見出し画像

自分でぬいぐるみのお洗濯をしてみた

大切なぬいぐるみ

制作後数十年でシロから灰茶色になったぬいぐるみ
数十年製の祖母手作りのぬいぐるみ

 私には、数十年という付き合いの、しかも祖母の手作りのぬいぐるみという名の相棒がいる。先も書いたが「数十年」ずっと一緒にいるので、そのぬいぐるみはシロクマなのだが、すっかり灰茶色のヨレヨレのなにかしらへと変化を遂げていた。状態を詳しく書けばドン引きレベルで小汚い。
 そこで「ぬいぐるみ」「クリーニング」とウェブ検索してみた。
 出てくる出てくる専門業者の数々。詳細価格は数万、十数万と相場は「大切なぬいぐるみ」に相応の価格のようだった。確かに大切なぬいぐるみを持つ身としては唯一無二、何ににも代えがたい。しかし懐事情としてはおいそれと送り出す事のできない相場であった。
 そこでこの記事に至る。自分で洗濯できるのだろうか?

手作りのぬいぐるみのクリーニング

 自分で思い切って洗濯してしまう前に、街のクリーニング屋さん(例:ホワイト急便さん等)でもぬいぐるみクリーニングを比較的安価に請けて下さるところもあることがわかり、ホワイト急便さんに赴いて、手作りのぬいぐるみのクリーニングについて店長さんにおうかがいしてみた。
 「ぬいぐるみといっても基本的には洗濯タグの表記に従ってクリーニングをさせて頂くため、素材(中の綿の種類も含め)がわからないとお請けし兼ねるというお答えしかできない」
 大切だからこそ、万が一があってはならないため、洗濯タグが必須、そしてその表記内容次第でクリーニングの可否が決まるそう。
 残念ながら手作りぬいぐるみには洗濯タグは存在しない、つまりは街のクリーニング屋さん(洗濯タグが必要な店)にはお願いできない。

自分で洗濯してみよう

 今度は「ぬいぐるみ」「洗濯方法」などで検索をしてみる。
 先人のお知恵、今では「ぬいぐるみ専用シャンプー」まである。しかしながらよくよく読んでいくと、どうも専用シャンプーなどで「丸洗い」して「天日干し」という事のようである。UFOキャッチャーなどで手にできる比較的小型のぬいぐるみであれば、カビの生えにくい時期に一~二日干せば乾いてくれそうだ。
 しかしながら私のシロクマは体高約50cmとぬいぐるみとしてはかなり大きいため、丸洗いしてしまうと、中の綿がへたったりよれたりしてしまう可能性が大きい。洗濯しても手作りというデリケートなぬいぐるみ、洗濯機の脱水や手でしぼる事が出来ない。バスタオル等で押し叩いて水気を切っても、乾くには相当な時間を要してカビてしまう。

とにかく「綿」がネック

 要となるのはぬいぐるみの中の「綿」の存在である。
 専門業者さんに頼むにしても「綿の交換」、街のクリーニング屋さんでも「綿の素材」、自分で洗う大型ぬいぐるみの「綿のへたりやよれ」、何にしても綿がネックとなってくる。
 それならば専門業者さんが行っている「綿の交換」をしてみよう。
 裁縫についての知識はさほどいらない、針と糸が使える程度で心配ない。

綿抜きの方法

1.ぬいぐるみの毛足をかきわけて「縫い合わせ」を探す

ぬいぐるみにもよるが、首元や背中にある「縫い合わせ」を探す

2.手が入る程度に「縫い合わせ」をほどき、綿を全て出す

あまり大きく開くと、あとの縫い合わせ作業が大変

ぬいぐるみを洗濯する

1.オキシクリーンに漬け置きする

オキシクリーンはアメリカで有名な酸素系漂白剤

 オキシクリーンとはアメリカ製の酸素系漂白剤(粒状)で、Amazon等で簡単に買う事が出来る。オキシクリーンの漬け置き洗いは約40度のお湯に、汚れに応じて一時間~数時間漬け置きする※1。この50cmの灰茶色のシロクマは一時間強ほど浴槽に漬けて、優しく揉み洗い※2したが、浴槽内はとんでもない色になった。
※1.染色した生地など色落ちする場合があるので、漬け置き前に目立たないところで試す
※2.手が荒れるため、扱う際には台所用手袋を着用すること

