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来週の相場見通し(9/30~10/4)簡易版

1.はじめに


今回は簡易版です。ポイントだけです。自民党総裁選とか、石破ショックとか、色々と書きたいことは来週以降にまとめます。

2.来週のポイント

・来週は米国の主要経済指標が発表される重要な週となる。ISM関連指標がどうなるのか?特に前回下げ止まったISM製造業指数がどうなるのか?好調を維持してきたISM非製造業指数が節目の50を割り込むリスクは?こういった点が注目される。
そして何と言っても労働関連指標だ。求人件数は更に減少するのか?雇用統計では非農業部門雇用者数はどれくらい伸びるか?前回の雇用統計では過去2回の数値が8.6万人も下方修正されたが、今回も下方修正となるのか?
そして失業率が先般のFOMCで示した年末に向けた4.4%への悪化の見通しに沿ったものとなるのか?市場の関心は高い。

・ポイントは、こういう重要な経済発表の週となるので、市場においては正直言って日本の新政権誕生などは、主要なニュースではないのだ。これが、小泉政権や高市政権が誕生していれば、ニュース性を持っただろうが、石破新政権は、「岸田政権路線を引き継ぐ」と言っている。これでは、海外投資家には何も響かないだろう。大きな疑問は、岸田政権の支持率は極めて低かった。どうして、石破新政権はその支持率が低い岸田政権の政策路線を引き継ぐのだろうか?発足後の支持率に注目したい。

・為替市場では、こうした米国の経済指標、それに伴う米金利の動きが本筋になるはずだ。さすがに月曜日は株安と円高が相関しながら不安定になるだろうが、石破ショックなるものが、為替市場に及ぼす影響は小さいだろう。

・株式市場は、金曜日の終値をベースに考えるべきではない。先週末の日経平均株価は、高市氏の勝利を織り込んだ水準である。高市トレードで2千円程度上昇していると考えるなら、3万8千円くらいからの下落が、石破ショックの本質ではないだろうか?つまり、「金曜日の終値ー高市トレード巻き戻し(約2千円)±(石破政権への評価分)=月曜日の日経平均株価」と捉えれば良いだろう。

・1970年以降の過去34回の自民党総裁選において、新総裁初日に日経平均が上昇したのは16回、下落したのは18回だ。そして18回の下落局面の平均は▲1.1%だ。これまでのワースト記録は2003年の総裁選の▲4.2%だが、石破新総裁はこの記録を塗り替える可能性がある。

・石破新政権の党役員、閣僚人事と最初の支持率の状況、マスコミが命名する内閣の名前も注目される。菅政権の当初支持率は70%超、岸田政権も59%あったが、石破新政権の支持率はどうだろうか?通常の内閣は発足時の支持率が最も高く、時間の経過とともに悪化していく。但し、歴代では小渕内閣の発足直後の支持率は32%と著しく低かったが、その後どんどん上昇した異例もある。

・それにしても自民党総裁選の権力闘争は凄いものがあった。結果的には、決選投票で菅グループのメンバー(小泉支持)と、岸田さんのグループの票が石破氏に流れ込み、1回目の投票で1位となった高市氏を逆転した。菅さんと岸田さんが結果としては、同じ候補者に乗ったことになる。菅さんを総理から引きずり降ろしたのは岸田さんであり、菅さんは麻生さんとのキングメーカー争いをしながらも、常に「岸田だけは、絶対に許さん」という構図だった。一方で麻生さんは、菅さんと権力闘争をしながらも、「麻生政権を裏切った石破氏だけでは決して許さん」という状況だ。こうした権力闘争と憎悪がごちゃまぜになり、今回の結果が生まれたのだ。しかし、選挙では手を組んだことになる菅さんと岸田さんは、選挙が終われば対立するのだろう。そして、石破さんは何でも言うことを聞く軽い神輿ではなく、応援してくれたキングメーカーを裏切ってでも、理想を追求するかもしれない。これからも政局はぐちゃぐちゃになりそうだなー。政局が落ち着かないと、政策は後回しになるのが常だ。日本経済は大丈夫かな・・・

・メディアの報道によると、石破新政権は10月1日に発足。4日に所信表明演説、7日から衆参両院での代表者質問、9日に党首討論、その後に衆院解散。5日公示、27日に投開票との話が出ている。野党が求める予算委員会や補正予算による能登支援は行わない方針だとか。この最速の解散シナリオって、小泉進次郎氏が勝利した場合の最短シナリオと同じだ。なんだかな~。

・米国南部をハリケーン「へリーン」が、ジョージア州やノースカロライナ州、テネシー州、フロリダ州などに大規模な被害を引き起こした。この災害の危機対応の迅速さと適切さは大統領選にも影響するだろう。来週は副大統領候補のテレビ討論会が開催される。これも注目度が高い。

・来週の月曜日は、市場はドタバタするだろう。石破新政権の閣僚人事がぽつぽつ出てくる。それにより、緊縮財政派であると失望されたり、思わぬ若手の登用で見直されたりするかもしれない。
但し、大事なことは。世界の投資家はそれほど注目していないということだ。大きな流れでは、米国株は極めて好調を維持している。それを支えるFRBの利下げサイクルの動向は重要だ。そして、中国が本格的な景気対策を打ってきたことで、とりあえず株価は上昇している。米国大統領選も、もう最終盤に差し掛かる。オクトーバー・サプライズという言葉あるように、色々な妙な事件やフェイクニュースも起こるかもしれない。また、中東ではイスラエルとヒズボラの戦闘がエスカレートしている。週末にはヒズボラの最高指導者のナスララ師が空爆で殺されたようだ。30年以上もヒズボラを率いてきた精神的な支柱である。イランも介入するかしないかの瀬戸際にあるだろう。
こういう大きな流れの中で捉えると、石破新政権の動向は、当面は市場の重要なテーマではないのだ。実際に新政権が安定して、市場が懸念している増税などに動くのは、まだまだ先の話だ。市場が混乱していれば、日銀も追加利上げをできないのは、8月5日の市場混乱後に明白となっている。日本株を買う材料は短期的にほとんどないのだが、積極的に売り込む必要も乏しい気がする。市場は高市氏の成長戦略を期待していたことから、当面のモメンタムは簡単には改善されないだろう。しかし、私は米国の経済指標が案外、底堅く出てくることで、米金利が小幅に上昇して、ドル円相場もやや円安基調に戻ることで、日経平均株価も下げ止まって膠着すると見込んでいる。いずれにしても、こんなにややこしい日本株に悩むよりも、米国株に注目したいと思っている。

・S&P500が9月末までに年初から10%超の上昇となったケースは1970年以降の54回で20回ある。今年は21回目だ。この場合、80%の確率で第4四半期は更に上昇している。しかも、その間の平均上昇率は7.4%と非常に好調だ。これを単純に現在のS&P500にあてはめると、年末の水準は軽く6000ptを超えることになる。もちろん、大統領選もあり、そこまで楽観的になることは難しいものの、年末ラリーをメインシナリオに、10月後半からの決算発表に注目していきたい。
今週は、以上です。

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