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オンライン総会を開催したいNPO法人の方へ① どうやってやるの?編


新型コロナウイルス感染症の対策のためにオンラインで総会を開催するNPO法人が増えています。しかし、「どうやって開催すればいいの?」、「NPO法に違反していない?」、「来年以降もオンライン開催にしてもいいのかな…」と言った疑問や不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、弁護士であるとともに自身もNPOの活動に取り組み、NPO法人の運営方法に詳しい矢内淳さんをお迎えして、お話を伺いました。

※本記事は NPO法人 ボランタリーネイバーズ主催の「NPO法人のオンライン総会対応にあたって必要なこと Withコロナ時代の社会参加と雇用継続のための学習会・活動相談会(2021年4月19日開催)」の内容を、ボランティアがQ&A形式でレポートするNPO法人ボランタリーネイバーズとの共同企画です。

本レポートはこんな人におすすめ!
✔︎コロナ禍でのNPO法人の総会の運営方法について知りたい
✔︎オンライン総会開催にあたって必要な準備について知りたい
✔︎オンライン総会での双方向での情報伝達方法について知りたい
✔︎オンライン理事会・総会開催に定款変更は必要なのか知りたい


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                         (中央が矢内さん)

オンライン総会を開催できるか否か


Q:オンライン総会を開催できるの?
A:現行のNPO法であってもオンライン総会は開催できます。
総会を開催するための招集するときの内容・方法はNPO法に定められていますが、開催するときの方法は特に定められていません。

特定非営利活動促進法
社員総会の招集
第十四条の四 社員総会の招集の通知は、その社員総会の日より少なくとも五日前に、その社員総会の目的である事項を示し、定款で定めた方法に従ってしなければならない。

Q:現行の定款でもいいの?
A:現行の定款であっても時節柄、応急的にオンライン総会は開催できると解釈されています。(来年度以降もオンライン開催を検討している方は②の記事へ)

ちなみに…こんな定款を定めているケースが多いのでは?

例:NPO法人日本NPOセンター定款
(総会の招集)
第22条 総会は、この定款に定めるもののほか、代表理事が招集する。
2 総会を招集するときは、会議の日時、場所、目的および審議事項を記載した通知を、少なくとも開催日の一週間前までに発信しなければならない。


定款には、場所(会場)を決めて招集することを定めています。ところが、定款を作ったときには会場に出向かずにオンライン出席することを想定していないので、定款のどこにも定めがありません。そこで、このような時節柄、法人運営に支障が生じないよう、オンラインによる総会も開催できると解釈しています。


オンライン総会をやってみよう!



・オンラインのみ開催(バーチャルオンリー型開催 *経産省の定義による)
場所(会場)の概念がなくなってしまうので、恒久的に行うと、「場所」を定めて招集する定款の規定と食い違いが生じてしまいます。
定款を変更したい方は②の記事へ

・リアル開催(ハイブリッド参加型バーチャル総会)
オンライン参加者は傍聴のみで、会場参加者だけを出席者とする扱いになります。

*今回は下記の方法で話を進めます。
・会場での開催+Web会議システムの併用(ハイブリッド出席型バーチャル総会)
オンライン参加者も出席扱いにします。場所(会場)はあるので、定款の規定が想定する範囲内といえるでしょう。

開催にあたって、「情報伝達の双方向性と即時性」を満たすには?
つまり、

Q:オンライン出席者が「出席」したと言えるにはどうすればいいの?
A:以下の二点を満たす必要があります。
1.議長・事務局側からオンライン参加者の出席・接続できていることが把握できるか、発言・採択が確認できているか
2.出席者側からオンライン参加でも発言・議決行使権ができているか
トラブルに備えて、
1. オンライン出席者にも委任状の提出をお願いする。
2. 接続トラブルがあったときのための連絡先(連絡用メールアドレスなど)を聞く。
3. 事前に正会員に出席方法を聞く、招集通知などに接続するためのURLやID、パスワードを案内する。
4. 事前に接続テストを行う。
5. オンライン総会のルールを理事会で決めておき、総会の冒頭で理事長より説明し、承認を得る。
例:意見を述べたいとき、採決の方法、代理出席、総会を乱す者がいるとき、などなど…

Q:会場出席者を制限してもいいの?(事前申込者に限る、定員数を設ける、発熱など体調が悪い方の入場を断るなど)またはオンライン出席や委任状の提出を呼びかけていいの?
A:できます。感染拡大防止策の一つや会員の健康に対する配慮などの正当な理由で、議長が権限を行使することができます。


一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(議長の権限)
第五十四条 社員総会の議長は、当該社員総会の秩序を維持し、議事を整理する。
2 社員総会の議長は、その命令に従わない者その他当該社員総会の秩序を乱す者を退場させることができる。


<続く ②へ>

【ゲスト】矢内淳さん(弁護士)
大学生のときに環境ボランティアに携わったのが市民活動との接点。公設民営の市民活動支援センターに就職し、NPOスタッフになる。その後、福祉分野のNPOに移り、人材養成研修や法人運営等を担当した。NPO法人市民活動支援機構ぼらんぽ(2009年設立、2015年解散)を仲間とともに設立し、NPOや支援センターの スタッフ向け研修会等の企画運営に携わった。弁護士登録後も、NPO運営の研修会講師等を担う。2010年社会福祉士登録、2018年弁護士登録(愛知県弁護士会)。

詳しく知りたい方はこちら
・NPOに関するQ&A:NPOを運営していくために(日本NPOセンター) 
https://www.jnpoc.ne.jp/?page_id=211#a04
・NPOのオンライン総会についてよくあるご質問(東京ボランティア市民活動センター)
http://www.tvac.or.jp/special/covid-qa/sokai
・新型コロナウイルス感染拡大に係るNPO法Q&A(内閣府NPOホームページ)
https://www.npo-homepage.go.jp/news/coronavirus/coronavirus-qa#qa_01


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