写真を載せるのも申し訳のないレベル

2.洗剤をとことん落とす

揉み洗いをし、シャワーでとことん流す

しっかりと乾燥させる

洗濯ピンチに洗濯ネットをつるし形を整えて干す

 綿を抜いてあるため、季節や天気にもよるが、あたたかく天気が良ければ一日中外で干していれば乾く。夜は夜露などで湿気が戻るので、一日で乾かなかった場合でも必ず室内に入れること。冬であれば空気が乾燥していることもあって暖房(エアコン)で二~三日程度で乾く。
 時々裏表を返して、形を整え、湿り気がないよう確認する。
 どの方法にしても「しっかりと乾かすこと」。

新しい綿を入れる

体高50cmのこのふくよかなシロクマで綿は300gで事足りた

1.かならず新しい綿を入れる事

 古い綿は思い入れがあるのなら「他の方法で残す」として、ぬいぐるみ本体には必ず「新しい綿」を入れて欲しい。何故ならダニの温床だからだ。せっかくきれいになった本体にダニを戻すのはお勧めしない。

2.綿はちぎって小さくせず大きく取って押し込む

 綿を細かくちぎってしまうと、後々「ダマ」になる。綿入れはなるべく大きめに分けて詰め込むこと。縫い合わせてしまうと綿のよれなどは直せないので、綿入れの段階で仕上がりとして完璧な形状として整えること。

縫い合わせる

縫い合わせさえ閉じれば「理想の形」になるように整える

1.コの字に縫う

 太めの糸を針に通し折り返し、二本まとめて玉結びを作る。生地の内側に玉結びが行くように縫い始める。まつり縫いでもジグザグでも構わない、手間はかかるがなるべく縫い目の間隔を小さく、元々折り返されていた生地を中に、綿が出てこないよう丁寧に閉じる。

綿と、糸と針さえあればできるがどちらも太めが安心

2.使用した資材

  • 太めの糸…横田 ダルマ 家庭糸 綿100% 太口

  • 太い糸が通る針…貝印 太い糸を通せる針穴の大きい針

  • 綿…ナスカ手芸わた ふわふわわた300g×1個

  • ブラシ…無印 洋服ブラシ(大まかに毛並みを整える)

  • ブラシ…コアデ nui. ぬいぐるみ専用ブラシ(ふわふわの子には要るかも)

  • あれば…リッパー(縫い目を切る)、糸切りバサミなど

仕上がり(完成)

ビフォーアフター

仕上げにスチームアイロンを使うとシワが取れる

 このシロクマの場合、鼻の上に折れ目というほどのシワがしっかりと付いていて、洗っても乾かしても、ブラシで整えても、癖が治らなかった。
 そこでスチームアイロンを遠めからまたはあて布をしてかけると、ある程度のシワはしっとりとキレイに取れる。

あると便利なスチームアイロン

おわりに…

 家族のように大切な「ぬいぐるみ」がいる皆さんとその子たちが、末長く、清潔に、また丈夫に一緒に居られますように……。
 この記事の内容で大切な子たちに何かがあった場合でも当方では責任が取れないため、参考までにとどめ、不安な要素があった場合には実践せず「こんな方法もあるのか」とビフォーアフターをお楽しみ頂きたい。
 私はシロクマの数十年の汚れ(参考:すごい画像)が落ち、今までよりも様々な意味で安心して一緒に寝られそうだ。
 最後までお読み下さり、ありがとうございました。

少しでもお役に立てたら、また、面白い、ためになりましたら、サポートをお願い致します。今後の活動に充てていきたいと思います。