由として、打者は見逃せばほとんどがストライクになるからだと考えられます。ストライクが取れるだけでカウントは有利になりますよね。
ゾーン外は、xwOBAもwhiff%もゾーン内より優秀ですが見逃し率も7割と高く、見逃されればほとんどボールになり、カウントが不利になってしまいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1716086947053-h4oDExkMC8.png?width=1200)
パーカーのカーブの変化量については、縦変化・横変化ともに平均以下であり、空振りを誘発できない可能性が高いと思われます。
それゆえに多少打たれたとしてもゾーン内に投げることで、ストライクカウントを稼ぐことができ、優位を取れていると考えます。
パーカーのゾーン内の見逃し率は39.6%であり、MLB平均の42.6%を下回っていますが、それでも4割は見逃しでストライクになるので、カウントを有利に進めることができるのでしょう。
また、高めの4シーム+カーブというフライボール革命への対抗手段として、トレンドとなっていた2球種が相乗効果を生み出している可能性もあるでしょう。
空振りは取れるが、不運にも打たれているスプリット
左腕ながらスプリットを投げているパーカーですが、現状Run Valueは-4と、これだけを見るとあまり有効ではないようにも見えます。
しかしながら、whiff%は40%(MLB平均34.9%)と高い水準にあるなど、パーカーのスプリットは高いポテンシャルを有しているのです。
低めのボールゾーンにおけるパーカーのスプリットは、スイング率54%で1位の数字であり、whiff%も60%とこのゾーンでは平均程度の空振りを誘っています。
![](https://assets.st-note.com/img/1716093044051-qQ49a6nsl5.png?width=1200)
また、投げてる箇所も、低めを中心にボールゾーンに投げることができています。
![](https://assets.st-note.com/img/1716094034570-gBVRqLBrJ1.png)
すなわち、パーカーのスプリットは低めのボールゾーンに集め、スイングを誘い、空振りをとるという理想的なスプリットとなっているのです。
では、なぜRun Valueがこれほど悪いのでしょうか。
それは下の2つの動画を見てもらえればわかります。
ANDREW VAUGHN! 💥 pic.twitter.com/GKG32aDNoW
— Chicago White Sox (@whitesox) May 15, 2024
He's working late because he hits dingerssss pic.twitter.com/xXlhDUMpfC
— Baltimore Orioles (@Orioles) May 8, 2024
いずれも、ボールゾーンのスプリットであるにもかかわらず、ホームランにされているのです。この2球だけでRun Valueは-3.6を記録しています。
正直、この2球をホームランにされたのは相手が上手だったというだけだと思います。
低めに制球されていて、空振りをとれていることから、ウイニングショットとしてポテンシャルは高いと思います。
Mitchell Parker, Filthy 85mph Splitter. 😷
— Rob Friedman (@PitchingNinja) April 21, 2024
7th K pic.twitter.com/EorZwbC4LZ
④スライダー
スライダーはまだほとんど投げておらず、サンプルサイズが足りないため今回は取り上げませんが、対左への持ち球として精度を向上させてくれればと思います。
空振り三振シーン↓ VS Gunnar Henderson(この次の打席にホームラン打たれました)
まとめ
ミッチェル・パーカーがどんな投手なのかを書きました。結論として、①高めの4シーム。②ゾーン内へのカーブ。③空振りをとれるスプリット(対右)。④対左へのスライダーといった感じになります。
またBB%5.5%という高い制球力もあります。複数の武器を持っているパーカーが、コンテンダーとなるナショナルズのローテーションで活躍し続けてほしいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。よろしければ、「スキ」をいただけると、今後のモチベーションになります。
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