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Bobby Witt Jr. の成績は下振れている?

ボビー・ウィット・ジュニア(Bobby Witt Jr.)は、名実ともにロイヤルズのスーパースターであり、将来的にはメジャーを代表するスーパースターとなることでしょう。

そして現在のスタッツも非常に優秀であり、
打率.304 OPS.916 fWAR3.4 
であり、fWARはMLB1位です。


Baseball Savantより

Witt Jr. のスタットキャストの成績ですが、ほぼ真っ赤です。走攻守すべてが圧倒的なレベルとなっており、非の打ちどころがありません。

しかしながら、タイトルで述べた通り、この成績でも打撃面では予測値よりも結果が出ていないのです。

Witt Jr. の wOBA は .387 に対し、xwOBAは .435 と予測値ほどの結果には結びついていません。
今後、ある程度 xwOBA の値に収束していく可能性も大いにありますが、これほどの差が生まれる理由があるのです。

センター方向中心のバッティングの弊害

Witt Jr. の打球方向は以下のようになっています。

Pull%: 26.2
Straight%: 48.3%
Opposite%: 25.6%

センター方向が突出して多くなっています。
センター方向中心のバッティングは、一般的にバッティングの基本と言われており、お手本と言われています。
しかし、フライボールにおいては、必ずしもプラスにはなりません。

フライボールにおけるwOBA-xwOBA(以下、ギャップ)は-.235 と予測よりも低くなっています。

そしてフライボールの打球方向別のギャップは以下のようになります。

Pull: +.025 (.298-.273)ー12.3%
Straight: -.363 (.436-.799)ー43.9%
opposite: -.179 (.432-..611)ー43.9%

センター方向が最もギャップが大きくなっており、ライト方向も同様です。そして、この2方向のみで87.8%とほとんどを占めており、ギャップが大きくなる要因となっています。

このような結果になる要因として、センター方向はホームから最も遠く、レフト・ライト方向に比べてより長い飛距離が必要となるため、安打が少なくなると考えられます。
ライト方向については、ロイヤルズの本拠地・コウフマンスタジアムは、左打者のホームランが4番目に出にくい球場です。すなわち、左打者の引っ張り方向であるライト方向へのホームランが出にくいと思われます。これがライト方向へも下方ギャップが出ているのでしょう。


そして特にバレルにおいても同様の傾向が出ています。
バレルの下方ギャップは、-.411 (.996-1.407) とこちらも予測値よりも低い結果となっています。
そして打球方向別の結果です。

Pull: +.443 (1.543-1.100)ー10.7%
straight: -.620 (.865-1.485)ー53.6%
Opposite: -.353 (1.029-1.382)ー35.7%

こちらも、センター・逆方向への下方ギャップが大きくなっており、打球割合も9割近くと圧倒的です。
バレルについてもフライボールと同様のことが言えそうです。

以上のように、フライボールやバレルがセンター・ライト方向に過剰に飛んでいることが、wOBAがxwOBAに比べて悪い結果につながっている要因となっているという推測が得られました。

このギャップを埋めるためには、引っ張り方向の打球を増やすほかないでしょう。引っ張り方向は、wOBAがxwOBAに比べて良い結果となるからです。

ただし、意識して引っ張りを意識してしまうとバッティングの調子を崩す可能性もあります。下手に引っ張りを意識するよりは現状を維持するほうが良いでしょう。
実際2023年は、引っ張り方向へのフライボール24%引っ張り方向のバレル42.6%もあったので、もう少し増えると思います。

それに、現在でもOPS.900越えなので、現状でも優秀です。
Witt Jr. はこのままのバッティングを続けていってほしいですね。

参考文献:

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※すべてのデータは5月26日までのデータを用いています。

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