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雨宮蓮へのインストールに失敗しました! 1-Ⅱ

【 雨宮蓮へのインストールに失敗しました! 】

#夢小説  ♯ペルソナ5ロイヤル ♯女主 ♯成り代わり
夢主は周回プレイ記憶者です。

今回から第二のターゲット章です。

https://note.com/ciroru/n/n0f28d409108b

1~15まとめ
前回ボス 前回:27




 \前回までのあらすじァ!!/

 5月5日。
怪盗団が正式に結成される。

“ドリームキャッチャー”

 蓮は“自分”としての決意も新たに、高校生へ戻っていく。怪盗団としての下地を埋めるために…。

半分くらい説明回。




 ベルベッべルームに呼び出された。
ヤルダバイゴールは変わらず、含みのある笑みを凍ったように浮かべながら、俺のことを称賛した。

『お前には特別な素養がある。だが素養は、磨かれて初めて「力」となる。今はまだ弱い。それを養い、来るべき破滅に抗いうる「強さ」を得ること』

居場所を見出した━━か。
では、次は受け入れ準備をしないとな。
と、

「何をニヤついている、囚人!」

相変わらずカロリーヌは当たりが強い。

『同志たちとの契約で、お前の心は着実に抗う力を身に着けている。更生は順調なようだ。実に喜ばしい…より一層、更生に励むがいい。そして、その知恵を以て━━お前の目的をも果たしてみろ』





 5月6日


 朝礼の時間に、川上先生から『鴨志田のことを言い触らさないように』との忠言があった。
当たり前である。
…もっとも、そんな忠告で高校生の口はふさぎようがないのだが…だからこそ、再三重ねて言うのだろう。

「ただ…、いち教師として、生徒のピンチを見過ごしてたのは、申し訳なかったなと……。正直、まだ実感わかないんだけど、人の顔って、ひとつじゃないってことね……」

しおらしくしている。本気に。

「……そういえば、昔、チョット心理学をかじったことがあるんだけどね。人間って、心の中の無意識の部分に、いくつも『別の人格』を持ってるんだって。その『別人格』は、本人とは違う性別だったり、かけ離れた年齢だったりもするの。神話の神様とか怪物とかも、元々は人間のイメージなんだとすれば… その『別人格』を、実際に目で見られたら、ひとつやふたつは怪物の姿かもしれない」

それは…モルガナから習ったところだ!



 昼休み、それぞれの食事を持って集まる。竜司がスマホのお気に入りページを開く。

「『怪盗お願いチャンネル』、地味に書き込み増えてんぜ…『いつも借りパクする友達に謝罪させたい』そんなのテメエで何とかしろっつーの!」
「いや、立派な窃盗だぞ」
「……マジで?」

目を丸くする竜司。教室扉の方を向いていた杏が「ね、あの子たち」と指差す。

「怪盗が鴨志田の心を盗んだってウワサホントかな?」「作り話に決まってるでしょ?マジで信じてんの?」

彼女たちは…噂話好きの子たちだっただろうか? 盗み聞きした話は、

「こんなことで学校有名になるの、マジ迷惑なんだけど!」

という所に着地する。

「『有名』には『汚名』もあるからな…」
「やっぱ、あんなもんなんだよなあ。…けど、今に見てやがれ! 誰でも知ってるような大物を二人、三人やってけば、信じるしかねえはずだ」
「…その大物、メドなしなんだよね?」
「そもそも、そんな汚点が俺たちから見えるようでは、『大物』やっていないだろうからな…その内、陰謀論的な噂も立ち始めるが」

ぴょっこりモルガナ。

「しばらくはマジメに学生生活を送るしかなさそうだな」
「そうだぞ」「うぇーい…」「マジメにね?」

あからさまにイヤそうな竜司と、その肩を叩く杏。

「━━ただ、いざという時のために準備だけはしておけよ?」

その点に関しては、皆が頷く。

「俺の方は、大物の情報が転がってこねえか見ておくから」
「私もネットで色々探してみるね」
「しかし、せっかく怪盗団結成したっつうのに、狙う相手が見つかんねえとはな…」
「まあまあ」
「上手くいかねーもんだな…」


