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架空の人々の日記

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実在しない人たちがしろいこを通して綴った文章です
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2019年7月の記事一覧

優しい温度の水が飲めない

玄関のドアを開けると昨日の暴風雨で飛んできたらしい汚れた下着が落ちていた。

私の左手はそれを拾う気などさらさらなく、入れたはずの鍵を探してリュックのポケットのメッシュ生地を手で満遍なく撫でる。けれど2周半をすぎてもヒンヤリと固い感触にぶつかることはなかった。

どうやら"通帳を絶対忘れないぞ"、と思って鍵と一緒くたに置き、その両方を置いてきたらしい。

「やっぱ鍵と一緒にしてて正解」

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