灰が降る町 #13

その双眼鏡には、紐がついていた
首から提げられるようにと、ついていた紐だ

深い深い紺色の紐で
何だか珍しいなと思ったのだ

そうだ
それは、僕のものではなかった

双眼鏡は
いったい 誰のものだった?
いつから 僕のものになっていた?

窓の外では
遠雷が、鳴り始めていた

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