 アジト兼屋上で、例の紙を開いた。

「熱心に書いてたと思ったら、ソレだったのか」
「堅苦しいルールにしようってわけじゃない。ただ、心の片隅にしっかり置いておくべきだと思ったことを書いた」

竜司が焼きそばパンをもぐもぐやりながら、ノートを覗き込む。

「ほれな。難しいことがいっぱい書いてあって思考放棄ひたわ」
「さすが竜司」
「…今の悪口だよな!?」

まあまあ、と白飯と弁当箱を置く。

「1個ずつ今から解説する」

なら、とワガハイが読み上げてくれる。

 『説得を諦めず、現実に還す』

「杏がやったこと、モルガナが言ったことだ。類例はできるだけ重ねて、問題が出ないか、要観察。例外が出て、その例外もわからず廃人化の原因に…ということは避けたい」「説得…、というか、私の場合、脅しみたいな感じだけど…」
「脅迫マガイのことしたのは、杏の方なんだよなぁ…」

…竜司が杏にロックかけられている。

「相手が根負けしている時に、心変わりしたくなる何かをガツンと言ってやるんだ。それについても考える必要があるということだな」
「レンがシャドウにやってる、ペルソナになってもらうための交渉みたいだな」

 『公私混同は控える。怪盗団は俺たちとは無関係』

「なんで書くんだ? 怪盗ってのは、秘密にするだろ」
「当たり前だからこそだ。誰にも心の怪盗団に『ジョーカー』『スカル』とかいうメンバーがいることはわからない。そして『スカル』の素顔は謎なので、どれだけ『スカル』がカッコよく活躍しても、『坂本竜司』はカッコいいことをしていないということだ」
「ちょ、なんで例えが俺なんだよ!?」
「現実でモテたかったら現実の己を磨け」
「なんでモテどうこうの話になるんだよっ!?」
「それがわかりやすいからだ。次の話にも繋がってくる」

モルガナが俺をさしおいて猫まんまを食べ始めている。
ヤツのケツをせっついて(「セクハラ!」)ひとつ飛ばしで続きを読んでもらう。

 『怪盗団は他者のために行動する。見返りを求めてはならない』

「大切なのは後の文だ」
「それがどう繋がるんだよ」
「竜司、考えてもみろ。悪人に次々予告状を送りつけ、謎の手口で、翌日には土下座させまくる…こんなカッコいい集団、『お近付きになりたい!』って人が当然出てくると思う」
「お、ぉおお……!」
「将来的には、モテモテで人気者だ。正体を明かしたくもなるだろう。だってそうすればお前は華麗でカッコいいナゾの怪盗団の一員として周囲に見てもらえるんだからな」
「うおおおお!?」
「そういう前提で話すんだ…?」

話す。

「でも駄目」
「むーっ!!」

竜司の唇に人差し指を押し宛てる。
焼きそばでテカってた。

「スカルが活躍しても竜司はモテないって言うのは、総合すれば、そういうことだ。有名になれば、もっと有名になりたいと思いたくなるものだ。だが、姿を明かせないし怪盗団が高校生並である以上、長期の著名度を繋ぐのは難しいだろう。だとしても、軽いエンターテイメントとして消費されないよう、初心を忘れないようにしたい。一応、メモすべきかなと思った」
「なるほど… かなりちゃんと考えてあるんだね」
「それに、有名になった絶頂の瞬間が、膨らみきった風船のように…危険だ」
「んー…………?」

 竜司が指を口につきつけられたまま、首を傾げる。
……そうだ、試しに話してみようか。

「明智吾郎って知ってるか?」
「ア ケ チ……ゴ ロ ウ?」
「あっ、知ってる。最近、テレビにも出てるよ。めっちゃイケメンで、物知りで、あー…そうだ! 『高校生探偵』!『探偵王子』!」

なるほど。杏の方は知ってる。

「ああ。有名人だろう? この間テレビで見たのを思い出して、少し調べたんだ。高校生だし、不祥事のひとつやふたつないかと思って」
「話早っ!」
「なかった」
「いやなかったんかい!」

竜司が焼きそばパン2個目を開け始めている。くそ、こいつめよほど早くに買いに出たな。ズルいぞ。

「でも杏、知ってるなら考えてもみろ。もし、その明智吾郎が鴨志田みたいなことしていたとバレたら…世間がどう反応すると思う?」

杏がしばらく沈黙する。
サラダにお箸突っ込みっぱなしで。

「ないわー……」
「ドン引くだろう?」
「可能性が……」
「いや、今はその前提で考えて欲しいんだが…」

机に座っている脚を組み直して、レタスをパリパリと噛み砕く。俺の白まんまをモルガナがフンフン嗅いでいる。

「いや。俺ならアケチゴロウはわかんねーけどその話はわかるね」

竜司? えらいぞ竜司!!

