無印のTシャツは「おそろい」の喜びも「かぶり」の残念さも同時に弱める

　シティハンターの高橋です。
　
　カラオケでは、（自分が一番後輩のときは別ですが）その場の空気や流れを汲んでから曲を入れるタイプです。先陣を切って我先に！と歌うタイプではありません。あくまでもみんなの様子を見ながら、関連のある曲で反応する。アンサーする。たとえばイマドキの曲で予約が埋まっているなら、少ない持ち札の中からがんばってクリーピーナッツあたりで対抗して流れにしがみつきます。というか自分が本当に歌いたかったのはクリーピーナッツだったりするので、ありがたい流れを歓迎します。とはいえ場の流れとして昔のジャニーズ系が続くようであれば、SMAPや嵐、KinKi Kidsあたりをデンモクで検索するわけです。

　なんでこんな突拍子もない話をしたのかというと、このシティハンターのnoteで高橋は、直前のヤマダの投稿に反応するかたちで、アンサーするかたちで、最新の投稿をすると決めているからです。それはカラオケでの選曲のように、誰かとの掛け合いや場のライブ感をここで楽しみたいのと、そのほうが偶然性が強くて、Tシャツの思わぬ可能性に気づける率が上がると思っています。
　ただ同時に、自分が心底歌いたいと思っている曲があってもなかなか入れることができないという残念な事実も浮き彫りになる――反応型人間の悲しいところです。だから先陣を切ってキングヌーやヒゲダンを入れられる人間、ましてや確実に撃沈しているのに笑顔でまたデンモクに熱中できる人間をすごいと思っています。

　Tシャツからだいぶ話が逸れたようです。

　前回ヤマダは、無印のTシャツを愛用していると言っていました。無印Tの厚めの生地は、飼い犬の爪攻撃からも身を守ってくれるので最高だと。だからヤマダは無印の「太番手天竺編みポケット付Ｔシャツ 紳士Ｌ・オフ白」を愛用しているようです。

　この事実を初めて知って、「僕もまったく同じTシャツを愛用している」ということが判明しました。少し汚れてしまった今では職場用に格下げされてしまいましたが、それでも週に1、2回はヘビロテしています。型くずれもほとんどありません。さすが無印。さすがシティハンターの同志です。
　
　ヤマダも僕もまったく同じ無印のＴシャツを愛用している……。良く言えば「おそろい」、悪く言えば「かぶってる」ことになります。

　ん？他人と同じTシャツを着るという点ではどちらも同じ行為同じ状況なのに、「おそろい」にはうきうき感や一体感などポジティブな雰囲気が漂っています。一方「かぶり」には、残念であり事故であり、着なきゃよかった、買わなきゃよかったというネガティブな雰囲気がつきまとっている。この違いは何なんでしょう？

　修学旅行での私服時、おしゃれとはほど遠いはずのクラスメートとTシャツがモロかぶりしてしまう……。はたして一軍勢はこのかぶりに耐えられるでしょうか。おそらくそのTシャツのチョイスを後悔するはずです。
　ところが同じクラスで迎えた文化祭。みんなおそろいのTシャツを着て、校内一の集客と反響を喜んでいます。最後は円陣まで組んで集合写真まで撮って泣いたり笑ったりしているのです。

　このようにTシャツが「おそろい」なのか「かぶってる」のかで着る側のテンションは明らかに変わります。そこいらの差異やそうさせる要素などについてはこれからもシティハンターで追求していきたいトピックですが、僕が今回言いたいことは「無印のTシャツは『おそろい』の喜びも『かぶり』の残念さも同時に弱める」という仮説です。

　ヤマダとまったく同じTシャツをヘビロテしているわけですから、もっと「よっしゃ、かぶったぜー！」であったり、「マジかよ、かぶっちゃたよ……」だったりと、心が動いていいはずです。
　でも動揺のドの字も感じませんでした。見た目がシンプルなTシャツは無印然りユニクロ然りどこでも入手できるうえに見分けもつきにくいいため同一感が薄れるからかもしれません。あるいはどこでも入手可能なため、そもそも「かぶってナンボ」だというマインドセットがあったからかもしれません。

　とはいえ同じ無印のTシャツでも胸元に一言メッセージでもプリントされていれば同一感が担保されて心が動いたのではないかと問われると、そこは何とも言えません。

　答えはわかっていません。ただその答えを知りたくて、高橋サフランはこんなTシャツを販売していますので、よろしければ。他人とあえて「合わせる」、かぶらせることに楽しみを見出してみようというTシャツです。
https://www.ttrinity.jp/shop/awaseru/

　コロナが落ち着いた暁には、カラオケで前の人とまったく同じ曲でかぶらせてその人より高得点をたたき出すという、およそウザいであろう暗黙ルールをぶっ壊す新しいカラオケを楽しみたいと思います。