若手騎手の重賞初勝利は人気薄なのか

先日、団野大成騎手がショウリュウイクゾで日経新春杯を勝利し、見事重賞初勝利を収めた。

2019年デビュー騎手の重賞勝利は昨年CBC賞をラブカンプーで制した斎藤新騎手に続き2人目。菅原騎手や亀田騎手も活躍しており、期待の出来る世代だ。

さて、この2人の重賞初勝利は、ショウリュウイクゾは7番人気・単勝オッズ19.6倍  ラブカンプーに至っては13番人気・単勝オッズ93.1倍であった。

そこで疑問が生じる。若手騎手の重賞初勝利は、人気薄で穴を開けないと難しいのだろうか?と。(たまたま荻野琢真騎手の成績を見たところ、唯一の重賞勝ちが日経新春杯・テイエムプリキュアの11番人気だったことにも起因する。)

ということでざっと調べた。以下、敬省略。


2017年デビュー
(武藤雅 関東オークス ラインカリーナ 川崎競馬場)
横山武史 フローラS ウインマリリン 4番人気

2016年
菊沢一樹 七夕賞 ミッキースワロー 3番人気
木幡巧也 レパードS ローズプリンスダム 11番人気
坂井瑠星 フィリーズレビュー ノーワン 12番人気藤田菜七子 カペラS コパノキッキング 2番人気

※ただし、このコパノキッキングは馬主のDr.コパこと小林祥晃さんの好意で乗せてもらっているのだが。

2015年
鮫島克駿 小倉大賞典 カデナ 4番人気

2014年
石川裕紀人 ラジオNIKKEI賞 セダブリランテス 2番人気
小崎綾也 函館2歳S アスターペガサス 2番人気
松若風馬 小倉記念 アズマシャトル 6番人気
※G1 高松宮記念 モズスーパーフレア 9番人気

2012年
長岡禎仁 小倉記念 アールスター 10番人気
菱田裕二 北九州記念 アレスバローズ 6番人気

長岡騎手は2020年にデビュー9年目にして初勝利。応援したくなります。

2011年
横山和生 エルムS ハイランドピーク 2番人気
横山和生騎手も8年目での初勝利。ただ2020年には新潟大賞典・トーセンスーリヤで穴を開けてますね。昨年からまた乗鞍も増えていて期待したいところ。

森一馬騎手は障害競走での勝利なので除外。しかしメイショウダッサイとのコンビでJ・G1も勝って、オジュウチョウサンと出会った石神深一騎手のような活躍が期待できるのではないだろうか。

2010年卒
川須栄彦 小倉大賞典 エーシンジーライン 5番人気
高倉稜 中京記念 フラガラッハ 5番人気

2009年卒
国分恭介 テイエムオーロラ 府中牝馬S 4番人気
國分優作 オーミアリス 小倉2歳S 15番人気
松山弘平 スマートギア 中日新聞杯 6番人気
※G1はJBCスプリントでのコーリンベリー、もしくは中央なら皐月賞でのアルアイン
丸山元気  新潟大賞典 セイクリッドバレー 2番人気

2008年
三浦皇成 函館2歳S フィフスペトル 2番人気
デビューした年に重賞を勝ち、将来は武豊に次ぐ存在となると言われていたらしいです、がG1未勝利で結構な言われよう…

2008年デビューでは三浦皇成騎手しか重賞を勝っていないのですが、触れておきたい騎手がもう1人。

障害競走でおなじみの大江原圭騎手だ。
大江原騎手は、デビューした年は3着が1回の未勝利、翌年は障害競走で4勝するも、その後2年は勝ち星が無く旧2chで大江原騎手を応援するスレッドが立っていたほどだ。そんな中、2014年に奇跡が起こる。7年目にしてサンライズレーヴ号で平地初勝利を収めたのだ。しかもそれが

2014年から障害戦がローカル開催となり中京へ

騎乗予定の岩崎翼(和田翼)騎手が急病、若手騎手限定戦で乗り替わりできるのが大江原騎手だけ

一番人気がスタート直後落馬

逃げて見事平地初勝利

という文字通り奇跡のような勝利なのである。

もちろん?その後大江原騎手は平地で一度も勝っていない。

2007年
宮崎北斗 愛知杯 セラフィックロンプ 16番人気 重賞初騎乗であった。
2度の重賞勝ちが2008・2010 愛知杯セラフィックロンプ のみという珍しい騎手だ。

荻野琢真 日経新春杯 テイエムプリキュア 11番人気 冒頭でも言ったように唯一の重賞勝利だ。
田中健 ファンタジーS マルモセーラ 4番人気
浜中俊 函館2歳S デグラーティア 3番人気
※G1 菊花賞 スリーロールス 8番人気
藤岡康太 ファルコンS ジョーカプチーノ 4番人気
10番人気でNHKマイルカップも制覇
丸田恭介 福島記念 ダンスインザモア 10番人気

草野太郎騎手は障害競走での勝利なので別とした。


と何年か調べたが、書こうとした趣旨と違うものを色々と発見してしまった。例えば、デビューしてから活躍・重賞を勝利することの難しさ。普段良く見かけるような騎手も、重賞未勝利であることが中々に多い。
G1となると更にハードルが上がる。2014年デビューの松若風馬騎手が去年初めてG1を勝利。次に若い騎手となると、もう松山弘平騎手なのだ。松山騎手もここ数年でジワジワと活躍の機会を伸ばしてきたようなタイプ。それより前にデビューした騎手になってようやく、何度も重賞を勝っているような騎手に。経験がとても大事な競技なのであろう。

それ以前だと
2006年卒 北村友一
2005年卒 大野拓弥
2004年卒 川田将雅 藤岡佑介 津村明秀 吉田隼人 丹内祐次(3+1勝)
2003年卒 松岡正海 石橋脩←8年目で初勝利
2002年卒 田辺裕信

などなど。

思えば、50歳を超えた選手が一線を張っている競技なんてかなり珍しい。この上を行くのなんて競艇・オートレースくらいではないだろうか。

オリンピック種目である馬術なんかも、出場者の平均年齢は40歳近くになるようです。
結局話は変わったが、


結論:日本の競馬界は、若手騎手には厳しい。


ちなみに、JRAの指す「若手騎手」はデビューから7年以内の騎手で、長岡騎手、横山和生騎手、石橋騎手などは、「若手騎手の重賞初勝利」でもありませんでした。


※1 坂井瑠星騎手のJDD勝利はJpn1ですが書いてません。地方なら勝っているという騎手は他にもいるかも。

※2 競馬学校騎手課程の卒業生のみ記載。藤井勘一郎騎手もなども重賞を勝っている。

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