「そんな『王子さま』みてーに呼ばれてる男がセクハラとかしてようモンなら…バキバキにぶん殴って地面に頭擦り付けさせて全校集会で皆の笑い者にしてやる!イケメン死ね!」
「規模がちっちぇ」

…今度明智吾郎に言っておこうかな。

「はは… ……つまりそれと同じことが、俺たちにも起こるかもしれないから、万が一を考えて動こうなってことだ」
「え?」
「リュージの方がバキバキにぶん殴られて地面に頭擦り付けさせられて全校集会で笑い者にされないよう気をつけるんだな、ってコトだな!」
「そう、しかも有名になればなるほどフルボッコで、な」
「マジかよ!? そんなことされるかもしれねえの!? やべ…俺怖くなってきた……」

焼きそばパンをはむはむと食べる竜司を『ワシャワシャ』してやる。「くーん」と肩を落として鳴いてた。ノリがいい。

「じゃあ、最後に…」

 高校生としての本分をおろそかにしてはいけない。

「………… …………そりゃそうね?」
「……あ。あーーーー!!」
「何よ急に!」

ウンウンと頷く杏…の前で竜司が大声を出して仰け反る。

「俺ら…じき試験じゃね?」

俺は準備できてるぞ。最低知識4。いぇい。

「…その様子じゃ今回もひどそうね」
「お、お前だって英語ばっかだろ!?」
「何もできないよりいいじゃん!」
「リュージは日本語だって怪しいぜ」
「お前は人間かどうかが怪しいんだよ。…今のうまくね?」どやぁ。
「…拳で語り合うか?」
「上等だコラ!」
「やめろっつの!」

最終的に俺がモルガナを、杏が竜司を抑え込む流れになった。逆じゃないか、これ?



「……やあ。見てくれた?『怪盗お願いチャンネル』」
「三島か…」

 放課後、教室。
座席でのんびりしていた俺は『炊飯器いらず!簡単☆炊き込みごはん』をブックマークして、顔を上げる。

「って、三島!?」

 マジでびっくりした。
今日中忙しくて顔を合わせてなかったのだが━━三島はすっかりガーゼやバンドエイドが取れただけでなく、顔色まで良くなっていたからだ。
ゲームでは顔グラフィックの変化くらいしかなかったが、立ち居振る舞いから何というか…呼吸まで、彼はすっかり変わっていた。

「なんだよ、そんなにビックリして…?」「い、いや……。見た…噂になってるサイトか?」

へへ、と照れ臭そうに笑う。本当に雰囲気が違う…。

「あれ立ち上げたの、俺なんだよね。…あのさ!」
「 !? 」

ガチで心臓が跳ねるかと思った。
なんかコイツイケメンになったな、と見惚れてたさなかのMK3マジキス3秒前距離

「…『怪盗』は、君らなんだろ?」
「ち、ちかい……!」
「あッ……ごめん」

すっと身を引きながらも、俺の机につく手はそのまま。

「…いや、もし俺が思ってる通りなら、秘密にしといた方がいいよな。…鴨志田なんかに利用されて、俺は君にも、酷いことをした。そのお詫びってわけじゃないけどさ…」

だん、と両手を机につく。ちょ、だからMK5。

「俺にできることがあったら、何でも言ってくれ!」
「き、気持ちは、嬉しい……」
「そう言ってくれると嬉しいよ」

年相応の微笑みを浮かべる彼を見ていると、俺はこの学校を救ったんだなと思う。仏陀の元に集まり休む動物たちを見て和むようと言っても過言。

「悪い大人は、鴨志田の他にもたくさんいる。でも『怪盗』なら、きっと何とかしてくれる…絶対、一度きりで終わるはずない。だから、悩みごとが集まるサイトを作ろうって思ったんだ」

