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[KC]Michael Massey ~三振も四球も減らした男~

カンザスシティ・ロイヤルズの二塁手である Michael Masseyマイケル・マシー
メジャー3年目の Massey は7/27 時点でOPS .735、fWAR 0.8 と、優秀な守備力も踏まえればレギュラーとして良い数字をマークしています。
試合数が少ないですが、162試合換算すれば、fWAR 3.0程度は見込めるでしょう。

https://www.mlb.com/player/michael-massey-686681

Michael Massey Stats, Age, Position, Height, Weight, Fantasy & News | Kansas City Royals (mlb.com)

ですが、Baseball savant を見てみるとまた違った印象を受けるかと思います。


Baseball Savant より

Michael Massey Stats: Statcast, Visuals & Advanced Metrics | baseballsavant.com (mlb.com)

wOBA .309 に対し、xwOBA .289 と予測値より.020 ほど上振れているのです。
また上振れしている選手か…この選手も収束していくんだろうな、と考えました。
しかしながら、この Massey という選手、なかなか興味深いアプローチをしているなと感じたので、今回深掘っていきたいと思います。


上振れしている理由(推測)

Massey は引っ張ったフライボールが多いタイプです。
Pulled Flyball %(引っ張ったフライボールの割合)は、昨年が17.1%(17位)で、今年は14.1%(41位)となっています。


引っ張ったフライはwOBA>xwOBA になりやすい打球なので、これがwOBA が xwOBA よりも高い数値になっている要因の一つだと考えられます。


昨シーズンの課題

Massey は昨シーズン二塁手のレギュラーとして、104試合の先発で、15HR、OPS .655、OAA+3、fWAR 0.4 を記録しました。

https://baseballsavant.mlb.com/savant-player/michael-massey-686681?stats=statcast-r-hitting-mlb

課題は打力であり、特にBB% 5.2%・chase%32.3% と平均以下の選球眼や、Pull%51.8% と引っ張り偏重な点が課題とされていました。
そのため打撃コーチからは
①ストライクゾーンをより管理すること
②広角に打ち分けること
を打撃面での課題とされました。

2024年シーズン

さて上記の課題は改善したのでしょうか。

①ストライクゾーンをより管理すること
BB%ー 1.7%(←5.2%)
chase%ー42.1%(←32.3%)

②広角に打ち分けること
Pull%ー53.4%(←51.8%)

両方とも見事に悪化(?)しています。オフシーズンに打撃面で立てた課題は全く解決しませんでした。(なお守備力は向上してる)

ですがOPSは、.655→.735と上昇しています。これはどういうことでしょうか。ハードヒットが増えたわけでは無いですよ。

①打球数を増やした

先ほどBB%が減少したと述べましたが、加えてK%も 21.5%→15.1% と減少しています。
すなわち三振も四球も減ったことで、打球の総数が増加したのです。
これにより、フライボールなどの価値のある打球を増やすことができると考えられます。


②ゴロの増加

ゴロが増えて、ライナーは減った

これは一時的なものかもしれませんが、今季のMassey は過去3シーズンの中で最も Ground Ball が多く、Line Drive が最も少なくなっています。
今季は空振りが減っていることから、その副産物かもしれません。

とはいえフライボールの割合はあまり減っていないので、そこは問題ないのかなと思います。


懸念点:ピッチセレクションの悪さ

Massey の懸念は、振るべき球を振らず、振ってはいけない球を振りがちという点です。
In zone swing %
はMLB平均以下(67%)の66%chase%は平均(28.4%)を上回る42.1%となっています。

これだけのアプローチの悪さですが、2ストライク時には、In zone swing % 92.8%In zone swing & miss % が94.8%と2ストライク以降はとにかく三振しないように、降ってくる上にコンタクトしてくるのです。三振を減らそうとする姿勢がよく見えますね。

とはいえ、アプローチが悪いままでいいわけではないので、できれば改善したいところです。
逆にこのままでも活躍できるのであれば是非ともこのスタイルを貫いてほしいです。

まとめ

まとめると、Michael Massey
①引っ張ったフライボールが多いタイプ
②三振も四球も減らして、打球を増やした
③アプローチは非常に悪く、継続性には疑問あり
④守備力は非常に優秀

といった選手になるかと思います。

7月は、打率.185・OPS .496 とものすごく絶不調です。
このアプローチではやはり好成績を継続することは難しいのでしょうか。
それともここから再び成績を戻してくるのでしょうか。
この先の成績にひそかに注目したいと思います。



以下は蛇足です。

不運だった2023年シーズン

昨季の Massey の予測と実際のスタッツは以下の通りです。
BA .229 ⇔ xBA .260 差 -.031
SLG. 381 ⇔ xSLG .432 差 -.051
wOBA .283 ⇔ xwOBA .319 差 -.036

ご覧の通り、3つの指標全てが下振れしています。
ロイヤルズのバッティングコーチである Alec Zumwalt 氏は、「不運なことに、彼[Massey]はハードヒットがヒットにならなかったという点では、リーグでもトップクラスだろう」と述べています。
つまりハードヒットが運悪くヒットになってなかった、ということらしいです。

しかしながら、この説明は根拠としては弱いです。
以下は昨シーズンのHard HIt 時の実際と予測の数値です。
BA .492 ⇔ xBA .508  差 -.016
SLG .946 ⇔ xSLG .1010 差 -.064
wOBA .593 ⇔ xwOBA .635 差 -.042

確かに下振れしてはいるのですが、根拠とするには少々足りないように感じました。
そこで逆に、非Hard Hit時の実際と予測数値の差を出してみました。(例外的に95マイルのみ含まれます。)

BA .170 ⇔xBA .227 差 -.057 
SLG .200 ⇔ xSLG .269 差 -.069
wOBA .159 ⇔ xwOBA .214 差 -.055

非ハードヒット時において特に打率の下振れが大きいということが推測できます。
こういうハードヒットではない打球の下振れはどう改善するんでしょうか。収束するのを待つしかないのでしょうか。私には分かりません。


参考文献

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