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化学メーカーの営業は大変?

化学メーカーの営業職についてネットで調べると、「化学メーカーはホワイト」或いは「化学メーカーは激務」と両極端の意見があります。

今回はこの疑問に関して、新卒から化学メーカーの営業一筋である私が意見を述べたいと思います。

結論

化学メーカーの営業は大変だと思います。
(しかし、働き甲斐はめちゃくちゃある。この点に関してはまた別の機会で)

「化学メーカーはホワイト」となぜ言われるのか?

この業界では、1つの製品に対して、製造と販売している会社が少ない(或いは自社1社しかない)というケースも珍しくありません。
その場合、競争が激しくなる事がないため、客に対しても強い立場で営業できます。極論、「値上げ認めなければ、物は売らない」といった強気に出られる事だってあります。
客からのプレッシャーは営業がストレスを感じる最大の理由のため、これが無ければホワイトな環境になりやすいという訳です。

「化学メーカーは激務」となぜ言われるのか?

特に化学メーカーの営業の場合、人数が少なく担当範囲も広い事が、激務と言われる要因の1つかと思います。
化学メーカーの新卒文系採用は、大手が7~10名、中堅が3~5名が平均です。
(大手と中堅の境目は、単体従業員人数が1000人のイメージ)

そのため、少ない人数で国内外の市場を見ている営業部も珍しくありません。



私が「化学メーカーの営業は大変」と思う理由

景気に大きく左右される

ぶっちゃけ、化学製品は売れない時は売れないです。
個人への訪問販売であれば、訪問件数回数などを増やす事により、受注回数の増加にも繋げる事が可能かと思います。

一方、この業界は売り先が固まっており、顧客の母数を増やすのが難しいです。
加えて、かなり経済の状況に販売数字が左右されます。

例えば2020年にコロナウイルスが蔓延し始めた時は世界の経済が停滞しました。
日本の自動車生産台数も半分近く落ち込んでおり、2020年6月の自動車生産台数は̠前年同月比-46%と落ち込みました。

化学業界含めて、日本企業の多くは、自動車産業に依存しています。
例えばですが、その影響を受けて日本のトップメーカーである東レも、20年4~6月の純利益が同年同月比-63%と非常に厳しい状況でした。

新しい顧客を増やす(新規用途開拓)が非常に難しい

「自社製品の新しい使い方を考え、売り先を増やせば?」と思う人もいるかもしれません。
当然、どの営業もその機会を模索しています。しかし、そう簡単な話ではありません。

化学業界では、顧客での検討開始から採用されるまで、1年以上かかる事が殆どです。

自動車のタイヤ業界は最たる例です。
長い歴史を持つタイヤ業界は、自動車の安全に直結する業界です。そのため、変化を非常に嫌います。
何かしらの理由で原料が入手困難になる、或いはよっぽどメリットがないと、タイヤ産業に関わるメーカーは、変化を受け入れません。

仮に検討を開始しても、採用までに3年或いはそれ以上かかります。
そういった場合でも新しいモデルへの採用であり、最初は販売量も少量です。
もちろん、評価段階で頓挫する案件の方が多いです。

この様に化学業界では、新規用途の獲得には幾つものハードルがあり、一定の販売数量を獲得するのもかなりの長期間かかる事が多いです。

最後に

人間は変化を嫌うため、新しい事に挑戦するよりも、現状維持を好むという事を理解する事も大事です。

それを理解した上で、新しい提案を顧客へ続ける事が重要です。
たくさん種まき案件を作っておいて、顧客のタイミングが合えば、思わぬ所で花が開く事も増えます。

長期的な視点で戦略を立て、可能性のある案件を作っていく事が重要になります。
何が言いかと言うと、化学業界はやる気と体力だけでは、実績を出すのは非常に難しい世界です。知恵と運も必要に個人的には思っています。


以上の事から、「化学メーカーの営業は大変」だと私は思います。ただし、やりがいは非常にあるため、その点はまた別に機会でお伝えできればと思います。

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