 そう外を見て語る彼は真剣で、俺は座ったままMK6くらいに距離を取った。

「怪盗団の今後には、期待してる。内心そう思ってるやつ、多分たくさんいる。だから、あのページには匿名アンケートも実装してあるんだ」

スマホがズイッとMK1距離に差し出された。

「『怪盗を信じますか、信じませんか?』」

……約6%。

「俺は…いつかこいつを、支持の声でいっぱいにしたい。怪盗団の正義の行ないの役に立ちたいんだ! …いいだろ?」
「面白そうだな」

うっすらにやり笑いを浮かべると、スマホの画面をつつっとなぞる。三島はふふん、と嬉しそうに笑い、キッと眉を上げ、ガッツポーズを取った。

「期待に応えてみせる…絶対」

 三島由樹。
少し童顔の、元バレー部のクラスメイト。上着をあまり着ないスタイルの、“どこにでもいる高校生男子”。明るい方だがオタクで、本質は気弱なために、軸がブレやすい性格でもある━━、

【月】コープの相手だ。

「……じゃあな!」

ニコッと人の好い笑みを浮かべると、バイバイと手を振って、三島は鞄を肩に教室をトタタッと出ていく。


 …がら、と反対側の扉が開いて、竜司と杏が入ってくる。スポン、とモルガナが机から顔を出した。

「聞いてたぜ、今の。ったく…声かけづれーのなんの」
「あのサイト、三島くんのだったんだ…」
「ワガハイたちのこと、バレてるんじゃないか?」
「バレてるだろ」

空き教室になったフリーの机に、好きなように2人が腰かける。

「たとえそうでも、あの様子なら大丈夫だと思うけどね」
「一応、後で『お話』しておくか」
「やめたげてよお」

竜司のヤンキーらしさの自負は、時に『有効活用』するからたちが悪い。

「しかし『悩み事が集まるページ』な…こいつは意外と使えるかもだぜ」

ニャーン、と嬉しそうにモルガナが鳴く。竜司と杏は、一瞬『?』という顔をしたが、

「まあいい、ともかく『大物探し』だな」
「それが見つかるまでは準備ね。見つかったらパレス行くわけだから、装備とかも…」
「試験もな!」
「お互い様! ……ねーぇ、蓮?」
「うん?」

ニコニコ、ニコニコ。髪をいじっている。

「おま…… まさか、裏切るつもりじゃ……!」
「ちょ、ちょっと! 蓮は私たちの仲間よね?」
「そうだな〜〜〜……」
「「 蓮!! 」」
「試験勉強よりテーブルマナーを覚えてもらおうか…」

(怒張)

「「 なんでーーーー!? 」」



 閑話休題。
 もとい、一時解散。
俺は杏のところに戻ってきていた。

「やっぱり朝、誰かに見られてた気がする…。 どうしよっかな…やっぱ話だけでも…。いや、でも……」
「どうした、杏。元気ないな」

1人でぶつぶつ呟いている杏に声をかける。杏はビクッ!と椅子の上で飛び跳ねて、

「えーっと、あのさ…あーッ、いや!やっぱなんでもない!」

とブンブン手を振る。
このウソつき下手っぴさんめ。

「どうしたんだ?」


高巻杏

 ━━━━━━

   コープ【恋愛】 要:優しさ2

 ━━━━━━


「ほんと、ヘーキ、ヘーキ! それに蓮に迷惑かけちゃ悪いし…」
「もっと頼ってくれていいんだぞ」
「え? ……あ、うん。そっか…やっぱ君になら話せるよね。実は…聞いてほしいことがあるんだ」

迷い惑った顔の杏が、やっと顔を上げてくれた。

「ありがと。じゃ、ファミレスでも寄ってこうか!」

ファミレス…確かこの時期に新装オープンするんだっけ。「楽しみだ」「ワガハイ、ステーキを所望…!」と言うモナをコツンと叩いて、彼女と共に教室を出た。





☆★ To be continued!! ★☆

私は三島にすっとぼけないタイプのジョーカーです。 

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